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第七話:古代遺跡への旅

テストが終わったので投稿を再開します

ルイスの塔を後にして


 塔での戦いの翌朝、アレンたちは出発の準備を整えていた。襲撃者たちは退却したものの、彼らが再び現れる可能性は高い。ルイスも、これ以上ここに留まるのは危険だと判断し、アレンたちにある提案をした。


「お前たちが目指すべき場所がある」


 ルイスは塔の地下室から一冊の古びた書物を取り出し、それを開いた。中には、見たこともないような精巧な地図が描かれていた。


「これは……?」

 アレンが地図を覗き込む。


「古代遺跡の地図だ。この遺跡は、かつて魔法文明の中心地だったと伝えられている。そして、お前が持つ結晶は、そこに関係している可能性が高い」


 ルイスの言葉に、一同の緊張が高まる。


「遺跡には何があるんですか?」

 リリアが慎重に尋ねた。


「詳細は不明だが、記録によれば“賢者の試練”と呼ばれるものが存在するらしい。魔法を極めし者だけがたどり着ける場所だ」


「賢者の試練……」

 アレンは結晶を見つめながら、深く考え込んだ。


「つまり、その試練を乗り越えれば、俺たちはこの結晶の秘密を知ることができるんですね」


「そういうことだ」


 ルイスは静かに頷き、さらに言葉を続けた。


「だが気をつけろ。この遺跡には強力な魔法が今もなお生きている。そして、お前たちを狙う“影の賢者”の一派も、この遺跡の存在を知っている可能性がある」


「また奴らと戦うことになるってことか……」

 カイがため息をついた。


「どの道、進むしかないんでしょ?」

 ティアはすでに短剣を磨きながら、準備を整えている。


「……そうだな」

 アレンは覚悟を決めたように頷いた。


「では、これを持っていけ」


 ルイスが差し出したのは、小さな青い水晶だった。


「これは?」


「魔力を増幅させる魔導石だ。遺跡の中でお前たちの魔法が使えなくなることがあるかもしれない。そのとき、この石が役に立つはずだ」


「ありがとうございます、ルイスさん」


「気をつけろ。そして、真実をその目で確かめるのだ」



旅路の始まり


 アレンたちは、ルイスの塔を後にし、遺跡へと向かう旅に出た。遺跡は東の山脈を越えた先、深い森の奥にあるという。


 道中、森へと続く草原を歩きながら、カイがふと口を開いた。


「そういえば、ルイスの塔を出るとき、妙な視線を感じなかったか?」


「え?」

 リリアが驚いたように振り向く。


「俺も気づいていた」

 ティアが低い声で言った。


「多分、奴らだ」

 アレンが結晶を握りしめながら言う。


「影の賢者の一派か?」

 カイが周囲を警戒しながら剣に手をかける。


「可能性は高い。まだ追ってきてはいないが、油断はできない」


 緊張感が高まる中、四人は森の入口へと向かって歩を進めた。



深き森への侵入


 森の入口に到着したとき、アレンたちは異様な雰囲気を感じ取った。木々が密集し、日光がほとんど届かない暗闇が広がっている。森の中からは、不気味なささやき声のような風の音が聞こえていた。


「なんだか……寒気がする」

 リリアが腕を抱く。


「魔力が満ちている。普通の森じゃないな」

 アレンは慎重に進みながら、周囲を見渡した。


「気をつけろ。何かが潜んでいる」

 ティアが短剣を構える。


 その時、突然、森の奥から黒い影が飛び出してきた。


「来たぞ!」

 カイが大剣を抜く。


 影の正体は、一匹の巨大な狼だった。だが、その目は赤く光り、毛並みは闇に溶け込むように黒い。


「ただの狼じゃない……魔獣だ!」

 アレンが叫ぶ。


 魔獣は鋭い牙をむき出しにし、低いうなり声を上げながらアレンたちを睨みつけた。


「まずいな……これは、簡単には逃げられそうにないぞ」

 カイが構えを取りながら呟いた。


「やるしかない!」

 アレンが前に出る。


 魔獣は一瞬の間を置いた後、猛スピードで飛びかかってきた。



森の戦い


 アレンは素早く魔法を詠唱し、炎の矢を放った。


「ファイア・アロー!」


 炎の矢は魔獣の横腹に命中したが、黒い毛並みがそれを吸収するようにして消えた。


「くそっ、効かない……!」


「私がやる!」

 リリアが詠唱を始める。


「フリーズ・ランス!」


 氷の槍が魔獣の足元を貫いた。その瞬間、魔獣の動きが鈍る。


「今だ!」

 カイが駆け寄り、大剣を振り下ろした。だが、魔獣はギリギリで体をひねり、致命傷を避けた。


「こいつ……なかなかやるな」

 カイが息を切らしながら後退する。


「なら……これならどうだ!」


 アレンは結晶を掲げた。その瞬間、結晶が淡く光り、周囲の空間に波紋のような魔力が広がった。


 魔獣が一瞬、動きを止めた。


「これは……?」


「もしかして、この結晶の力が奴に影響を……?」


 その時、森の奥から新たな気配が現れた。


「お前たち……そこまでにしておけ」


 低く、威圧感のある声が響いた。


 アレンたちが振り向くと、そこには黒いローブを纏った男が立っていた。


「影の賢者……!」


 男の冷たい目が、結晶を見つめていた。



影の賢者の襲来


 黒いローブの男は、ゆっくりとアレンたちに歩み寄ってきた。周囲の空気が重くなり、冷気を帯びた風が森の中を吹き抜ける。彼の纏う魔力は、ただならぬものだった。


「お前たち、その結晶を持っている理由を知っているのか?」


 男は静かに問いかけた。しかし、その声には明確な敵意が込められている。


「俺たちは、この結晶の秘密を知るために旅をしている。お前たちのような連中に渡すつもりはない!」


 アレンはきっぱりと言い放った。


「ふむ……」


 男は薄く笑うと、手を上げた。その瞬間、彼の周囲に黒い魔力が渦巻き始める。


「ならば、お前たちに試練を与えよう」


 黒いローブの男の足元から影が蠢き、それが実体を持つと、数体の黒い騎士たちが現れた。全身を黒い鎧に覆われた騎士たちは、無言のまま剣を構える。


「アンデッド……いや、それよりも高度な魔法生命体か!」

 リリアが驚きの声を上げた。


「構えろ!」

 アレンが叫ぶと、カイとティアがすぐに武器を握り直した。


「来るぞ!」



黒騎士との戦い


 最初に動いたのは黒騎士たちだった。驚異的な速度で地面を蹴り、アレンたちへと突進する。


「速い!」


 アレンはすぐに炎の魔法を放つ。


「ファイア・ブラスト!」


 爆炎が黒騎士を包む。しかし、黒騎士たちは怯むことなく突き進んできた。


「くそっ……やはり普通の魔法では倒せないか!」


 カイがすかさず大剣を振るう。


「おらぁっ!」


 重い一撃が黒騎士の胴を直撃し、鎧の一部が砕ける。しかし、それでも黒騎士は動きを止めない。


「どうなってるんだ……!」

 カイが驚愕の声を上げる。


「こいつら、肉体ではなく魔力によって動いている……物理的なダメージは通りにくい!」

 リリアが冷静に分析した。


「なら……魔力そのものをぶつけるしかないな!」

 アレンは素早く詠唱を始める。


「雷の槍よ、貫け!サンダー・ランス!」


 雷の槍が放たれ、黒騎士の胸を貫いた。その瞬間、黒騎士の体が激しく痙攣し、やがて崩れ落ちる。


「やったか……!」


 しかし、残る黒騎士たちはその様子を見ても怯むことなく、再び攻撃を仕掛けてきた。


「まだまだいるな……っ!」

 ティアがすばやく動き、敵の攻撃を回避しながら、短剣で急所を狙う。しかし、黒騎士の鎧は異様に硬く、なかなかダメージを与えられない。


「なら……これならどう?」


 ティアは剣に魔力を込め、一気に跳躍すると、黒騎士の首元に鋭い一閃を浴びせた。


「シャドウ・ブレード!」


 闇の魔力をまとった刃が黒騎士の首を斬り裂く。その瞬間、黒騎士は魔力の糸が断たれたかのように崩れ落ちた。


「……よし!」



影の賢者との対峙


 残りの黒騎士を倒したアレンたちは、息を整えながら黒いローブの男を見据えた。


「なかなかやるな……」


 男は腕を組み、満足そうに頷く。


「だが、お前たちがこの程度で満足しているようでは、遺跡にはたどり着けんぞ」


「……どういう意味だ?」


 アレンが問いただすと、男は静かに口を開いた。


「賢者の試練は、単なる遺跡ではない。そこには、世界の理に触れる力が眠っている」


「世界の……理?」


 アレンは思わず息をのんだ。


「お前たちがその結晶を持つことは、運命の導きかもしれん。しかし、同時に、それはお前たちを更なる試練へと誘うものでもある」


「……それでも、俺たちは進む」


 アレンは決意のこもった眼差しで男を見つめた。


 男はしばらくアレンたちを見つめた後、薄く微笑んだ。


「ならば進め。遺跡の扉は、お前たちを待っている」


 そう言うと、男は黒い霧となって姿を消した。



遺跡への道


 影の賢者が去った後、アレンたちは再び歩みを進めた。


「……なんだったんだ、あの男は」


 カイがつぶやく。


「敵意はあったけど、殺すつもりはなかったような……。」


 リリアが首をかしげる。


「多分、俺たちを試したんだ」

 アレンは静かに答えた。


「試した?」


「もし俺たちが力不足なら、ここで倒されていたかもしれない。だけど、俺たちが遺跡に進む資格があるかどうか、見極めたかったんだと思う」


「そんなに重要な場所なのか……」


 ティアが遠くを見つめる。


「それでも、俺たちは行くしかない」


 アレンは結晶を握りしめ、森の奥へと足を踏み出した。


 そしてついに、彼らの前に巨大な石造りの門が現れた。


「ここが……遺跡か」


 荘厳な佇まいのその門は、長い時を経てもなお強い魔力を放っていた。門の中央には、不思議な紋章が刻まれている。


「……この紋章、どこかで見たような」


 リリアが呟いた。


「おそらく、この結晶と関係があるんじゃないか?」


 アレンが結晶を門にかざす。


 すると――


 結晶が輝きを増し、門全体に淡い光が走った。


「開く……!」


 重々しい音を立てながら、遺跡の門がゆっくりと開いていく。


 アレンたちは、静かにその奥へと足を踏み入れた。

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