二十七話 第一次 俺、争奪戦終戦だそうです
「私が勝つよ!」
ルミリアは自信満々に言う
「勝つのは私ですわ!」
アンネロッタも気合いが入っているようだ
「恨みをこの手で…」
アイリス…
3人は今バチバチと目線で火花を
散らせながら向かい合っている
「じゃあ…スタート」
俺の掛け声で3人はその場から離れる
ルミリアは周囲を警戒しながら
魔法の準備をしている
アンネロッタは試合前に渡していた
木で出来たレイピアを装備する
アイリスは茂みに隠れているようだ
すると動きがあった
最初に動いたのはアイリス
アイリスは運良く隠れているアンネロッタを
見つけ静かに魔法を打ち込んだのだ
アンネロッタのいた場所はたちまち
火に包まれる
だが魔法が当たる寸前でアンネロッタが
その場から離れ魔法を回避する
アイリスは逃げられたことを確認すると
チッ!といった表情でその場から走りさる
「今のは危なかったですわ…」
アンネロッタはギリギリ回避できたものの
本当にギリギリだったので
冷や汗をかいている
するとアンネロッタは後方から飛んできた
魔法をジャンプして避ける
ルミリアだ
ルミリアは魔法を外したが逃げずに
アンネロッタの方へと魔法を放ちながら
距離を詰めていく
アンネロッタは飛んできた魔法を
レイピアで弾いたり弾道をよんで避け
ルミリアの方へと走っていく
ルミリアが魔法を放つのをやめる
今アンネロッタとルミリアの距離は
僅か5メートルくらいだ
ルミリアは拳を構える
アンネロッタは木のレイピアを構える
「なるほど…相手の土俵で戦うのか…
ルミリアらしいな」
俺は微笑みながらつぶやく
ルミリアがアンネロッタの間合いに
入った瞬間目にも止まらぬ早さで
レイピアを肩.脇腹.足.腰.と
一瞬で4回の突きを浴びせる
だがルミリアはレイピアが体に触れる直前
鱗を展開させた
ダメージはほとんどないようだ
鱗にアンネロッタが驚いていると
ルミリアは一瞬にして背後に回り
拳を繰り出す
アンネロッタはギリギリで反応し
レイピアで拳を受け止める
ルミリアさん強すぎじゃね?なんで俺の技を
使えるの?教えた覚えが無いんだが…
ルミリアは両拳を握り
アンネロッタはレイピアを右手で握る
ルミリアは両拳、両足を使って
休ませることなくアンネロッタを攻撃する
一方アンネロッタはあらゆる方向からの
攻撃をレイピア一本で捌きつつ
捌けない攻撃はひらりと避けている
「スゲェなアンネロッタ…
ルミリアの攻撃を凌ぐの結構難しいんだけどな…」
2人は一歩も譲ることなく
レイピアと拳を交差させている
すると
「どーん」
という声のあとに2人の戦っている場所を
謎の箱のようなものが包み込む
アイリスだ…
2人は箱から脱出しようとしたが
戦いに夢中で気づくのが一瞬遅く
閉じ込められてしまった
アイリスは箱の前に姿を現わすと
「これでセラフィムと…ふふふ」
その言葉のあと箱の地面の部分が
泥となり2人の足の自由を奪い
光の輪のようなものが出現し
ルミリアとアンネロッタを拘束する
てか怖いよアイリス!
ふふふってなんだよ!怖すぎるよ!
「解除」
アイリスがそう言うと箱が消える
2人は光の輪から抜け出そうとするが
あえなく撃沈
この瞬間
3人の美少女によるバトルロワイヤルもとい
俺、争奪戦に終止符が打たれた
3人は俺の方へと戻ってくる
「おつかれ」
俺が声をかけると
「テストも負けたのに…」
と悔しそうにつぶやくルミリア
「まだまだ私も修行が足りませんわ」
アンネロッタは若干落ち込みながら言う
「私の勝ち、これで…セラフィムと…」
「てかアイリス?いつから俺の事を
名前で呼んでくれるようになったんだ?」
俺が尋ねると
「それはまだ言えないけど…嫌?」
アイリスは上目遣いで聞いてくる
「もちろん嫌じゃないよ!でもどうする?
すぐに俺と戦う?それとも時間開けた方がいいか?」
「すぐ戦う…これでやっとふふふ」
アイリスは俺の方を見て
なぜか頬を赤く染めていた




