第八話『悪夢の休日』《前編》
六日目
学園長からの許可がおりて、シルクと趙雲とソラで街へ出かけた。
「ソラ、この街の名前って知ってる?」
「え、いや…」
「この街はね、フェルトっていう名前なんだよ!もちろん名物はフェルト!」
シルクはソラを気遣ってか明るく振舞っている。
「最初僕がこの街に来た時もシルクがこんな風に紹介してくれたネ」
「あれは何年前だったっけ?」
そんな会話をしながら街を歩く。
至る所にカフェや八百屋のような小さい店が並んでいる。
平日なのに人が多い。
「ソラは朝ごはん何食べたい?」
「あ、私はなんでもいいよ」
「せっかく街に出たんだし少しくらい欲出していいんだヨ?」
「じゃあ…サンドイッチかな?」
「サンドイッチ…あ!あれだ!なんだっけ!えーっと…」
「サンドイッチカフェのことかナ?」
「そう!それ!」
サンドイッチカフェ…初めて聞くカフェの種類だな…
「こっから一番近いのは…
三人は美味しくサンドイッチを食べ、満足して店を出る。
「ここ私初めてだったんだけど!」
「まあ、シルクとは行ったことなかったからネ」
「ほんと美味しかった!また来たいな…」
「次は本当の休みの日にね!」
仲良く次にいつ来るかの話をしている三人に黒い一人の影があった…
「じゃあ次はどこ行く?やっぱりショッピングとか?」
「………」
「いいね!私も行きたい!」
「………」
趙雲がキョロキョロと周りを伺う
「どうした?趙雲」
「いや…多分なんでもないネ…」
「趙雲さんも楽しも!」
「うん…」
趙雲にははっきりと分かっていた。
どんな人間が誰を目的に自分達をつけているかが。
ただ、今その事を言ってはせっかくの休みが台無しになってしまうと思い、二人には言わなかった。
「ソラ、もう普通に大丈夫じゃん!」
「シルクちゃんと趙雲さんのおかげだよ!」
だんだんと近づいてくる影。
趙雲が一瞬、その影から目を離した隙に。
その影が動いた。