<第25話>俺について来い
>今どこ
拓途から、RINEのメッセージが届く。
< いま保育園の駐車場
私は、すぐに返信した。
私は、保育園へ娘のはるを迎えに行こうとして、駐車場で車を降りたところ。そのまま保育園の方へ、スマートフォンの画面をいじりながら歩く。
< 拓途はどこ?
私は続けてメッセージを送った。あれ? 今、RINEの着信音がかすかに聞こえたような……。
もしかして、拓途は近くにいる? まさか。空耳じゃないの?
でも、今日もまた彼が会いに来てくれたら、嬉しいな。ふふっ。
昨日の夕方に、保育園の前で待ち合わせして、はると3人で、回転寿司を食べに行ったの。はるは拓途が大好きで、ずっと彼にべったりで甘えっぱなし。
はるが『ぱっぱ!』って言ったときの、拓途のリアクション最高だったよ。あのギョッとした顔、面白かった。彼ってば、はるに『パパ!』って呼ばれたのと勘違いしたみたい。はるは2才で舌っ足らずだし、『カッパ!』が上手く言えなくってね。回転寿司のレーンに流れているカッパ巻きを取って欲しかったんだよ。
うふふっ。ゆうべはちょっと想像しちゃったな。はるの『パパ』になった拓途。3人で手をつないだり、お布団並べて一緒に寝たり。キャーッ、無理無理! 『パパ』なんて若すぎるよ。拓途は、まだ高1だもん。
私は下唇をかんで、ニヤニヤ笑っちゃいそうなのをこらえつつ、駐車場を出る。
その瞬間、いきなり誰かに手首をつかまれた。
「キャッ!」
私がびっくりして顔を上げた。目の前に拓途が立っている。ええっ! 本当に、彼が会いに来てくれていたんだ。嬉しい!
でも、すごく怖い顔だよね。目は血走っているし。拓途いったいどうしたの?
「これは、俺のやつだ」
拓途は、私の手をぐいっと引く。それはどういう意味? 私は、拓途のものだって言いたいの? やだーっ、ドラマのセリフみたい。
「ぜってー逃がさねえぞ。俺について来い!」
拓途が乱暴に、私を引っ張った。
「えっ? でも」
突然のことにドギマギしつつ、私はされるがままに、彼についていく。
だって。
こんな男らしい拓途は、初めてだもん。
彼は、呆れるくらい優しい子なんだよ。昨日だって、晩ご飯に何を食べようか相談したときには、『俺が何食いたいとかより、なつは?』って気遣ってくれたの。でも今日の拓途は、まるで別人みたいに強引で……ドキドキしちゃうよ。
ギャップに惹かれるって、こういうこと?
「ねえ、急にどうしちゃったの?」
私は訊いた。




