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クラス一のクール美少女が放課後の教室でこっそりAV鑑賞してるところ見たら詰んだ  作者: せせら木
一章

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23話 絵里奈のキモチ

「いらっしゃい。久しぶりじゃない? 何だかんだ、雪妃がアタシのうちに来るの」


 辿り着いた絵里奈のおうち。


 玄関の扉を閉め、絵里奈は微笑み交じりの顔で言ってきた。


「そうだね。久しぶりかも。最近、二人きりで遊ぶこともあんまりなかったし」


「だよね。だから、嬉しい。今日はこうして雪妃と二人きりになれて」


「でも、お父さんとお母さんいないって、大丈夫なの? 私、何なら色々お手伝いするけど。夕飯作ったりとか」


「ほんと? なら、手伝ってもらってもいいかな?」


 断る理由なんてどこにもない。


 私は絵里奈の問いかけに対して頷き、キッチンのある部屋へと向かった。


「今日は簡単なものにする。カレー、一緒に作ろ?」


「カレー……。カレーって簡単なものかな……?」


「あははっ。簡単だよ。簡単簡単。さては雪妃、料理苦手なのまだ克服できてないな~?」


「そんなの、なかなか克服なんてできないよ。家にいたら……お母さんが美味しいもの作ってくれるし」


「ダメダメ~。女子力上げるためにも、たまには手伝ったりしないと。じゃなきゃ、いつか彼氏ができた時に大変だぞ~?」


「よ、余計なお世話だしっ。もうっ。早く作り始めよ? 具材とか、冷蔵庫にあるんだよね?」


「ふふっ。そーですよー。取ってくださーい」


 まったく。


 ニヤニヤしながらからかってくる絵里奈だけど、現状私に彼氏ができる予定なんてない。


 仲のいい男子はいるけど……付き合うってなるのは全然まだまだな気がする。


 たぶん、名和くんは私のことそんなに意識してないと思うし、色々教えてもらうだけの関係でしかないし。……今は。


「ねぇ、雪妃?」


「何?」


「正直さ、名和くんのこと、本当のところどう思ってる?」


「へ……?」


 ニンジンをリズムよく切りながら、絵里奈はこちらを見ずに問うてくる。


 私は、思わずジャガイモの皮をむいてる手を止めてしまった。


「いや、ただの友達だってのは知ってる。知ってるんだけど、そこから先の関係にこれから発展しそうな空気はあるのかなーと思いまして」


「そ、そこから先……?」


「うん。付き合う予定、みたいな」


「え」


 返事に困ってしまう。思わず固まってしまった。


 そんな私を見て、絵里奈はクスッと笑う。


「それはまだ無いんだ?」


 私はハッとして頭を何度も縦に振る。


 そして、焦りながらジャガイモの皮むきに戻った。


「な、無いよ……! そんな予定勝手に立ててたら、私じゃなくて、名和くんが迷惑だと思うもん……!」


「私は関係進展させてもいいと思うんだ?」


「……! そ、それは……!」


「やっぱり、雪妃は名和くんのことが好き?」


「ち、違っ……! そ、その……うぅぅ……」


「……その反応、嫌いではないんだね」


 何も言葉を返せなかった。


 名和くんは嫌いじゃない。もちろん。それは当然。


 でも、だからって私は頷けなかった。


 その頷きでさえも今は恥ずかしくて、自分が付き合ってもいいみたいに言ってるように思われるような気がして。


 だから、ただ固まって、目を閉じながら、返答を保留する。


 絵里奈はニンジンを切り終え、それを鍋の中に入れながら、また笑った。


 笑って、神妙な顔つきになる。


 私をジッと、迷いに満ちたような色の瞳で見つめてきた。


「じゃあさ、そこにアタシは割って入れない?」


「……へ……?」


「雪妃と名和くんの間、アタシは入れないかな? 雪妃の恋人枠、アタシが独占しちゃダメ?」


「……?」


 一瞬、絵里奈が何を言ってるのかわからなかった。


 ポカンとして、小首を傾げてしまう。


 まるで金縛りにあったような私。


 でも、そんな私に、絵里奈は歩み寄って来て、


「――っ……!?」


 柔らかい唇を、私の唇に押し当ててきた。


 キス。


 キスだ。


 絵里奈が私にキスをしてきた。


 頭の中が一気にぐちゃぐちゃになって、真っ白になる。


 ……え? どうして……? なんで絵里奈が……?


 考えてるうちに、唇は離れた。


 それから、潤んだ瞳で、目の前の親友は言う。


「アタシの一番は、ずっと雪妃なんだよ? 気付いてた?」


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