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南風通信  作者: 南 晶
24/31

Say Yes!

 作者がテレビを見なくて新聞も取っていないため、情報が入るのが非常に遅いこの『南風通信』、今回も今更感一杯のネタで申し訳ありません(笑)

 

 昭和生まれの私には非常にショックな事件をネットで目にしたので、思わず筆を取ってしまったのだが、言わずと知れた某有名歌手の逮捕の件である。

 いや~、ビックリしたというか、やっぱりと言うか、複雑な心境なのだ。

 件の某歌手については、確か半年くらい前にも週刊誌で激痩せ写真なんかが掲載されて、覚せい剤疑惑はその頃から仄めかされていたのだが、決定的な証拠がなかった為か、今まで警察を動かすまでには至らなかった。

 いや、きっと週刊誌に記事が掲載されるずっと前から、警察は水面下で動いていたんだろう。

 今回の逮捕は、ようやく証拠を掴んだ警察の満を持しての快挙だったのかもしれない。


 地方都市に在住の一般市民である私は、芸能人が逮捕されたり自殺したりする事件を見る度に、「東京ってどっ怖えーとこだらぁ」と恐怖を覚えるとともに、こんな田舎では絶対誰も持っていないであろう覚せい剤が、東京だとそんなに流通しているものなのかと、同じ日本で起きた事件である事が信じられないのだ。

 しかも、今回逮捕された超有名歌手には少なからず思い入れがあった。

 私だけでなく、昭和40年代生まれの方で、彼のCDを一枚も聞いたことがない人は皆無に近いだろう。

 爽やかな高音ボイス、ポップなメロディーラインに切なくも激しい歌詞・・・どんな女性も彼の歌を聞けば「こんなん彼氏に言われたい!」と一度は思ったに違いない。

 そして、何を隠そう、私が初めてCDをシングルで購入したのが、今回逮捕された某歌手の代表曲とも言える『Say Yes』だったのだ。

 

 私が中学生になった頃、ようやく音楽がCDで発売されるようになった。

 今の中学生の方々には信じられない話だろうが、CDが存在しなかったそれ以前は、音楽と言えば「カセットテープ」で「ダビング」していたのだ。

 CDがないのでCDレンタル店も存在せず、音楽を家で聞こうと思ったら、誰かが購入したカセットテープを貸してもらってラジカセでダビングするしかなかった。

 もしくは、テレビやラジオから直接音源を録音する方法。

 我が家はシングルのラジカセが一台しかなかったから、ダビングするのはもっぱらこの方法だった。

 テープからテープにダビングするには、ラジカセを二台持っているか、同時にダビングできる「ダブルラジカセ」を買う必要があり、残念ながら、我が家ではなかなかそれが導入されなかった為だ。

「マドンナ」の「ライク・ア・バージン」が中学校で大流行してから軽く洋楽にハマっていた私は、夜中の12時くらいからテレビでやっていた「MTVミュージック・ティー・ビー」なる番組の前でひたすら

録音をしていた。

 洋楽アーティストのプロモーションビデオを延々に流すこの「MTV」は、日本語のキャスターもおらず、音楽だけ録音するにはもってこいの番組だったのだ。

 稀に、夜中起きてしまった母親が「ガラリ!」とガラス戸を開けて「いつまで起きとるだん!はや寝りんよ!」と怒鳴る声も入ってしまうのだが、他に音楽を聞く方法がなかったあの時代、母の罵声入りのライク・ア・バージンでもありがたかった。

 思えば、今の学生さんはスマホやらyou tubeやら、聞こうと思えば、どんな音楽も聞ける訳だから、これはホントに羨ましい限りである。

 ネットどころかビデオもなかった私の学生時代は、テレビに頻繁に出演しているアイドルでない限り、アーティストの動いている姿を見るのは非常に難しかった。

 大好きだったロックバンド「レベッカ」の動いている姿を初めて見たのも、大学になってから行ったカラオケの動画だったくらいだ。


 80年代バンドブームの時代に高校生だった私は、その当時の普通の高校生と同じ様に「BOOWY」「X」「TMネットワーク」にハマっていったのだが、大学に入った頃から社会的変化が訪れた。

 昭和天皇が御崩御され、時代は平成に変わった。

 どちらかと言えば、「人口多過ぎ競争社会に反発する反社会的ヤンキー」っぽかったロックが終わり、爽やか路線のポピュラーミュージックが、当時、流行っていた恋愛ドラマ(俗にそれらをトレンディー・ドラマ」と呼ぶ)とタイアップして広まるようになった。

 国民的ドラマになった「東京ラブストーリー」の最終回は国民の半分くらいが見ていたくらいの視聴率で、その主題歌だった「ラブストーリーは突然に」は街中で流れていた。

 あのドラマの主人公だったリカちゃんやカンチのファンションが全国的に流行してしまった為、関西の大学生だった私達まで、白いタートルネックセーターに紺色のブレザー、ジーンズとローファーという今思えば奇妙な服装をしていたっけ・・・。

「セ◯クスしよ!」というリカちゃんの大胆セリフはあわや流行語になるところであったが、それを言い切っちゃうほど自意識過剰な人間でなかった私にはハードル高過ぎて、使いこなすまでには至らなかった。

 なんかまた観たくなってきたな、東京ラブストーリー。

 東京に住んでるからって、皆が皆、リカやカンチみたいなドロドロ恋愛をしていないとは分かっているんだけど、やっぱり東京ってどっ怖えーら、とそこでも思ってしまう私だった。


 そして、「東京~」が終了した後、月曜日の9時からの枠で放映されたドラマが、今回逮捕されてしまった某歌手の歌う「Say Yes」が主題歌の「101回目のプロポーズ」だった。

 普段は毎週見るほどドラマに執着はしない私であったが、これは面白かった。

 当時、既にトレンディ俳優だった浅野温子さんと江口洋介さん、そして、まさかの武田鉄矢さん。

 恋人を亡くしてトラウマを持った浅野温子さんの前で、走ってくるトラックの前に飛び出し「僕は死にません!」と叫ぶ武田鉄矢さん。

 その瞬間に流れだす「Say Yes」は感動的過ぎて、今でも聞けばあのシーンが蘇るくらいである。

 モノマネのネタとして使い回されたあのシーンだが、リアルタイム見た時には涙なしには語れない感動だった。

 その回の放映後、私は初めてCDを探しに店に行った。

 その頃にはCDラジカセ(その当時のCDプレーヤーにはカセットテープも使えるようになっていた)を持っていた私が、初めて購入した思い出のシングルCD。

 それが「Say Yes」なのである。

 

 皮肉な事に、逮捕後、彼の名前がネット検索のキーワードになったりして、音楽が再び売れているのだとか。

 こんな事で彼の実力が再認識され、人気が再沸騰したとしても、本人が拘留されていたんじゃ意味がない。

 もう既に印税で悠々自適な生活を送れるくらいには財産はあるんだろうし、どうして今更、覚せい剤に手を出してしまうのか、凡人の私には理解できない。

 でも、きっと、有名人って顔が割れてるだけに大変なんだろう。

 相方のチャゲさんが案外飄々と生きているのは、終始サングラス着用で顔を見せなかったからではないかと思う。

 誘惑の多い東京という大都市で芸能人として生きている彼には、一般人には計り知れないプレッシャーがあるんだろうな。

 必ず手に入れたいモノは誰にも知られたくない、と言ってた彼だけど、百ある甘そうな話なら一度は触れてみたくなったのかもしれない。


 とにもかくにも、この「Say Yes」、私の中では青春の1ページであり、あのイントロを聞いただけで武田鉄矢さんの名場面とともに、コンパの度にカラオケで熱唱していた同期生や、当時付き合っていた彼氏の事まで一緒に蘇ってくるという、思い入れ深い名曲なのである。

 件の某歌手の方には、是非、しかるべき治療を受けた後、音楽で復活して欲しい。

 芸能界で復帰は難しいなどと、毒舌が売りのコメンテーターがほざいていたが、彼はそもそもミュージシャンなのだ。

 今回の事も音楽の肥やしにしてしまえばいい。

 誰にも文句を言わせないすごい曲を引っ提げて戻ってきてくれることを、一ファンとして祈るばかりである。

因みに、その後に出た「YaYaYa」はレンタルしました。

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[一言] チャゲ&飛鳥、俺も中学生(彼等がデビュー当時)から聴いていました。 『ひとり咲き』を聴いた時に、その時はすでに解散していた世良公則&ツイストに通じる『男の艶っぽさ』を感じファンになりました。…
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