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 これからは王であるコーディオン(ってここで初めて名前を出すってどやねんって突っ込みは勘弁してくださいねw)視点です。変態ですのでご注意ください。


 最初、彼女をみたとき、あれは私の・・私だけのモノだと直感でコーディオンは悟った。

 いや、正確には彼女の魔力の気を見たときからだ。

 魔力を有する者は皆、それぞれここに合わせた気を纏うことになる。

 幼馴染みで第一公爵当主兼宰相であるエドワールは自分に次いでの大きな魔力を持つが、荒々しい性格にあった真っ赤に燃え上がるような気を纏っていた。

 そして自分自身は混じり気のない黒の気。

 それに対して、彼女の気は一点の濁りもない純白。

 いつからか王宮の脇にある魔術研究所からその気を感じていた。ひどく気になってエドワールにきいたことがある。

 だが、ひどく慌てたように、


『きにするな。ただの魔術師だから』


 と言うだけで何も答えてくれなかった。

 明らかに何かを隠している。それならばと、エドワールの隙をついてわざわざその気の許に行くことにしたのだ。

 そこで運命の出会いをしたのだ。






「ボ、ボス!こ、これ以上僕の力に負えません~!」


 1人の少年が必死な声をあげている。

 少年などどうでもよかったが、どうやら例の純白の気の持ち主に対してあげている声のようなので、その方をみる。

 少年が必死に両手を突き出して結界を張っている。どうやら魔術の特訓中のようだ。


「んん~?ブル?君のその魔力は限界値まで使うことで少しずつ限界値が上がるタイプなんだよ?大丈夫。私の力程度でつぶれるようなものではないから。な~に、つぶれるようなら私自ら屍はひろってあげるよ」


 その声を聞いた瞬間、不本意にもコーディオンの背中になにかが走った。

 大きく深呼吸をひとつしたあと、その方をみる。

 いままで27年間生きてきて、間違いなく最大ともいえる衝撃を思えた。数年前に前王の突然の死よりも謀反の報せを聞いた時よりも格段にでかい。

 薄い膜のような純白の気に包まれた少女。気の色に反して髪も瞳も漆黒のような輝きをしている。

 髪は無造作に縛りあげられている。瞳は猫のように大きく釣り上がった形をしている。

 ふっくらとしたピンクの唇に口付けしたら、どんな感じにその白い頬を赤く染めてくれるだろうか。

 18歳ぐらいだろうか?顔付きは16歳ぐらいだけれども、あの腰のくびれ方、胸の張りは旬の18歳ぐらいが妥当だろう。

 コーディオンは彼女があまり身体に密着していない服装にもかかわらず、的確に年齢を割り出す。


「そ、そんなむちゃ言わないで下さいよ。もう限界ですってば!」


 コーディオンの妄想を無視して、より一層必死な声をあげている少年。コーディオンは彼に対して怒りを覚えた。


 彼女の魔力を一身に浴びるなんて、なんと羨ましいことを。挙句の果てに屍まで拾ってくれる?そんな根性無しはその辺の道端に放置しておればよいものを。なんなら私のこの手で・・・・。


 当の少年が聞いたら、


『全力でお譲りします!』


と、言うであろう物騒なことがコーディオンの頭の中で展開される。




 ああ。やはり魔力の気はその人形ひとなりを現しているのですね。


 正直、彼女の容姿など気にかけてなかった。それほど魅力的な魔力の気だった。

 しかし、彼女の姿をみた瞬間に身体中の血が沸騰するような錯覚に陥った。

 彼女が私の存在を見つけこちらを真っ直ぐに見上げた瞬間、歓喜が足の爪から頭のてっぺんまでかけめくる。

 命の強さを感じさせる輝きに瞬く間に囚われた。

 もちろん、彼女以上に美しい人もたくさんいるだろう。しかし、この瞬間からコーディオンには彼女以外、その辺に散らばっている花や置物程度にしか見えなくなってしまった。






 

「お・・・おちつけ!コード。彼女の存在を知らせなかったのには、深いわけが・・・・」


 必死に隠そうとしたエドワールを問い詰めると、手をぶるぶる震わせながら言い訳をし始めた。しかし、コーディオンは聞くゆとりすらない。


「問答無用です。一週間苦しみなさい」


 見ているほうが胸やけをしそうなほど甘党なエドワールは、いつも甘いものを食べていないと気が済まない。

 長引く会議でも、休憩になるたびに甘いモノを口にしているぐらいだ。

 そんな彼にとって、甘いモノを禁じられるのが何よりのお仕置きになるのだ。

 自分でもあきれるほどある魔力を使用して、コーディオンしか使用できない術をエドワールの為だけに作成したのが、これ。


『味覚変換』


 これを掛けるとその間はいくら甘いモノを食べてもすべてが激辛に感じるであろう。






 そして、今までにない迅速さで貴族や魔術協会に裏をとって彼女を王妃候補に仕立て上げる。

 見たときにわかったが、さすがに王である自分にはかなわないにしても、王族とも血のつながりの深い公爵家の当主であるエドワールを遥かに凌駕する魔力の強さを持っていた。

 そのために、血を重んじる貴族どもの言い分を封じ込めることができたのだ。


 彼女が強い魔力を持つのも、私と結ばれるがためなんですね。


 このとき初めてコーディオンは運命というものを信じ口元の笑みを浮かべた。

 その表情をエドワールが見て、


「こ・・こえーよ。悪夢を見るからやめてくれ!」


 などと、身体を震わせながら懇願してきているのを無視して、彼女とのこれからを色々と妄想・・・考慮していた。





 

「ボスをどこに連れていくのですか!」


 ブルとかよばれていたあの根性無しの少年が、コーディオンの道を塞ぐ。さきほど眠りの術で安らかな眠りについた彼女を抱きあげているコーディオンは思わぬ足止めを食らった。

 よく見れば、彼だけでなく数人の男性が同じように立ちふさがっていた。


 よほど、殺されたいようですね。


 一瞬、毒の術でも放とうかと考えたが、彼女にとっては大切な部下であるとエドに忠告されたのを思い出した。


 それでも一度忠告しても駄目なら抹殺しますけどね。


「彼女は私のモノです。異論があるってならかかってきなさい。退きますか?逝きますか?」


 そう言いながら、あえてゆっくりと足を進める。

 コーディオンの本気を悟った彼らは蒼白な顔をしながら後ずさる。

 足止めがなくなったコーディオンはふりかえることもなく、軽々と彼女を抱きあげて王妃の間に連れさった。 






 ああ。これで私たちを邪魔する者はいません。貴女にも私をよく知ってもらいたい。でもそれ以上に私が貴女を知りたい。


 そんな、眼に涙をためて見上げないでください。これでも自制しているんですよ。本当に貴女はそんな私の歯止めをすぐにぶち壊してくれる。


 おっと、そんなに暴れたら倒れてその美しい肌に傷を付けてしまいます。ああ、縛られたほうがうれしいのですね。わかりました。喜んでやりましょう。


 初めてなので、痛いでしょう。ですから気持ち良くする術や痛みを消す術も使わせてください。


 貴女のために私はこんな強力な魔力を保持していたのですね。


 貴女の真っ白い気と私の黒の気が混じり合ってすばらしいですね。できるならこのままいつまでも一つになっていたいものです。






 彼女を得てからすばらしい日々を送ることができた。

 もうすでに自分のモノになって久しいが、まだ王妃としてお披露目ができていない。

 せっかくなので大々的に公表したいので、国中をあげてお祝いムードにすることにした。

 そのせいでずいぶん時間がかかってしまったが、ようやく戴冠式を前日に迎えることができた。

 コーディオンが上機嫌で王座に座っていると、驚愕な事態が起こる。

 いつも感じることができていたあの彼女の気が一瞬にて消滅したのだ。

 コーディオンは慌てて王座から立ち上がって、王妃の部屋へと転移した。

 本編より長くなる予感が^^;

 

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