9月の蝉
9月の半ばにもなろうかというのにまだ蝉が鳴いている。
もちろん、なんて間の悪いモーニングムーン野郎が!などと言うほど僕は単純ではない。
と思ったが、先日テレビで放送していた「眠れる森の美女」というディズニーアニメでマレフィセントというキャラクターを見た瞬間、
「あっ!こいつ絶対悪い奴だ!」
などと、ディズニーの見えざる糸によってまんまと思考操作をされてしまったので、わりと単純な思考回路をしているかもしれない。
そんな北海道の道路を思わせる直線的な思考回路の僕がなぜ、9月に鳴いている間の悪い蝉を責めないかというと、なんとなく理由が分かるからなのである。
蝉の本番とも言える7月8月が暑すぎたのだ。
日の最高気温は人間の体温36°C超えが当たり前のように続いた。
最高気温は日陰で測定しているので、屋外の日の当たる場所では40°Cを軽く超えてきているだろう。
人間と蝉、似ても似つかぬ生命体同士だが、主要構成成分はタンパク質と共通している。
タンパク質は40何℃かで変性し始め不可逆的変化をしてしまう。それの行き着く先は生命体の死以外あり得ないのだ。
そんな7月8月の環境じゃ土の中から出たくても出れないのは当然で、むしろ地獄を具現化した7月8月に出てきて、乾坤一擲夏のあだ花とばかりに鳴いている勇気ある蝉を褒めるべきであろう。
そして、ようやく9月になってほんの少し暑さがマシになった頃合いを見計らって蝉が土から顔を出して、恥を忍んで鳴いているのである。
昨今の夏は生命体には危険すぎる、僕も9月に鳴いている蝉を見習って7月と8月は外に出ずにクーラーの効いた部屋にずっと引きこもっていたいのだが、いかんせん働かねばクーラーの動力源である電気の料金が払えなくなってしまう。
労働者のつらいところだ。




