表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

バニラアイス『転職するべきか』

『バニー漫才ならこの二人こそ右に出る者はいない!!』

『バニラアイスの登場です!!』


安倍朋子あべ ともこで~す」


 金髪で日焼けした黒ギャルだ。体は小柄で黒いバニースーツを着ている。


「後藤ゆうで~す」


 朋子の左側には黒い腰まで伸びた長髪で、色白の美人だ。朋子より頭一つ高い。白いバニースーツを着ていた。


「「二人そろってバニラアイスで~す」」


 二人は両手をひし形を作る。これがバニラアイスの決め台詞だ。


「ふぁ~~~~~」


 朋子が思いっきりため息をついた。


「何ため息ついている。何か心配事でもあるのかしら?」


 ゆうが心配そうに声をかけた。


「あたしらはもう三十路じゃん? もうバニーがきつい年になっているのよね。この間も息子にお母さんバニー姿痛いからやめてって言われたよ」

「あ~、私も言われましたね。そりゃあそうでしょう、バニーなんて世間一般では異質な存在ですからね」

「そうなのよ!! だからこそ政治家はバニーガールを推奨するべきなのよ!! バニーが一般人でも浸透すれば息子もバニーの私を尊敬してくれるかもしれないでしょう!!」


 朋子は両手で握りこぶしを作り、目を輝かせた。


「あのねぇ、バニーは高級感があるからいいのよ。それが近所でも気軽に見かけるようになったら、希少価値が薄れるでしょう? 私たちは選ばれた存在なのよ? バニーは美の女神に認められた存在なんだから!!」

「うわぁ、ナルシストにもほどがあるわぁ、きっつぅ~~」

「慰めているのにその言い草はなによ!!」


 とんと胸を叩くゆうに対して、あきれ顔になる朋子。それに切れるゆう。


「話は戻るけどだんだんバニーがきつくなるわけよ。だから新しい仕事を探しているんだけど、良いのないかなぁ?」

「うーん、バニー一途だったから、厳しいかもね。何か資格があればいいのですが」

「資格ねぇ。バニー姿でハイグレして金を稼ぐ資格ならあるんだけどね」


 そう言って朋子は蟹股になり、ハイグレと叫びながら、両手を動かした。


「そんな資格はありません!!」

「あたしが作りました!! ゆうもやりなよ。清楚そうな見た目で、目をむきながらハイグレを連発すると憐みの目でお金を投げてくれるよ!!」

「誰がやりますか!!」


 ゆうは切れた。すると朋子は胸からスマホを取り出すといじりだす。そしてスマホをゆうの前に突き出した。


「ゆう、ちょっといいかな?」

「何かしら?」


 するとゆうの目が虚ろになり、観客の前で蟹股になり、両手を動かし始めた。


「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!!」


 白目をむきながらゆうはハイグレを繰り返した。そして朋子は観客席に降りて、お皿を持ちだす。観客から小銭をもらって回っている間、ゆうは舌をだらしなく出しながらハイグレを繰り返していた。

 そして朋子がステージに戻ると、ゆうの尻をパンと力強く叩いた。

 するとゆうは正気を取り戻す。慌てて周囲を見回している。


「何? 何!? なんなの!!」

「いやー、見事なハイグレでしたねぇ。見てください、お金がこんなに集まったよ」


 朋子は笑いながら小銭がたまった皿を見せた。するとゆうは怒髪冠を衝いた。


「あなた何をしたのですか!!」

「噂の催眠アプリで、操ったのさ。いやー、もう馬鹿っぽくて笑えたよ。あははのは!!」


 朋子は皿を床に置いてげらげら笑いだす。それに怒ってゆうは朋子を抱きかかえた。


「許せません! よくも私に恥をかかせましたね!! おしりぺんぺんです!!」


 ゆうは朋子の尻を平手打ちした。パンパンと音が響く。


「あ~~~ん!! お尻叩かれてるぅぅぅぅ!! 恥ずかしぃぃぃぃぃ!!」

「恥ずかしいのが好きなんでしょう!! もっと叩いて差し上げます!!」

「見られてるぅぅぅ!! お客様の前でお尻叩かれてる姿、見られてるぅぅぅぅ!!」


 朋子がやたらと色っぽい声で叫んでいた。観客席では笑い声が響いている。


「あなたの恥さらしな顔を晒してあげます!!」


 ゆうは朋子の顔を観客席に向けた。朋子は白目をむき、アヘ顔ダブルピースを決めていた。


「あはははは!! 私の顔、撮られてるぅぅぅぅ!! テレビでお茶の間の皆さんに知れ渡っちゃう~~~!!」

「まだまだおしおきは続きますよ!! 覚悟しなさい!!」

「は~~~い!!」


 パンパンと尻を叩きながら、朋子とゆうはステージの外へ消えていった。

 しばらくすると二人とも普通の顔になって戻ってきた。


「ふぅ、気分すっきり。公衆の面前で愛し合っちゃったわね」

「それは違うと思いますけどね」

「そうそう転職の話ですけどね。本当は直営のレストランでフロアマネージャーが約束されてたんだけど、漫才王になろうGPで5位になっちゃってね。お笑い関係の仕事が増えちゃったわけよ」

「しかも旦那たちに一点差で勝利してしまい、話題になっておりますね。私も支店長の座が用意されましたが、お流れになりました」

「人生はままならないもんだね」

「しばらくはお笑いの仕事が続きますね」


 二人ともため息をついた。


「「それではありがとうございました!!」」


 CM:レストラン月世界。バニーさんがウェイトレスとしてお出迎えだよ!! 出演:バニラアイス。


 SNS。『バニーをテレビに出すな!! 女性の性的搾取だ!!』

 『あんな奴らがお笑い芸人を名乗るなんてむかつく。〇ね!!』

 『下品すぎる!! 同じ女として恥知らずすぎる!! 今すぐやめろ!!』

 

 グチエン『ひさしぶりに彼女らのステージを見たが面白かった。バニーらしい漫才だった。点数だったら98点だね。』

 レストラン月世界。バニーがウェイトレスを務めることで有名な店。予約すれば全国各地の名物料理を提供してくれる。アビゲイルは調理師として働いており、地方回りでは各地の料理を習得している。

 バニラアイスは朋子とゆうはチーフバニーを務めており、30過ぎたら芸人をやめてフロアマネージャーと新しくできる支店長になる予定だったが、なろうGPで売れたため保留となった。4人とも大学を卒業しており朋子とゆうは税理士の資格は持っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
作者様は意外とバニーがお好きなのかな? 前にもバニーガール未亡人とか書いてましたし。 今にして思えば凄いパワーワードですね、バニーガール未亡人って! でも個人的にはこういうバニーを使う話は好きです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ