女騎士への命名
「主を守る騎士として一生忠誠を誓います。」
成功した。
普段よりも多くの精神力使ったからか疲労が一気に押し寄せてくる。身体がふらつき床に頭をぶつけようとしたその時、女騎士が両手で頭を抱え膝枕の姿勢を取ってくれた。そのおかけで怪我をせずにすんだ。
「ありがとう、助かった」
とお礼を告げる。でも僕の心の中はそれどころじゃなかった。
初めて触れる女性の太もも。人形とは思えないその柔らかさに思わず全身に熱がこもるのを感じる。
柔肌は人形らしい白さであり、ほんのり温もりが感じられる。雪のように長く美しい白髪に、晴れ渡る空のような透き通った碧眼はまさしく僕が想像していた通りの理想の姿だった。さらに、鎧の上からでも分かるその胸の大きさに圧倒される。いつまでもこのままの体勢で居たいと願うほどの絶景がそこにはあった。
僕は呼吸をするのも忘れて、ついその女性のことをじっと見つめていたが我に返る。女騎士からの
「お怪我はありませんか?主の不調に気づくのが遅れてしまい、騎士として失格です… 今日はこのままベッドでお休みになられますか?」
との台詞に「大丈夫」とだけ返答した。自身の体調不良よりも彼女のことが気になったためである。
「名前は何ていうの?」
と僕が尋ねると
「私は元は人形ゆえ名前はまだありません。主が付けてください。」
と返されてしまう。
その後、僕が名前を名乗ると既に知ってるとのこと。どうやら、人形に魂を込める時に僕の情報も流し込まれるらしい。
名前をどうしようか悩んでいるとだんだん日が落ち、窓から射しこむ光も無くなってきた。
そろそろ夕飯にしようと彼女を誘うと
「私は主から与えられる魔力を栄養素とするので、食事は必要ありません。」
と答えられる。そう返されては返す言葉も見つからず、一人で宿屋の食堂へと向かった。
食事を済ませて部屋に戻るとあちこちに散らばったゴミが掃除されて綺麗になっていた。どうやら僕が食堂へと足を運んでいる間に片付けてくれたらしい。
お礼をつげると「当然のことです」と返された。
まだどこか、この子との間に距離を感じる。距離を少しでも近づけるために、食事中に考えていた彼女の名前を告げる
「今日から君の名前はノアだ。」
そう言うとノアは自分の名前を噛み締めるように何度か呟いた後、その端正の整った顔を僅かにほころばせた。初めて笑ったノアの顔はとても美しく、見とれてしまった。
その晩、眠る時にはいつまでも彼女の顔が脳裏に焼き付いて離れなかった。
読んでいただきありがとうございます。感想などお待ちしております。




