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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

~転生したら鉛筆でした~

削られて、折られて 〜転生したら鉛筆でした〜

毎日、終電ぎりぎりまで働き、体の芯が砂のように崩れていく日々だった。

その夜も会社を出た記憶まではある。

だが次の瞬間、世界は——潰れた。


目を開けても閉じても同じ闇。

体は石膏で固められたように動かず、声も出ない。

ただ、周囲に何かが密着している。

押しつぶされるような圧迫感だけが、確かに“生きている”ことを知らせていた。


——ここはどこだ。病院か?

いや、こんな息苦しさは知らない。


何日か経った頃、突然、体がふわりと持ち上がった。

浮遊感。だが視界は依然として闇のまま。

籠に乗って揺られるような奇妙な感覚があった。


さらに数日後、ようやく薄い光が差し込み、周囲にわずかな空間が生まれた。

その瞬間、初めて自分の姿を見た。


——鉛筆だ。


隣には自分と同じ大きさの鉛筆が並んでいる。

木の匂い。石墨の乾いた香り。

どれも、昔は懐かしいはずのものなのに、今は自分の“肉の匂い”のように感じられた。


頭上の壁が開き、隣の鉛筆が引き抜かれた。

直後、ガガガッ、ガガガッという、骨を削るような音が響く。

その音が空気を震わせるたび、胸の奥がぎゅっと縮む。


——あれは、鉛筆削りの音だ。


次は私の番だった。

足元をつままれ、強制的に引き出される。

金属の冷たさが伝わる。

そして——


ガガガッ、ガガガッ。


頭に直接、刃が触れた。

木肌が裂け、芯がむき出しになる感覚が、痛覚として脳に突き刺さる。

削られるたびに、体の一部が確実に失われていく。

叫びたいのに声が出ない。

抵抗したくても、体はただの棒でしかない。


削り終わったと思ったら、今度は紙に押しつけられた。

ザリッ、ザリッ。

自分の芯が削れていく音が、まるで自分の喉を擦り切られているように聞こえる。


そして突然、強い力が加わった。


ボキッ。


激痛。

体の中心が折れ、内部の芯がむき出しになる。

折れた部分から、冷たい空気が流れ込むような感覚がした。


折られては削られ、削られては折られ。

十回以上、同じことが繰り返された。

そのたびに自分が“短くなっていく”のが分かる。

生きているのに、寿命が目に見えて減っていく。


やがて私はどこかへ放り込まれた。

高い壁に囲まれ、他の折れた鉛筆たちと押し合いへし合いになる。

誰も声を出せない。

ただ、互いの木肌が擦れる音だけが、かすかな悲鳴のように響く。


しばらくして、上から何かが被さり、世界は再び暗闇に閉ざされた。

数日後、急に体が揺れ始め、運ばれていることが分かった。

ぐお〜、ぐお〜という機械音。

ぎゅうぎゅうと押し固められる圧迫感。


そして——チリチリと熱が迫ってきた。

空気が乾き、木が焦げる匂いがする。

自分の体が、ゆっくりと、確実に燃え始めた。


ああ、こんなにも脆く、短い一生だったのか。

誰かの文字を支えるために生まれ、

折られ、削られ、燃やされて終わる。


もし次の生があるなら——

どうか、どうか、物を大事にしてほしい。


そこで、私の意識は静かに途切れた。


読んでいただきありがとうございます。

物の視点の転生譚に挑戦してみました。

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