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高校生男子の視点【その1】 恋なんて妄想だ!

 頭ん中で、ずっと何回もリピートしてる映像。自転車をガンガン立ちこぎして、帰っていく彼女の背中。潮風でバサバサ揺れる、スカートのすそ。


 夕方に、海で出会ったあの子の残像が、目に焼きついてる。


 俺は家へ帰ってすぐに、自分の部屋のベッドへ寝転んで、目をつぶって、スカートの中に広がる宇宙をふわっと想像した。うわっ、めっちゃ気持ちいい。妄想の中じゃ、俺の右手は、未知の宇宙をふわふわと漂って探索してる。赤いタータンチェックのミニスカート。白い肌。むっちりした太もも。触ったら、すべすべしてんだろうな。


 ベッドの上で寝返りを打って、布団をギュッと抱きしめる。もしも、俺の腕の中にあるのが、あの子の体なら。どこ触る? 尻? じゃなくて、あのデカそうなおっぱい? こんな布団よりずっと、ふっくらと柔らかいはず。俺の汗臭い布団とはぜんぜん違う、いい匂いがして――


 ――ダメだ! 想像がふわっとしすぎて、実感わかない。女の体なんてまともに見たことがないし、触ったこともない。実測データ足りなすぎ。だって俺、あの子と一緒にいたとき、鼻のすりむいた傷をちょこんって触っただけだし。


 それにしても、触った俺の指まで、いい匂いしてきそうなくらい、あの子、かわいかったな。


 ああ、嗅ぎてー。あの子のふわふわした長い髪、あそこへ顔埋めて、すーって深呼吸したい。

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