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過去に戻れたら  作者: 佐々蔵翔人
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悩みどころ

魅力的

忙しなく時間に奔走されていた蒼唯。陸上部で走ることは楽しく、記録会やエントリーをした試合で結果が出た時は頑張ってきてよかったなと感じる。だが毎回自分の思った記録が出るわけでもなく、表彰台に上がれるわけではない。


結果ではなくプロセスを大事にしよう。そう考えているが周りから見て分かるのは順位や記録といった数字となる。上の世界でこのまま陸上をやっていけるのかと自暴自棄になっていた。


だけど部活をサボって遊びに行くといったことはせず、毎日練習をして走りを追求つつも何かモヤモヤとしている自分がいる。


ある日の絵日記に気になることが描かれていた。

それはテレビ番組で弓道対決が行われており、ど真ん中を射止めている女の子。それも蒼唯と同い年で体格もさほど変わらないのに手元がブレることもないうえ、研ぎ澄まされたような集中力に見蕩みとれていた。


その時ピピッと電気が流れたように蒼唯もやってみたいと思ってクラブとしてやっている場所がないか家にあるパソコンで調べていた。


自転車で通える範囲で掛川弓道クラブを見つけ、家族に習い事としてやりたいと頭を下げると快く頑張れと応援をしてくれた。次に顧問の先生に伝えて出る試合を調整をする配慮をしてくれた。


弓道クラブに通うということは今まで以上に時間の使い方が大事になってくると感じていた。


今まで以上に授業で理解をしなくてはならず、分からないところは積極的に教科担の先生に聞くようにして分からないことを先送りにしないようにする。


弓道を始めたからタイムや順位が下がったと思われることがイヤで全部やってのける気持ちで燃えていた。それを見たクラスメイトや同じ陸上部の仲間は応援している、分からないことがあったら何でも言ってと優しくしてくれた。


始めてやる弓道、テレビで見ている以上に難しくて的を当たるどころか届かずにいる。当たってもギリギリで真ん中の図星に当たるには程遠い感じでいた。


負けず嫌いの性格でもある蒼唯だからこそ図星に当てたい、的の中心に集めて個人戦だけでなく団体戦にも出てみたい気持ちが高まっていた。


ある日、試しに個人戦にエントリーをさせてもらって極度の緊張と手が震えて思い通りの場所に矢が飛ばない。明らかに実力不足だなと感じてどこがダメだったのかを日課でもある絵日記に書いていた。


どれだけ忙しくても絵日記だけは続けているって我ながらスゴいな。続けていてくれたおかげで今もこうやって振り返ることが出来ると何故か絵日記を抱きしめていた。


難しい選択

勉強、陸上、弓道と寝たらあっという間に太陽が昇っているくらい充実した日々を過ごしていたがあれよあれよと受験生となっていた。


ホントに1つ1つの行事や記録会、大会のタイムによってスポーツ推薦をしてくれる学校があるのか。全く声がかからず推薦入試もしくは一般入試となるのか変わってくる。


成績は真ん中くらいでその前後を常に推移しているため、自分で選べる高校としてはそれなりにある。その中で特に行きたいと思っていた高校が3校あった。


1つ目は弓道部のある島田女子高校、2つ目に今の成績なら合格がほぼ確実と担任から通達された菊川総合高校、3つ目に公立の焼津西高校を狙っている。


公立、私立とちらを受験するにしても複数受けるなら一般入試で受けなければならない。何か資格を取ればアドバンテージとして合格出来るかもと漢検の勉強を夏休みから始めた。


夏休み、陸上で秀でた成績を残すことが出来ずにいてスポーツ推薦はないと確信して勉強を本腰入れてやることを決めた。でも身体は動かしたいから弓道クラブには引き続き通い続けていた。


部活を引退してからというもののクラス内で多くの人が塾に行くようになったからというもあり談笑したり放課に外に遊びに行く人が減っていた。


何か知らないプライドで蒼唯は塾に行かなくても行きたい学校に行けるとナゾの自信があった。来る日も来る日も問題集を繰り返しやっているうちに最後の進路面談になる。


一般入試ならば島田女子高校も菊川総合高校でも大丈夫だと考えていたが本命の島田女子高校の受験日と漢検の日程が被ってしまいどちらか選ばなくてはならなかった。


受験をしても合格するのは確率は半分で島田しまだ女子高校をムリして受験をするならばほぼ確実の菊川きくがわ総合高校を受験した方がいい。焼津やいづ西高校を受験した上で最終判断するべきとのことで私立を菊川総合高校、公立を焼津西高校に決めた。


漢検は問題なく合格をして受験勉強を加速して進める。

年明けてしばらくして菊川総合高校の合格を決め、焼津西高校も合格をしたうえで家族に菊川総合高校に行くことを決めた。


翌日担任にも伝えてその足で制服の採寸や必要書類を取りに向かうことになる。バタバタしたが菊川総合高校に着くと改めてここに通うことになると思うと涙が出てきた。


このページで絵日記は終わっていた。

菊川総合高校に通ったことは後悔はしていないがあの時漢検を受けなければ島田女子高校に受験が出来たのか、もし受けていて合格していたらどうしていたのかと悔いる。


そういう意味では後悔となるのか。中学時代に戻ってやり直したいと思うかどうかまだ分からずにいる。

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