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恐竜の召喚師  作者: 南雲一途
第三章 雷霆
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第30話 謎めく3人

 うわ。

 まただ。

 また知らないベッドの上...。


 どこだここ?

 どっかの屋敷の一室?

 家具とかそういう日常的な雑貨が見当たらないけど。


 それより何が起きてんだ?

 いつの間にか手錠されて洞窟の中。

 外に出れたと思ったら森の中。

 それでいきなり殴られて...。

 わけがわからない。


 そもそもサラマンダーってなんだ?

 人間にしか見えなかったけど。

 それにトリケラトプスを知ってるようだった。

 恐竜を知ってるってことか?

 本当あの人は何者なんだ?

 なぜか手錠は解いてくれたけど、いきなり殴ってきたし...。


 手に手錠は...ないな。

 でもなんだこれ?腕輪?

 左の手首にはない。

 石っぽいけど、これどうやってはめたんだ?

 手首との隙間がほとんどないんだけど。

 絶対これ外せないじゃん。

 強化魔法で握力を強化すれば壊せるか?


 ...あれ?

 魔法陣が作れてる感覚がない。

 あぁこれあれか。

 この腕輪、魔法が使えなくなるとかそういうやつか。

 手錠をかけられてた時も魔法は使えなかったし。

 まぁ動きは制限されてないし部屋から出てみるか。


 俺はベッドから降りて部屋の扉を開けた。

 目の前にはサラマンダーとか呼ばれてた人が立っている。

 サラマンダーは俺のことを押し飛ばし、俺はベッドの上に倒れた。


 なになになに!?

 どういうこと!?

 俺、襲われる?


「逃がさないよ」


 そう言ってサラマンダーはベッドに倒れた俺を突っ立ったまま見下ろす。


「え...。え?」


「その腕輪が着いてる限り魔法使えないから逃げても無駄だよ。あと、その状態の君を私が殴ったら君は即死だから気をつけて」


 取り敢えず俺は高速で小刻みに頷いた。


 優しそうな雰囲気で何言ってんだこの人。

 怖すぎるって。


「それで、君は恐竜をどこで見つけたの?」


「え?恐竜?」


 やっぱりこの人は恐竜を知ってるんだ。

 今まで出会ってきた人は誰も知らなかったのに。


「見たんでしょ恐竜を。どこで見たの?」


「いや、分かりません。僕、記憶喪失で」


 前の世界で、とかいう話をしてもややこしいだけだ。

 どう言ったってこの人が納得するような答えにはならないだろうし。


「嘘でしょ」


「え?」


「記憶喪失っていうの。嘘でしょ」


 冷や汗が...出てるからは分からないけど出てるような気がする。


 そんな時、突然サラマンダーの後ろから若い男の声がした。


「え、てことは魔法を全然知らなそうな感じも演技だったってこと?」


 そう言い終えると、男は笑顔になって部屋に入ってくる。


「久しぶり!」


 男は満面の笑みを浮かべ手を振ってくる。

 でも俺にはこの人が誰なのか全く分からない。


 俺は2、3回瞬きをした。

 やっぱり誰だかは分からない。

 でも声はどこかで聞いたことがあるような。


「え、もしかしてもう忘れた?ゼノだよ」


 誰だよ。


「前に霊廟で戦ったじゃんか。あの〜、たしかロンカだったっけ?」


「あ!あの時の!」


「そう、その時その時」


「でも肌が...」


 魔族の特徴的な薄いピンクのような薄紫のような色の肌じゃないし、白目の部分が黒くなってもいない。

 それにそもそも、あの時はゼノだなんて名乗ってなかっただろ。


「なんとなく今は魔力抑えてんだよね。ここパオットじゃないし」


「いや、ロンカ霊廟だってパオットではないんじゃ...」


「あれは威嚇ね」


「あぁ威嚇...」


 話しから察するに、魔力を出すと肌の色と目の色が変わるってことか?

 常にあの姿なのが魔族だと思ってたけど違うのか。

 パオットではあの姿じゃなきゃいけないっぽいけど...。

 やっぱり魔族の国だからなのか?


「そんで話を戻すけど、記憶喪失じゃないっていうなら、あの時は召喚魔法しかできないふりをしてたってこと?」


「え?」


 何を質問されているのかが分からないので聞き返した。


「ロンカで戦った時は召喚魔法しか使えないんだと思ってたんだけど、あれって演技だったの?」


 すぐに返答はせず、一瞬だけなんて言おうか考えた。

 すると、サラマンダーが口を開く。


「魔法についてはあまり知らないんだよね」


 俺はサラマンダーの方を向いた。


「私の攻撃を防ぐ時、防御魔法を使わずに強化魔法で筋肉を固めてたでしょ?防御魔法をまだ知らないのか、慣れてないのかは分からないけど、まだ魔法は勉強中ってところなんじゃない?」


 サラマンダーの後にゼノが続く。


「それじゃあロンカで戦った時は、まだ召喚魔法しか使えなかったのか」


 全部バレてるよ...。

 2人には全て見透かされてる感じがする。


「ま、そんなことより外に出よ。そんでなんか食べよ。俺お腹減っちゃって。ほら」


 ゼノはベッドに座ってる俺に手を伸ばした。

 場の空気が一気に柔らかくなる。

 俺はやっとこの場から解放されるのだと思い、その手を掴んで立ち上がった。


「その前に着替えないとね。着替えを持ってこさせるから部屋で待ってて」


 サラマンダーがそう言った後、一緒に部屋を出ようとしたゼノが思い出したかのように話し始めた。


「あ、右手のその腕輪。魔力の操作が全くできなくなる腕輪だから、魔法はもちろん使えないし魔力を抑え込むこともできなくなるんだよね。トーチの魔力量だと、どこにいてもすぐ分かるから気をつけてな」


 ゼノとサラマンダーはそのまま部屋を出た。


 この腕輪のせいで俺はもう逃げられないってことね。

 本当にどうやってはめたんだよこれ。


 ...取れる気配もない。




 ーーー




 サラマンダーはトーチの服を用意するよう配下の者に命令した後、ゼノとサラマンダーは城の廊下を少し歩き、トーチがいる部屋から少し離れる。


「どこまでが嘘だと思う?」


 そう切り出したのはサラマンダーだった。

 ゼノは廊下の壁にもたれるようにしながらしゃがみ込む。


「貴方の想像通りでは?記憶喪失が嘘だってことを一度も否定しなかったし」


「魔法についても?」


「僕が初めて彼と戦った時は、召喚魔法以外何も使えてなかった」


「...恐竜はどこで見たんだか」


「さぁ。出身も分からないから。あんなに魔力を持ってて今まで一度も噂になってないってことも考えるとよっぽどの辺境なんだろうけど...」


「けど?」


「辺境の育ちっぽくない」


「たしかに。町育ちっぽいよね。話し方とか立ち振る舞いに下品さとか野蛮さは全く感じないし」


「話し方を聞いても学はありそうだよね。頭が良さそう」


「でもそれにしては常識を知らなすぎる」


「たしかに」


 少し間が空いた後、座り込んだゼノがサラマンダーの顔を見て質問を投げかけた。


「そんなに恐竜が気になんの?」


「...立場上ね」


 そう答えるサラマンダーを見上げたゼノは優しい笑みを浮かべる。


「それじゃ、私は用があるから。食べた後は彼に客室を案内してあげて」


「仰せの通りに」


 笑顔でそう答えるゼノは、廊下の壁に寄りかかりながら地べたに座っている。

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