七十二話 邪神竜の肉を食べたようです
「「ただいまー」」
「おぉ、ちょうどいいタイミングなのじゃ、
こっちもそろそろ終わるのじゃ」
「おっけー」
スイーツはともかく、邪神龍どうすんだろ……まぁSSSランクだから鱗とか超最高な素材だろうな。
「にしても、まさか倒してくるとは思わなかったのじゃ……セラフィムに常識は通じないのじゃ」
「そうそう、しかもセラフィムは魔法使わずに倒してた」
「「「「えぇぇぇぇ!」」」」
ルミリアを除くメンバーが一斉に叫んだ。
いや、そんなに……驚く事だな。SSSランクだもんね。
「セラフィム?その時髪が赤くなってたけどなんで?」
「あぁ〜それは……」
「あっ!セラフィの相棒さんでしょ?」
「「「「相棒さん?」」」」
えぇ……説明するの?面倒くさいんだけど。
よし、ここは話を流す方向で。
「それよりもチキンは出来た?あと、持ってきた邪神龍はどうするつもりなんだ?」
「チキンは出来ておるのじゃ!他の料理もいっぱい作ったのじゃ!それと邪神龍は……」
「邪神龍は?」
何?なんでそんなにためるの?
若干嫌な予感がするんだけど……
「チキンと邪神龍はメインディッシュにするのじゃ!」
「「「「おぉぉぉぉー」」」」
レティス、アイリス、ファミスタ、ルシウスが歓喜の声を上げた。
「「えぇぇぇぇ!」」
しかし俺とルミリアだけは驚き、叫んでいた。
「ちょっとまって!邪神龍食うの⁉︎鱗とかを武器とか防具にするだけじゃないの?そして食べれるの⁉︎名前に邪とか入ってるよ?神とかも入ってるけど食って大丈夫なの⁉︎ドラゴンを神に崇めてる宗教の人達が襲って来たりしないの⁉︎」
「落ち着くのじゃ、邪神龍は食べれると我の保管する書物に書いてあったのじゃ!あと、
ドラゴンを崇めてる宗教なんて無いのじゃ」
まじか……ドラゴン食べるんだ……俺が結構前邪竜倒した時は鱗とか使える部分だけ頂いてお墓とか作ったぞ?村人総出で2日程かけた大穴にな。
「セラフィ……ドラゴンって食べれる……食べ物だったんだね」
「ルミリア……俺もその気持ち凄く分かる、
やっぱ世界は広いな」
「広いねセラフィ……」
俺とルミリアは窓から外の景色を眺め、ただただ死んだ魚の目をしていた。
「あっ、そうだ!セラフィムとルミちゃんは
竜人族だからじゃないの?確か竜の末裔……竜の血を引く一族はドラゴンを食べないって本で見た事ある」
「「なるほど……」」
俺とルミリアはこくこくと頷いた。
なるほどね、そりゃあ食べないわ……ほとんど共食いだもん。
「よし!気を取り直してサナの誕生日を盛大に祝うぞ!」
「「「「「お〜!」」」」」
そうして俺たちは最終準備に取り掛かった。
▼▼
「手筈通りにいくぞ?」
「うん、サナちゃんが扉を開けた瞬間に飛び出すんだよね?」
「そうそう」
「もうそろそろっすよ」
「まってるこっちがドキドキするじゃねえか、ははは」
やっぱサプライズの方が盛り上がるよね。
準備してる時にサナがこの部屋に入ろうとしてきた所をギリギリでクラークが止めたのには超焦った。
ばれた後のサプライズとかマジ気まず過ぎるからな。
「ガチャッ!……ギィィ」
「あれ?みんなどこいったんだろ、あれ?
なんでこんなに暗いの?」
「せーの」
俺の掛け声の後明かりが点き、勢いよく飛び出す。
「「「「お誕生日おめでとう!」」」」
「…………えぇ⁉︎誕生日って私⁉︎覚えててくれてたの⁉︎」
「忘れるわけが無いのじゃ!」
「……ありがとぉぉぉ!」
サナがユスに思いっきり抱きついて誕生日会がスタートした。
▼▼
「でも、サナが喜んでくれてなによりだな」
「うん、そうだね!」
「やっぱりパァリィなバーレルは外せない、うまうま」
「すっごく美味しいね!」
「だろ?」
チキンはいいんだよチキンは……問題はアレだよ、そうアレアレ。
邪神竜の肉。
見た目は普通に美味しそうなステーキ。
だがしかし嫌な予感しかしない、共食いはするなという事だろう。
レティスとアイリスが凄い勢いで食べてるからすぐ無くなると思うけどね。
「おいしぃー!やっぱりこの甘さが好き!」
「今回は大量にあるからいっぱい食べられるのじゃ!」
「ユスティシーもはーいあーん」
「もぐもぐ……甘くておいしいのじゃ」
うわ、凄い美味しそうに食べるな二人とも。
後で摘ませてもらおうかな。
「あ……美味しそう……」
「食べてきたら?」
「うん!」
ルミリアが若干ヨダレを垂らしていた。
そんなに食べたいなら早く行けばいいのに。
「ねぇねぇ、セラフィム」
「ん?どうした?レティス」
「あーん」
「もぐもぐ……ん?肉?」
「ほら、セラフィムも邪神竜のお肉食べられる」
「…………は?」
まてまてまて、今食べたの邪神竜の肉?
まってすっごい嫌な予感するんだけど。
『至急外へ出てください!魔王城の一部が壊れます!』
『え⁉︎マジ⁉︎』
やべぇなんか吐き気するし身体熱いし、とりあえず外に。
俺は一瞬でテレポートし魔王城近くの森へとワープした。
「痛い痛い痛い!頭が割れそうだ!」
やっぱり食べちゃいけないやつだったんだ!
くそっ!頭が割れ……あれ?治った?
なんだ、驚かすなよ。
『じ、じ……自分のす、姿を見てもおどどどろかないで下さいね』
『え?なんでそんなに慌ててんの?自分の姿?』
あれ?なんで森を見渡してんだ?浮遊系の魔法使ってねぇぞ?手の感覚もあるし。
なんともな……んじゃこりゃあ⁉︎
俺の手に目をやるといつか見た漆黒の鱗を纏った竜の手になっていた。
というか竜になっていた。
「グバァァァァァァァァァ‼︎(なんじゃこりゃぁぁぁぁ‼︎)」




