表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/61

拓途視点【その8】 彼女ホイホイ大作戦☆パート1

 風呂上がり、牛乳飲もうと思って台所へ行ったら、女がいた。


「うわ……ちょっ!」


 俺はあせって、首にかけてたバスタオルを、腰に巻く。今はうちに誰もいないはずで、めっちゃ油断して、ボクサーパンツ一丁だったし。


「よっ! 拓途」


 テーブルにひじついて座ってるのは、うちの親戚のオバさん。


「何だよ……カナちゃんか」


 俺はホッとして言った。カナちゃんは、俺の父親の妹。年は……30過ぎてたかな。俺がオバさんって呼ぶとキレて返事しないし、しょうがないから名前で呼んでる。


「来る前に、連絡とかくれる? いきなりだとびっくりする」


 俺は文句たれつつ、カナちゃんの向かいに座る。   


 うちはカナちゃんの実家なんだし、合い鍵だって持ってるし、来てもいいけど、アポなし突撃はやめてほしい。

 

「さっき、玄関の前でメールしたよ。『到着ぅ~、今から突入します(ハート)』って」


 カナちゃんは、面白がってる感じでヘラヘラ笑ってる。


「風呂入ってたし、見てねえわ」


 俺は脱力して、テーブルに突っ伏す。


「家の前からメールって、それじゃ服着るヒマねーし」


「あはは。隠すほど立派な身体じゃないから、いいじゃん!」


 カナちゃんが、俺の肩をバシーンと叩く。


「拓途、あんたヒョロヒョロだね。そんなんで、よく彼女ができたもんだ」


 カナちゃんは、感心したみたいに言う。

 

「はっ?」


 俺はびっくりして、顔上げて、カナちゃんを見た。


 俺に彼女できたって、なぜ知ってる?


「かわいい子なんだってねえ。お肉屋のおばちゃんに聞いたよ! ここ来る途中に、ばったり会っちゃって。ウフッ」


 噂が大好物です! って書いてある、カナちゃんの顔。


「反応薄いなー。おばちゃんの店で、一緒にコロッケ買った子が、拓途の記念すべき初彼女なんでしょ? ほーらほら、もっと浮かれなさい! いいのよ。浮かれても。それがフツーだもん。だいたいみんな、初めての彼氏や彼女できると調子こいて、イタい人になるからね」


「う……ん」


 俺はどう返していいか、わかんない。


 なつは、俺とつきあえてホントに嬉しいのかな? どうでもいいんじゃないか? 俺みたいに、何も行動できない奴。


 昨日は、もう5cm前へ出てたら、なつとキスできた。なつがリードしてくれてたのに、俺は踏み出せなかった。しょーもないヘタレだ。つきあおうって言えたのも、なつがRINEできっかけ振ってくれたおかげ。俺、自分で言い出せるほど、ハート強くない。


 今日は、キスまでは無理かもしんないけど、手ぐらいつなぎたかった。つきあえてめっちゃ幸せだって、なつに言いたかったし、ずっとこのままでいれたらと思ってた。だけど、俺が学校でドジったせいで、なつとの待ち合わせに遅れちゃって、まったく会えず。


 なつにはRINEで謝った。そのあと、ずっと“読んだ!”のマークがついたまま、返事来ない。勇気ギュッとしぼり出して電話もかけたけども、なつは出てくれない。完全に無視されてる。


「やだなあ。どうしてそんなに暗いの?」


 カナちゃんが、呆れたみたいに訊く。


「まさか、彼女と喧嘩でもした?」


「うーん」


 俺は、上手く答えらんない。


 現状それよりひどい。なつがしゃべってくんなきゃ、喧嘩すらできないし。


「もしかして、彼女の前で、そういうハッキリしないしゃべり方した? そりゃまあ、あんたと話すのもイヤになるだろうね。あのね。たぶん、彼女がキレてんのは、拓途のそういうグダグダなところだよ!」


 カナちゃんは、ドヤ顔で言い放つ。


「あーそーなんだー。彼女が冷たいんだねえ。あんたは黙ってても、表情見てたら全部わかるわ」


 くそっ。完全に俺のこといじって楽しんでるな。カナちゃん。


「ふふーん。じゃあ、彼女から進んでホイホイ連絡してくる方法、教えてあげよっかな?」


 カナちゃんは、えらそーに腕を組んでる。


「よーく聞きなさいよ! 題して、彼女ホイホイ大作戦」


「何だよ、それ」


 なつをゴキブリみたいに言うな! と、俺は心の中でツッコんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ