第一話『救世主シルク』
とりあえずベッドから身を起こしたんすを開け、着替える。知らないはずなのに全てを知っているかのように行動している。そのことに違和感も覚えずたんすに立てかけてある剣を腰にかけ、外に出た。そこは日本とは全然違う古洋風な街並みが広がっていて、道も舗装されてなく人通りが多い。
「まさに異世界って感じ!」
心を踊らせて人混みに飲み込まれながら歩き出す。
その時誰かが手を引いてきた。
抵抗もできず、裏路地に引き込まれる。手を引いてきたのが誰なのかを確認しようと裏路地を見渡そうとした瞬間…目隠しをされた。せめて助けを呼ぼうと声を出そうとすると、ガムテープらしきもので口をも塞がれる。
するとゴツゴツした手がスカートの中に入ってきた。
やばい!と必死に体を捩らせ抵抗するも相手の力の方が圧倒的に強く、押さえつけられる。
「なんでこうなったんだろう…」と諦めかけた時、
「おっと!剣士ちゃんを虐めてるそこの男二人!それは犯罪ですよ?もしかして斬られたいですか?」
助けが来てくれた。でも…女の子。
すると男二人は
「お、おまえ…もしかしてシルク…か?」
「ヤバイ奴に会っちまった…」
と焦りまくっている様子
すると女の子は
「そうよ!分かってるんなら逃げるか斬られるか選びなさい!」
あ、捕まえないんだ…
異世界に日本の常識は通用しないらしい
「クソッ…逃げるぞ!」
と男二人の足音が遠ざかっていった。
「大丈夫?怪我はない?」と女の子がガムテープらしきものと目隠しを取ってくれる。
「はい、ありがとうございます!」
お礼を言うと女の子は
「うん!あなたこそ怪我がなくてよかった!そうだ、名前教えて?私はシルクっていうの」
突然のフリで慌てる
ど、どうしよう…と頭に一瞬焦りが見えたが次の瞬間には
「小鳥遊天空です!」と名乗っていた。
「へぇ〜、ソラって言うのね!よろしく!ここで会ったのも縁だし、ソラは剣士だから少し私の学園に来てみない?」
とんでもなく話は飛んだが
「な、なら…お願いします」
と返事してしまった。
「じゃあ、私の背中乗って!飛んでいくから!」
と、おんぶのポーズをとる
「あ、はい…」
と遠慮がちに乗ると
「絶対に手を離しちゃダメだからね!」
その注意を受けて学園に向かうことになった。