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第1話
午前0時、俺はビルの屋上にいた。俺の勤める会社のビルだ。そのビルは大きな交差点の角に建っていた。
「ちくしょう。なんでこんな事に。」
涙が止まらなかった。俺は会社の金3000万を使い込んでしまったのだ。明日、監査が入る。俺はもう終わりだ。しかし、なかなか飛び降りる勇気が出ない。
「助けてやろうか?」その時、この世のものとは思えない恐ろしい声が聞こえてきた。それは地鳴りのような、何かに共鳴しているような、低くてとても響く声だった。
「誰だ?」振り返ってもそこには誰もいなかった。
「助けてやろうか?」もう一度、恐ろしい声が聞こえてきた。
中略
すると、緊張の糸が切れたのか急に睡魔が襲ってきて俺は倒れるように眠ってしまった。
つづく