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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

~転生したら鉛筆でした~

削られて、折られて 〜転生したら鉛筆でした〜

掲載日:2026/01/02

毎日、終電ぎりぎりまで働き、体の芯が砂のように崩れていく日々だった。

その夜も会社を出た記憶まではある。

だが次の瞬間、世界は——潰れた。


目を開けても閉じても同じ闇。

体は石膏で固められたように動かず、声も出ない。

ただ、周囲に何かが密着している。

押しつぶされるような圧迫感だけが、確かに“生きている”ことを知らせていた。


——ここはどこだ。病院か?

いや、こんな息苦しさは知らない。


何日か経った頃、突然、体がふわりと持ち上がった。

浮遊感。だが視界は依然として闇のまま。

籠に乗って揺られるような奇妙な感覚があった。


さらに数日後、ようやく薄い光が差し込み、周囲にわずかな空間が生まれた。

その瞬間、初めて自分の姿を見た。


——鉛筆だ。


隣には自分と同じ大きさの鉛筆が並んでいる。

木の匂い。石墨の乾いた香り。

どれも、昔は懐かしいはずのものなのに、今は自分の“肉の匂い”のように感じられた。


頭上の壁が開き、隣の鉛筆が引き抜かれた。

直後、ガガガッ、ガガガッという、骨を削るような音が響く。

その音が空気を震わせるたび、胸の奥がぎゅっと縮む。


——あれは、鉛筆削りの音だ。


次は私の番だった。

足元をつままれ、強制的に引き出される。

金属の冷たさが伝わる。

そして——


ガガガッ、ガガガッ。


頭に直接、刃が触れた。

木肌が裂け、芯がむき出しになる感覚が、痛覚として脳に突き刺さる。

削られるたびに、体の一部が確実に失われていく。

叫びたいのに声が出ない。

抵抗したくても、体はただの棒でしかない。


削り終わったと思ったら、今度は紙に押しつけられた。

ザリッ、ザリッ。

自分の芯が削れていく音が、まるで自分の喉を擦り切られているように聞こえる。


そして突然、強い力が加わった。


ボキッ。


激痛。

体の中心が折れ、内部の芯がむき出しになる。

折れた部分から、冷たい空気が流れ込むような感覚がした。


折られては削られ、削られては折られ。

十回以上、同じことが繰り返された。

そのたびに自分が“短くなっていく”のが分かる。

生きているのに、寿命が目に見えて減っていく。


やがて私はどこかへ放り込まれた。

高い壁に囲まれ、他の折れた鉛筆たちと押し合いへし合いになる。

誰も声を出せない。

ただ、互いの木肌が擦れる音だけが、かすかな悲鳴のように響く。


しばらくして、上から何かが被さり、世界は再び暗闇に閉ざされた。

数日後、急に体が揺れ始め、運ばれていることが分かった。

ぐお〜、ぐお〜という機械音。

ぎゅうぎゅうと押し固められる圧迫感。


そして——チリチリと熱が迫ってきた。

空気が乾き、木が焦げる匂いがする。

自分の体が、ゆっくりと、確実に燃え始めた。


ああ、こんなにも脆く、短い一生だったのか。

誰かの文字を支えるために生まれ、

折られ、削られ、燃やされて終わる。


もし次の生があるなら——

どうか、どうか、物を大事にしてほしい。


そこで、私の意識は静かに途切れた。


読んでいただきありがとうございます。

物の視点の転生譚に挑戦してみました。

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