四十八話 魔王たちの仲間になったそうです
「痛った…」
俺は右肩を抑えながらそうつぶやいた。
開始早々、ぶち込んでくるって…
俺嫌われてるのかな…
でも、このままじゃろくに動けないので
俺は回復魔法を唱える。
「ライト ヒーリング」
俺の右肩に光が集まり、痛みが無くなる。
どうすっかな…
「……」
何も喋らないんだよな…せめて喋ってくれたら…
「うわっ!」
俺は急に飛んできた魔法をギリギリの所で回避する。
とりあえず牽制するか…
「プロミネンス フレア」
俺は無数の火の玉を使い、無口魔王に放つ。
火の玉が勢いよく飛び出し魔王に当たる瞬間
魔王が視界から消える。
「……!」
俺は、後ろから殴りかかってきた魔王に
気づきギリギリの所で避ける。
「ドゴォォォォン‼︎‼︎」
魔王が放ったパンチで地面に穴が空いていた
「……」
一瞬言葉が出なかった、なぜこんな小柄な
女の子からこんなパワーが生まれるのか
教えてほしいね!
【魔王だからです】
うわっ!びっくりした!いきなり出てきたら
びっくりするだろ!無機質な声さん
てか…久しぶりに…
「ブン!」
俺の目の前にパンチが繰り出される。
いやいや…ブン!って…バット振った音じゃん…
よし!そっちがその気なら俺も体術で戦ってやろぉじゃねぇかぁ!
俺は両拳を握りしめる。
よし…背負い投げで決めてやるぜ!
俺は異常な音を出すパンチを避けながら
最高のポジションまで誘導する。
「ここだ!」
俺は勢いよく放たれた拳を避けながら
腕を両手で掴み勢いよく投げようとする
だが、魔王は投げられながらも逆の手で
俺の足をつかむ。
「危な!がふっ!」
俺と無口魔王は勢いよく地面に叩きつけられる。
あ痛ててて…あれ?真っ暗?
目を開けるが、そこは真っ暗で何も見えない
まさか…魔法にかかった?
手を動かしてみると何か出っ張りの様な物を
発見する。
なんだこれ…コリコリ、なんか硬いぞ?
コリコリ…コリコリ…コリコリ
手を広げてみると柔らかい感触があった。
ふにふに…ふにふに…ふにふに
あれ?なんかこの感じ…少し前にあった様な…
まさか…
「……んあっ!」
無口魔王のかわいい声が聞こえてくる。
次の瞬間目を開けると
俺の目の前には、上半身の服が無くなり
顔を真っ赤にした無口魔王の姿があった。
あぁ…思い出した…アイリスの時だ…
じゃなくて!謝らなきゃ!
「あの!ご、ご、ごめんなさい!」
俺は奥義、ジャパニーズ土下座を繰り出す。
ちなみに頭を地面につけないのがポイントだ。
すると、隣に落ちていた服で上半身を
隠しながら顔を真っ赤にさせている。
あぁ…これは死んだかな…
覚悟を決めて目を瞑り歯を食いしばったが、
「私の負け…」
その言葉の後、なぜか俺に抱きついてきた
上半身を隠していた服を放り捨てて…
「えっ!いやっあの!胸がぁ!」
「……すりすり」
俺の話は聞かずに頬をすりすりしてくる。
いつの間にか目の前にはユスティシーがいた
他の魔王たちも集まってきた様だ…
「何やってるの?(怒)」
右手をワナワナさせながら聞いてくる。
「あなたに聞いてるんだレティス」
「……すりすり」
無口魔王は全く話を聞いていない様だ。
「だから何やって!」
「……すりすりしてる」
「なんで!」
「決めたから…」
「何を!」
「私のお婿さんにする…」
その言葉を聞いて無口魔王以外が全員
「「「えぇーーーー!」」」
まぁそうなるわな…俺もびっくりだもん…
みんなが驚いている間も無口魔王はずっと
「……すりすり気持ちいい」
とか病んでる感じになっていた。
とりあえず一旦魔王たちとの戦いを休み
椅子に座って話し合いになった。
なぜか無口のレティスだけ俺の膝の上に
座っているが…気にせず行こう。
「だぁかぁらぁ!ダメっていってるでしよ!」
「……すりすり」
「いいんじゃないか?今までレティスに
好きなやつなんて出来なかったんだから」
ファミスタがそう言うと
「私もすりすりしたむぐぐぐ」
赤髪の女の子魔王が口を塞がれる。
すると、今までだるそうにして話さなかった
魔王が
「レティスがデレるなんて滅多にないから
僕的には嬉しいんだけどね…」
おぉ!この魔王いける口か?
「レティスさんってツンデレなんですか?」
「僕に対しては、ツン100%なんだけどね」
あぁ…ありがちだよね…わかるわかる
「そう言えば自己紹介してなかっよね
僕はクラーク=バリーだよクラークって
呼んでくれ」
「わかった、よろしくクラーク」
「じゃあ私も!」
そういったのは赤髪の魔王だった。
「私はサナファール=ライネラ!
どう呼んでもいいよ!」
「じゃあサナ…よろしく」
俺の呼び方を大層気に入ったんだろう
満面の笑みを浮かべている。
「私はレティスよりレティがいい」
ずっと、すりすりしていたレティスが
上目遣い攻撃を繰り出す
セラフィムには効果抜群だ!
「じ、じゃあレティよろしく」
すると、さっきまで固まっていた
ユスティシーが再び話し出す。
「私も…」
「私も?」
サナが悪戯な笑みを浮かべながらそう返す。
「わた…わた…わたわた…わたしも…
ユスってよ…よんで…」
「ユス…でいいの?」
俺が呼んだ瞬間、ユスは顔を真っ赤にさせ
急に立ち上がり何かを遠くへ向けて放った
すると、遠くで超大爆発が起こる
「はぁぅ」
そういってユスは地面に縮こまってしまった。
この時俺は、絶対に魔王たちを怒らせては
いけないと心に言い聞かせた。
「やっぱりユスティシーの照れは隠せないね」
クラークが軽く笑いながらそう言った。
そのあと、他の魔王たちとの戦いを無事終え
俺は正式に魔王たちの仲間になった。
俺は夕食を魔王たちと食べ、この世界について
教えて貰った。
ここで俺は大事なことに気づいた。
風呂入りてぇ!
この世界に来て、汚れは魔法で落とすため
風呂がなかったのだ!
試しにユスに風呂ある?って聞いてみたが
ふろ?なんだそれは?と言われた…
だがしかぁし!ここは魔法の世界!
なんだってできちゃうもんね!
俺は夕食を食べ終えた後に作業に移った。
まず、外に出て手頃な岩を集めるために
魔王城と川を行ったり来たり
岩が集まったらユスに頼んでおいた俺の
隣の部屋に移動させ岩と土魔法をうまく使い
岩と岩の隙間を無くして露天風呂の出来上がり!
あとは、水魔法で水を入れて火魔法で温めるだけ!
簡単だね!
ほんじゃあ早速はいりますか!
俺は服を脱ぎ捨てタオルを用意し
万全の状態でいざ風呂へ
「あぁ〜〜生き返るぅ」
風呂ってすごいな…流石、リリンの文化の極みだよ…
疲れがとれるぅ…最高…
俺が風呂でゆったりとしていると
ユスが部屋に入ってきた。
「失礼するぞ…セラっ!お前なんで
はだ…はだはだ…」
口をワナワナさせている、うんかわいい。
「これは、風呂って言ってとっても
気持ちいいんだ…良かったら一緒にどう?」
俺は冗談交じりに言う。
「少し待て」
そう言って、部屋の扉を閉じた。
あれ?今待てって…まさか…嘘だろ?
〜5分後〜
「失礼するぞ」
そう言って部屋の扉が開かれる。
そこには大きめのタオルで体を隠した
顔の真っ赤なユスの姿があった。
「チャポン」
という音と共にユスが風呂に浸かる。
「おぉ…これは気持ちいいな…」
幸い、換気とか考えていなかったおかげで
湯気であまりみらずにすんだ。
「だろ?」
あれ…のぼせたかな…クラクラする…
「こんなの思いつかないぞ」
「ブクブクブク…」
「おい!大丈夫か!」
俺はユスに持ち上げられ意識を取り戻す
「ごめん…ありが…」
お礼を言おうと顔を上げた瞬間、
ユスの未発達な体が目に焼き付けられる。
「ブクブクブク…」
「しっかりしろ!」
あぁ…久々にいいもん見れたぜ…
ありがとよ神さま…
俺が地面で目をつむって神様に感謝を
告げていると
「えぇっと…こんな時は…えっと…えいっ!」
ん?えいっ?何をえ…むぐっ!
俺の唇が柔らかい何かによって、塞がれる
俺は何が何か分からず、そこで意識を失った。




