四十三話 賢者と魔王について教えてくれるようです
「……?」
いきなりどうしたんだ?
次々と魔物たちがひざまづいていく
よく見ると震えているようだった…
「俺じゃない…?」
後ろに違和感を感じた俺はゆっくりと振り返る。
そこには人型の魔物が一体いるだけだった…
「うっ!」
直後、体が硬直し動けなくなる。
この感じ…初めて邪竜にあった時と同じ…
いや、それ以上の…
人型の魔物は俺の横を通り過ぎて、
魔物の群れの方へと歩いていく。
今なら…
「鑑定」
小さい声でつぶやくと無機質な声が聞こえる。
【鑑定する事が出来ません。】
嘘だろ…そんなことって…
人型の魔物は、他のひざまづいている魔物に
「先に俺を呼べっていったろ?」
んあぁ⁉︎喋った⁉︎魔物って喋るの⁉︎
すると、魔物たち震えながらは顔を縦に振る
「まぁいいや…で?君は?」
「……」
「……」
「えっ!俺?」
「いや…君しかいないだろ…」
「いやっ…ただの学生…」
「ただの学生はここの魔物相手に刀一つで
来たりしないんだけど…」
「……」
「まぁいいや、でも久しぶりだなぁ人間がここに来るなんて」
「あなたは魔物なのか?」
「俺は高位魔族…えっと…まぁいいか」
何かを決断したように言う
「そして…魔王軍の幹部」
へぇ…なるほど〜魔王軍か〜なら仕方ないなぁ…
じゃねぇよ!魔王軍ってなんだよ!
「ま、魔王軍って…」
「はぁ…知らないの…?普通魔王軍って聞いたらみんな逃げ出すんだけど…」
「魔王軍とかどうでもいいや、だって襲ってくるわけじゃないだろ?」
「まぁ…だるいし」
魔王軍の幹部がそんなんでいいのかよ…
もうちょっとやる気出そうぜ?
「でも、わざわざ魔王軍の幹部様が
こんなところに?」
「君は、賢者って知ってるだろ?」
「確か、正義の象徴とか崇められてる
強い奴らだろ?」
「やっぱりか…」
魔族の男は頭を手で押さえて、やれやれといった感じで言う。
「魔王軍について何か知ってる?」
「まぁ、いい話は聞かないな…」
昔、父さんに魔王軍は悪い奴らだと
散々言われてきたからな…
「言っとくけど、賢者よりも魔王軍の方が
よっぽど正義の味方だぞ?」
「いや…魔王だろ?国滅ぼしてフハハハハだろ?」
「うちの魔王様むっちゃ真面目だぞ?
この前も環境保護とか言われてはるばる
魔界まで呼ばれたんだぞ?」
「魔王が環境保護て…ふふ」
「まぁそんな感じで、魔王軍は悪い事して
ないんだよ」
「もしそれが本当としてなぜ魔王軍は
悪いって言われてるんだ?」
「説明すると長いんだが…簡単に言えば
賢者がな…」
「それを俺に言ってどうするんだ?」
「いや…君強いし、こっちこない?」
「まぁ…賢者にはお世話になってるからな」
主にルミリアの件でだが…
「まぁ…話を聞くぐらいなら…」
「だよな…無理だよな気にしないで…
え?いいのか?」
「なんか楽しそうだから」
「じゃあ…立ち話もなんだ、奥で話そう」
そう言われて俺は魔族の男についていった。
「じゃあ…長くなるけど聞いてくれ」
「わかった」
椅子に腰掛けて、話を聞くことにした。
〜説明中〜
「なるほど…」
聞いた話によると…
最初は正義の象徴と言われている通りの
平和を望む最強の称号を持つ5人の様々な
種族最強の者たちだったらしい…
だが、1人 また1人と権力や金に執着する様になっていったそうだ…
それに嫌気がさし、魔族の賢者が賢者の称号を捨てて間違った賢者たちを正すべく
魔王として立ち上がったらしい…
その話を聞いた魔族の仲間たちが1人 また1人と
集まり、今の魔王軍が出来上がったそうだ。
ちなみに、嘘だろ…って思ったら
無機質な声の人が
【嘘ではないようです】
と言っていたから嘘ではないようだ。
この話が本当なので乗ることにする
ルミリアに手を出したのでね?
間接的に関わっているだけで万死に値するからね?
「で?信じるけど何かあるのか?」
「信じるのか?俺が言ったらなんだが嘘だという事もあるんだぞ?」
「じゃあ今の話は嘘だったのか?」
「……ありがとな」
「俺は俺の守りたいものがあるからそっちの方が都合が良さそうだし…」
「じゃあ早速だが…魔界に来てくれないか?」
「今から?どうやって?」
そう言うと魔族の男は魔法を唱える
「デモンズ ゲート」
すると、目の前に黒色の扉が現れる
「この扉は魔界に繋がってるから」
「わかった」
俺は驚きつつも魔族の男に連れられ
扉に向けて歩き出した。




