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二次創作系

僕が死ぬまで掃除するのをやめない!

作者: 影都 千虎

「はい、というわけで見つけてきた『お掃除戦争』なるゲームの実況を始めてみようと思うよ。実況者は僕ことユーレイだよ! どんなゲーム内容なのかとかパッケージすらロクに読んでないからドッキドキだね!」

 偶然にも行きつけのお店で見つけた『お掃除戦争』に何となく惹かれて実況動画を作り始めたけど、一体どんな内容になるのかな。レビューとかも見なかったから本当に予備知識ゼロなんだよね。クロでも誘っておけばよかったかなぁ。

 なんてことを考えながらコントローラーを操作しスタート画面から先に進める。するとよくありがちな感じでプロローグが始まった。

「『ある日の清掃時間……全てはそこから始まった』……って本当に掃除するんだね? えーっと……、なになに『清掃時間と放課後の全てを掛けた壮大な戦争が始まるなんて、最初は誰も想像なんてしていなかった』? いや、掃除しようよ。最初じゃなくても掃除が戦争になるなんて誰も想像できないよね」

 何だか設定がぶっ飛んじゃってるなぁ。実況していて破綻するようなゲームじゃなきゃいいんだけど。あとは手頃な縛り内容があると嬉しいなぁ。初見でどこまで縛れるのかっていうのが難しいところだけど。

 そんなプロローグは早々に終わっちゃってキャラメイクが始まった。結局どういうストーリーなのか想像もつかないままなんだけど、これもこれで一興ってとこかな?

 キャラメイクはパーツがかなり充実してて作っていて楽しいね。服装もかなりの種類があって、マニアックな服装にも出来るみたいだけどここは無難に『セーラー服(夏)』にしておこうかな。装備のステータスが一番低いのこれだったし。

「へぇ……スカートの下にはくハーフパンツの有無も決定できるんだ。じゃあこれは視聴者サービスも兼ねて無しに設定しなきゃだね」

 パンツが見える見えないは重要らしく、ハーフパンツ無しに設定するとただでさえ低いステータスが更に一段階落とされた。更にステータスに『行動制限(羞恥)』って付け加えられたんだけど、これはどういう効果があるのかな? 説明が全く出てこないからこれの効果が出てくるまで対策のしようが無いって少し怖いね。

「ふむ、次は最初の武器か……案の定って言ったらそこまでだけど、やっぱり武器は全部掃除用具になるんだね。初見でどんな効果があるとか全くわからないからステで選んでみるけど、一番ステが低くて用途が分からない『ちりとり(小)』が無難な選択になるのかな。『ちりとり。集めたごみを掬ってゴミ箱まで運ぶハンディタイプのアイツ。縦にすれば殺傷能力が増す』ってセツメイブンガ中々クールだね。掃除用具に殺傷能力を求めるのはどうかと思うよ」

 一応サブの武器も選べるみたいだけど、初めだしここは敢えてなにも選ばずに進めることにしてみた。その他にも雑巾の初期枚数とかも選べるみたいだったけど、全部ゼロにして飛ばしていくよ。これでどうしても詰んだら装備を考えなきゃいけないけど、淡々とクリアーできる難易度だけにはしたくないからね。

「最後はアビリティ選択みたいだね。これもどれが強いとかよく分からないけど……この『砂化』って奴は一番強そうだしちりとりとも相性が良さそうだから見送り必須かな。うーん……この『水溶液凶悪化』が一番良さげかな。『作った水溶液は溶質を溶かす』なんて能力、どこに使えばいいのか分からないもんね。ちりとりとも相性が悪そうでゾクゾクするね。初見なのに悪手に悪手を重ねてる感があるよ!」

 あとはこれからの内容次第。キャラメイク画面を終了して、早速ゲームスタートだよ。

 最初にすごく手短で簡単なチュートリアルがあったけど、あんまり難易度の憶測の参考になるような内容じゃなかったね。取り敢えず、相手の攻撃から身を守ってダメージを抑えつつ、敵を突破して各エリアのボスを撃破していけばいいって至極シンプルなものなのはわかったけど、キャラメイクでこれだけ凝ってたからシンプルすぎて逆に不安だね。

 チュートリアルが終わってキャラを自由に動かせるようになったから敵が出てこないうちに動作の確認をしてみる。ジャンプ、ダッシュ、蹴り、パンチ、ちりとり……この辺の動作は割と普通だね。ちりとりもちりとりを振り回したり盾にしたりするだけだし。

「おおっと?」

 飛び蹴りや空中一回転捻りなんて離れ業も出来そうたったから試してみたんだけど、動作の途中でキャラがスカートを抑えて動作をやめちゃったね。どうやらこれが『行動制限(羞恥)』の効果みたいだ。

「激しい動きをするとスカートが気になって動かなくなっちゃうんだね。金縛りみたいなものだと思っておけばいいのかな」

 プロローグの内容が意味不明だった割には随分現実的な効果だね。縛りにはうってつけだけど。

「さて、ぐだぐだしてないで早速先に進んでみようか。この教室は誰もいないし出ちゃっていいのか、なッ!?」

 見渡す限りただの空き教室で油断しきっていたのだけれど、教室から出る直前、扉の目の前にある掃除用具入れからの突然の奇襲に思わず叫んじゃった。用具入れの扉がモロに当たったらしくて体力がごっそり半分ぐらい持ってかれている。これは初見殺しにも程があるし中々鬼畜だね!?

 先行きが不安だから回復をしておきたかったんだけど、持ち物を見てみても回復アイテムは何処にもなかったから諦めるしかないみたいだ。仕方ないからこのまま廊下に出るしかないんだけど、これは結構注意して進まなきゃいけないね。

「……で、廊下に出た瞬間に雑巾が飛び交うってどういうことなのかなぁ!? これって掃除するゲームじゃなくて、掃除時間中に遊びまくるゲームなの?」

 息をつく間もなく雑巾が突然とんで来るって中々ひどい学校だよね。しかもその数が一枚や二枚じゃなくて弾幕をはるレベルってところが余計に。シューティング系は結構なれてるし、武器がちりとりってところにも救われて飛んでくる雑巾を全部捌けてるからいいけど、避けきれなかったらこの面だけでゲームオーバーになりそうだね。初見を全力で殺しにかかってるよ。

「って思ったらダメージ受けてるんだけど何で!? 僕これ全部捌いてるよね!?」

 おかしい。雑巾を弾きながら進んでるのに体力がぐんぐん減っていく。何が被弾してるんだろう?

「……ん? あれ? これってもしかして雑巾に水が含まれてて、その水が被弾してるって事なのかな? 心なしか制服が濡れていってるような気がするね……ってちょっと待ってここでもう『行動制限』が発動しちゃうの!?」

 確かに夏服だから濡れたことでうっすら下着が透け始めちゃってるんだけどさぁ! これはちょっと判定が厳しすぎるよ!!

 行動制限が発動しちゃったお陰で雑巾が捌けなくなり、あっさりと体力が持ってかれてあっさりとゲームオーバーになった。これは……かなり、中々、中々のゲームだね……。

「……よし、気を取り直してコンティニューしようか」

 僕とお掃除戦争の戦いは始まったばかりだよ。

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