三十五話 嫌な予感は的中したようです
「こちらも試合が決まったようです!」
すると会場が拍手に包まれる
「うわぁ…」
俺は思わず声に出してしまう
なぜなら次の試合相手は、これまでの試合で
魔法を使わずに勝利してきたので情報が少ないのだ。
「続いてCブロックの決勝とDブロックの決勝を始めます!」
元気の良いアナウンスが聞こえてくる
「この試合で気になる選手はいますか?
ルンナちゃん!」
「Dブロックの決勝では前大会の優勝者とベスト4が戦うので気になりますね」
「どちらが勝ってもおかしくありませんからね!おおっと試合の準備ができたようです!」
よくあんなに元気に喋れるな…まぁ次の試合に
集中集中っと
そういえばルミリアたちどうなったかな…
そんなことを考えながら俺は試合を見るため
観客席へと移動した
「ここっすよ!」
ルシウスの声が聞こえてくる
「おう」
そう言って俺は席に座る
「次の試合相手は要注意」
アイリスが顔を覗き込ませながら言う
「確かにな」
次の試合相手は魔法を使っていないため
対処の仕方が難しい
「セラフィム様なら大丈夫でございますわ」
アンネロッタは尊敬の眼差しで俺を見ながら話す
「そうだといいんだがな…」
俺は嫌な予感しかしなかった。
すると元気の良いアナウンスが鳴り響く
「では!C、Dブロックの決勝をおこないます!試合開始!」
「前大会の優勝者だったっけな…」
俺はDブロックの決勝に目を向ける
さすがと言ったところか…前回優勝者と言うだけあり、無駄な動きがない。
次々と魔法をかわしていく
「あれと戦うのやだなぁ…」
封印とかなきゃ勝てないわ…あれ
俺がナイーブになっていると
「ルミリア…」
ボソッとアイリスがつぶやく
「おっしゃ!やってやるぜぃ!」
俺に気合いが注入される。
「そういえばルミリアたちはどうなってんだ?」俺が尋ねるとルシウスが
「確か…準々決勝までいってるらしいっすよ?」
準々決勝か…すごいな…まぁ会長たちも
いるし当たり前かな?
「じゃ!そろそろいくわ!」
俺が観客席を立ち上がる
「応援していますわ!」
「グッジョブ」
「頑張るっすよ」
3人が俺に一言かけてくれた
「おう!」
そう言って俺は観客席をあとにした
「試合終了!」
アナウンスが流れる
「いやぁ前大会優勝の称号は伊達じゃありませんね!」
「見事な試合運びでしたね」
確かに素晴らしい戦いだった…しかし戦う
となると話は別だ
「続いてはAブロック、Bブロック優勝者の
試合ですね!選手は準備してください!」
アナウンスと共に俺は会場に入る
「いよいよ個人トーナメントも終盤戦!
この中の誰が優勝するのでしょうかぁ!」
相変わらず元気良いな…
「準備ができたようですね」
「では!試合開始ぃ!」
アナウンスが流れ俺は勢いよく飛び出す
幸い相手は魔法を使わない、肉弾戦に持ち込めば勝てる!
その考えはすぐに崩れ去ることになる
俺は相手の懐に潜り込みパンチを繰り出す
だが、相手は俺のパンチを軽々と避け
逆に俺の腹筋に相手のパンチが命中する
鱗を展開していたためダメージは少ない
俺はすかさず蹴りを見舞うが
これも避けられ逆に足を掴まれ投げられる
「ぐぁっ!」
俺は勢いよく吹き飛ばされる
まずいまずい!強すぎる!肉弾戦はダメだ…
俺はすぐに距離を取り魔法で攻撃する作戦に
変更する
「ニヒリティ ヘレクセイ」
相手がつぶやく、だが特に変化は何もない
なんだいまの…
俺は気にせず魔法を放つ
「風炎テンペストフレイム!」
「……」
だが俺の手からはなにも出ずに
シーンと無音状態になる
「あれっ?」




