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39.仁義なき決戦

 ホエズラーは白馬の上に、マイルは改造獣……怪物の上に跨ってにらみ合っていた。

「ホエズラー……まさか、お前に我が崇高な計画を邪魔されるとは思わなかった」

「は? 俺はただ、青毛の坊ちゃんのお使いをしていただけだぞ?」

 そう言われると、マイルは激高した様子で叫んだ。


「嘘をつくな! お前は父カッツバルゲルを泉のある場所へと放し冒険者どもの足掛かりを作るように仕向け、それだけでなく騎士団長に取り入って騎士の地位を手に入れ……王女に近づくために、爆破テロの時には鳥を操って王女を宮殿の外に誘導して暗殺を阻止した!」

「はぁ? 俺がそんなことするはずねえだろ。働きすぎてオツムがどうかしちまったんじゃね?」

「とぼけても無駄だ! 数々のユニコーンを操る自然破壊者め! ここで冥府の底に叩き墜としてやる!!」


 20頭近くの怪物が姿を見せると、ホエズラーは白馬に「逃げるぞ!」と指示した。

 白馬が近隣の村へと逃げ込むと、マイルは「逃がすか!」と叫びながら村の城門を壊して中へと突入していった。

 すると、村の住人は白馬に括りつけられており、ホエズラーは笑いながら言った。

「見いろおおおおっ! 俺や他の白馬を攻撃すると村人が巻き添えになるぞ! 攻撃できるものならしてみろ!!」


 その言葉を聞いたマイルもまた、不気味な笑みを浮かべながら答えた。

「極悪人のお前らしいやり方だな。ならば……」

 マイルが指をはじくと、怪物がよだれを垂らしながら女性をひとり咥えてきた。

「こいつを覚えてるか? お前が色街でハマっていた女だ。コイツの命が惜しければ……」

「は? もうそいつに用はねえよ」

 ホエズラーが耳垢を指で飛ばしながら言うと、マイルは目を剥いて叫んだ。

「そいつを食い〇せ!」

「がう!」

 その後に生々しい物音と女性の叫び声を聞いた白馬は眉をひそめたが、ホエズラーは笑いながら言った。

「俺の付けをわざわざチャラにしてくれてありがとよ。あ・い・ぼ・う!」

 その言葉を聞いたマイルの額には青筋が走った。

「な、何だと貴様……知人が死んでその言いぐさはなんだ!?」

「てめえこそ、慈悲深い心くらい持てよ元騎士様!」

「おい行け! 薄気味悪い白馬と自然破壊の村人どもを食い散らかしてこい!」

「まずはてめえがくたばれ! 行くぞ白馬!」

「はい!」


 人の盾にされた村人たちが泣き叫ぶ中、ホエズラー軍とマイル軍の戦いが始まった。

 マイルの率いる怪物が、ホエズラー軍の白馬と村人と食いちぎろうとすると白馬は角を炸裂させ、怪物を木っ端みじんに吹き飛ばしていく。

 その横では、複数の白馬が角を突き出して怪物を破壊し、別の場所では怪物が村人ごと白馬を踏みつぶしている。


「その程度か……これならどうだ!?」

 ホエズラーはクロスボウを構えると、マイルに向かって撃ち放った。

「この程度……」

 マイルが避けると、矢は背後で逃げようとしていた村人の背中に突き刺さった。

「……! き、貴様、何を考えている!?」

「ほらほら、てめえが避けると罪もない人が何人も死ぬぞ!?」

「ゲズが、それでも騎士か!?」

「はっはっはっは……次はそこだぁ!」

「キメラぁ、構うな……あのクソ野郎を叩き潰せ!!」


 マイルの操る怪物が突進するとホエズラーと白馬は攻撃を避け、怪物は民家に突っ込んで隠れていた村人を下敷きにした。

「クソ野郎はお前だろ! くたばれ!」

 ホエズラーがクロスボウを放つとマイルは剣で斬り払い、弾きとんだ矢は家畜の首へと突き刺さった。

「お前こそくたばれ……この下衆が!」

 マイルが魔導筒を放つと、ホエズラーは攻撃を避けて逃げようとしている村人を吹き飛ばした。


 その少し先では弾き飛ばされた角の折れた白馬が村人を巻き込み、怪物が攻撃を受けて倒れると家畜小屋を破壊し、白馬の放った投射魔法が狙いを外して村人へと当たり、怪物のタックルが村人の家を崩していく。


 しかし、怪物の数も白馬の数も残っており、どちらも戦いを止める気配はなかった。

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