第七話『ぼやける記憶』
三日四日と異世界転性してからの日数が増えていく。
増えていく度にぼやけていく記憶。
どんなに目を凝らして見てもぼやけたまま。
朝起きるといつも目をこすって記憶を取り戻そうとする。だが、記憶はどんどん薄れていくだけだった。
「お姉ちゃんどうした?」
五日目、学園生活もだんだん慣れて特訓も様になってきた。
「いや?なんでもないよ?」
自分がなんで目をこするかも分からず、ただ無意識にしているだけになってしまっている。
「また今日も学園生活が始まる…」
なぜかそんな言葉を呟いた。
「何言ってるのお姉ちゃん!また今日も遅れるよ!」
やっぱり変わらない。
それでもなにか、いつもと違う感覚がソラを襲う。
「ソラ!起きろ!」
「は、はいっ!」
「お前何回起こせば起きるんだ…もう八回も声をかけたぞ?」
「す、すみません…」
授業さえもままならない。
昼休み
当然のように先生から呼び出された。
教師室に入ると
「ソラ、お前今日どうしたんだ?おかしいぞ?」
「いや、なんでも…ないです」
「顔に出てるぞ、悩みがあるって」
「いや…」
話しちゃだめだ。そう頭の中で誰かに言われている。
「まあ、私じゃなくてもいいから誰かに悩みを相談したがいいぞ?悩みは肌を悪くするからな。」
「はい…」
「じゃ、何も話さないなら帰っていいぞ」
「はい…」
結局何も話せず出てきてしまった。
なんでだろうと自分自身に問いかけても何も分からない。
頭を抱え込んでいると
「あ!ソラ!久しぶりー!」
「シルクちゃん…それに趙雲さん…」
「なんか悩んでるように見えるネ。私とシルクに相談するといいヨ」
「はい…あの、なんかここ最近…
シルクと趙雲には、何に悩んでいるのか自分自身でさえ分からないということや、昔の記憶が思い出せそうで思い出せない。などということを相談した。
すると
「ソラ、明日私と趙雲とで市街に遊びに出ない?もしかしたら思い出すかもしれないからさ」
「確かにシルクの言う通りだネ、ソラも少し精神的ダメージくらってるようだし」
「ありがとう…」
やっぱりシルクちゃんは私のヒーローだ…
次の日にまさかの事態が起こるとは誰も思いもしなかった…