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七十八話 もう一悶着あるそうです

最近投稿間隔が空きすぎてすいません。

ど、努力します。

「こ、ここれはなんなのじゃ?」

「え?ユスティシーが言った通りに作っただけだよ?」


やれやれと言った感じで顔を左右に振るサナファル。

開いた口が塞がらないユスティシー。

ユスティシーは思った、確実に違うと。絶対にチキンがドロドロした液体状な物ではないと。


「こんなのチキンじゃないのじゃ!どうしたらこうなるのじゃ!」

「見た目はアレだけど食べてみたら分かるって〜!ぜーったい美味しいよ!」

「わ、わかったのじゃ」


ユスティシーは目を細めて嫌々ながら液状化したチキン?を指でからめとる。

簡単にいえば毒、見た目も毒、匂いも毒。さてこの料理は料理と呼べるのだろうか。


「う……うげぇ」


味も毒だった。

どうやったらこんな毒を作れるのかが気になるユスティシーだったがその前にやらなければならないことがあった。


「サナファル……味見はしたのじゃ?」

「し、してないけど?」

「そうじゃな、サナファルも味わって食べるのじゃ!食べた後よーく考えてダメになった食材に贖罪しながらやり直すのじゃ!」

「いがいと食べれると思っ……うげぇぇぇ、気持ち悪い。こんなの食べられないよ〜」


舌を出して気持ち悪がるサナファルを横目にユスティシーは紅茶を口に含み口直しをするのだった。

口を包んでいた苦みや渋み、微妙な甘みなどを取り除き口内は紅茶独特の甘みに包まれていた。


「次は私の番です、ユスティシーさん。私はサナファルさんと違ってチキンが液状になんてなりませんから!安心して試食してください!」

「き、気合いが入っておるのじゃな。よし!いただきますなのじゃ!」


見た目はチキン匂いもチキン、外見はまさしく美味しく焼きあがったチキン。

ユスティシーはなんの疑いもなくチキンにかぶりつく……がしかし、かぶりついた途端に顔が真っ青になり咳き込んだ。


「ケホッケホケホッ、これは一体なんなのじゃ。一体何を入れたらこうなるのじゃ!」

「えっと、この赤いのとこの粉とこっちの瓶に入ってた赤い液体をドバーッとかけてチキンにしたの」

「赤いのはルリーの実というすっごく辛いやつじゃ!

それとこの粉は胡椒じゃ!かけすぎじゃ!それと赤い液体……全部使ったのじゃ⁉︎」

「使った」


額に手を当て溜息をこぼすユスティシー。

赤い液体、通称グレートハッスル簡単に言えば体温を上げる薬。悪くいえばお酒の原液。


「き、気合をいれるのじゃ……これしきだいひょうぶなのじゃ」

「ユスティシーちゃん!私もチキンできたよー!食べて食べてー!」

「ま、まひゃへるのじゃ」


目の前に差し出された真っ黒なチキン?をまるごと口の中に放り込む。

ん?おいひいのじゃ?普通においし……がっ!


「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ユスティシーちゃん⁉︎」

「おい!なんか叫び声聞こえたけど大丈夫か⁉︎」


女の子とは思えない叫び声を上げるユスティシー。

それに驚き慌てて駆け寄るルミリア。

ユスティシーの叫び声を聞きつけ扉を開けたセラフィム。


「だ、大丈夫?ユスティシーちゃん」

「何やってたか知らんけど大丈夫か?ユスティシー」

「……なのじゃ」

「「ん?なんて?」」


ボソボソと小さい声だったため聞き取れなかった二人は声を揃えて問いかけた。


「らめなのりゃ!止まらないりゃ!」

「おい、大丈夫か?」

「ちゅかまえたのじゃーー!はにゃしゃにゃいのじゃー!れらふぃむっ!れらふぃむっ!」


ユスティシーはセラフィムに抱きつくと「えへへ」とだらしない顔をしながらレティスのように頬ずりを始めた。


「む、あちゅいのじゃ。ぬぐのじゃ」

「ユスティシーさん⁉︎起きてください⁉︎何脱ごうとしてんの⁉︎」

「サナファルちゃん!アイリスちゃん!チキン作ってないで助けてよー!」

「えー、だってそのままの方が面白そうじゃん!」

「めんどくさい、ごめんねルミちゃん」


ユスティシーはおもむろに服を脱ぎ捨てる。

女の子にもかかわらずパンツ一丁という実に男らしい格好で見た事ないぐらいの笑顔を見せていた。


おかしい、何かがおかしい。ユスティシーはかわいいから裸見れてラッキ……違う違う!そ、そんなことはなくもないけどなきにしもあらず。

でも流石にこのまま放置だと良からぬことが起きそうなのでなんとか止めないとな。

しかしわからぬー、なんでこんなんなったんやー。


「おし、落ち着けユス。よく分からんが後で絶対後悔するからやめとけって、なっ?ほらルミリアさんがこわーい目で俺を見てるからさ。そろそろ離れてくれないとルミリアに撲殺とかされそうだから」

「いやーなのじゃー!れらふぃむっは私のなのじゃー!うう……うへへ。いうことききゃにゃい悪い子にはおしおきーなのじゃー」

「へへへ、そうだね。私を放って他の子とイチャつくなんてわるーいセラフィにはたっぷりとお灸を、ねっ?」


まてまてまて!なんで⁉︎この状況で俺が責められんの⁉︎それよりも多くない⁉︎デジャブ⁉︎何回も見たよこの光景!

ユスティシーは笑いながら、しかもパンツ一丁だし!ルミリアは……えぇ⁉︎どこから持ってきたのそのでかい斧!ルミリアもルミリアで不気味な笑み浮かべてるし!


どうする、どうする。選択をミスれば死ぬぞ俺っ!

一つ目、サナファルとアイリスに助けを求める、無理だな。さっきめんどくさいとか面白そうじゃんとか言ってたもんな。無理無理。

二つ目、逃げる。うわー、後で絶対殺されるし逃げきれなさそうな気が……でも転移魔法使えば。

三つ目、ユスティシーを元に戻し暴走状態のルミリアを元に戻す。よしこれで行こう、頑張れ俺。


「えっとですね、落ち着いて話し合い……話を……」

「おひゃなひするのじゃ?……するのじゃ!するのじゃ!へらふぃふとおはなひするのじゃ!」

「お話?たっぷりとじっくりと説教してもいいなら私も、お・・したいなっ!」


あー、ユスは酔っ払ってるんだな。ふふふっ俺も伊達に一年魔界で修行してないんだぜ。

思い出せクラークとの辛い修行を、あの修行は今のためにこの時のためにあったんだ!


「クラーク直伝!もしも酔っ払いの女の子が自分にデレデレしてきた時に使える技その43!耳責め!」

「ど、どうしたの?セラフィ」


息を吸い込み即座に態勢を整える。

勢いが肝心だ!行くぜっ!


「っ!」


ユスの後ろへ回り込み足を引っ掛け若干ゆっくりと床にうつ伏せの状態で寝かせる。

腕を拘束し暴れられないようにする。


「ユスティシー……」

「ひゃうっ!ひゃわわわ」


キュ〜!と音が鳴りそうなほど顔を真っ赤にして力なくうつ伏せで寝転ぶユスティシー。

ふぅ、どうやらユスは耳に弱いらしい。というよりも魔族は結構耳が弱いらしい、ちなみにクラーク情報である。


「どうやら俺の勝ちのようだぜ!」

「セラフィ……」

「ん?」

「ユスティシーちゃんだけ……ずるい」


ほんのりと頬を赤らめてもじもじしながらボソボソと呟くルミリア。

かわいいなぁ〜ルミリアはやっぱりかわいいなぁ〜。


「できた〜!食べて食べてー!」

「サナファルさんそれなにっ……もぐもぐ」

「ルミリアちゃんも食べて食べてー!」

「ひえっ……もぐもぐ」

「ついでにサナファルちゃん自身も!……もぐもぐ」


あっ俺にはくれないのね?いや別に悲しくなんてないんだからねっ!

まぁ悲しいけどお邪魔そうだし退散するか。


「……ひっく」

「……ぽかぽかー」

「……うへー」


ん?なに?みなさんどーったの?どうしてそんな光悦な表情なの?ねぇねぇどうしてどうして?


「お、おい。大丈夫か?」

「……ひひひ」

「……ふふふ」

「……へへっ」


ニタリと3名の美少女がセラフィムに笑顔を向けた。

その時セラフィムは心の中でこうつぶやいた。


(これはもう一悶着あるな……)

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