拓途視点【その3】 わあ すごいね
< わあ すごいね
あの子から返ってきたメッセージを、俺はずっと眺めてた。
彼女とRINEで話し終わったあと、ベッドに正座したまま、何十分もそうしてる。
彼女の鼻にかかった声を思い出しつつ、その声で、『わあ すごいね』って、頭ん中で何回もリピート再生して、俺はもうニヤニヤ笑いが止まんない。
褒められた! あの子が、俺のことめっちゃ褒めてくれた!
【YO! それで満足か】
心の声がした。
うんうん、大満足! あの子は、家族のために飯を作るらしいし、料理とか好きそうだから、俺がだし巻き卵を作れるって話したら、ちょっとぐらい俺に興味を持ってくれるかなって思ったんだ。それにしても、彼女があそこまで褒めてくれるなんて思わなかった。
ぐふっ。幸せすぎて、笑い止まんない。
明日も海へ行ったら、あの子に会えるかな?
>また明日!
って、さっきRINE送っといたし、来てくれるよな?
もし来てくれたら、俺に興味あるってことか?
うわあ、ドキドキして寝れんかも。ほんとに来るかな? 楽しみだ! 明日会えたら、もっといっぱいしゃべって、あの子のこと知りたい。
今、何してるんだろ?
妹の風呂がどうとか書いてたから、あの子も一緒に、風呂に入んのか?
うおお! 妹、うらやましすぎる!
寝るときは、胸とか袖とか、レースがついてるパジャマとか着てんのかな? あの子って、茶色くてふわふわの髪してるし、ヒラヒラッとなってるやつ、似合いそうだ。いいなあ。そういうの着たら、めっちゃかわいいだろな。




