表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/44

38.追い詰められるレッドオリーブ同盟

 間もなく国王は、レッドオリーブ同盟討伐に本腰を上げた。

 国内で多くの貴族や有力者を支配下に置き、内部から国を操ろうとしていたことが明るみになり、もはや無視できないと判断したようだ。


「一番の問題は、あのキメラだよね」

 僕が言うとシャムシールも頷いた。

『そうだね。対抗するには君の能力を使うか、妖精フォーこと白馬をぶつけるしかなかった』

 僕は頷きながら聞いていたが、最後が過去形なことに注目した。

「もしかして……何か情報を?」

『うん。あの魔文字は武器に直接刻み込めることがわかったんだ。だから試作品を作ってもらった』


 剣の手入れをしていた侍女ミアは、振り向くと刀身を見せてくれた。そこには僕の腕に現れた文字とよく似た文字が記されている。

『君のように、行動障害の魔文字を刻むことはできないけれど、魔物の体に刻まれた文字の調和を乱すことならできる』

「な、なるほど……これなら騎士や冒険者でも、あの怪物を倒せる!」

『そういうこと!』

 本当に、情報というのは力を発揮するものだと思ったとき、鳥が飛んできた。


『……わかった。引き続き情報収集を続けて欲しい』

「ピィ!」

「どうしたんだい?」

 シャムシールは険しい顔をした。

『ホエズラーと白馬を監視してんだけど、レッドオリーブ同盟が魔物をけしかけようとしているみたいだ』

「もしかして……口封じ!?」

 そう聞き返すと、侍女ミアも武器の手入れを中断してこちらを見た。

 シャムはミアには関心を向けずに淡々とテレパシーを送ってくる。

『恐らくね。白馬側も口封じをして来ることを見越しているから、自分を総動員して迎え撃つ体勢を整えているよ』

 自分総動員。何だか……全く新しい言葉だ。


「白馬って、自分が何体いるの?」

『司令塔1、隊長自分3、一般自分12だから……合計16だね』

「司令塔以外は全部分身ってこと?」

 そう聞き返すと、シャムシールは視線を上げた。

『ブラフかもしれないけれど白馬は″マルチプリケーションは全てが私。1つでも残れば掛け算は続きます″と言っていた』

「その様子だと、能力に制約もあるんだろうね」

『多分だけど上限が16なんじゃないかな。情報収集をしているけれど16以上になったことがないからね』


 なるほどと頷いていると、渡り鳥が飛んできた。

「ピィピピィ!」

「今の……もしかして接触?」

 そう聞くと、シャムシールはしっかりと頷いた。

『どうやら、レッドオリーブ側も白馬が何頭もいるとわかってたらしいよ』

 ちょっと待ってと言いたくなった。

 白馬側は16頭もいるのだから、レッドオリーブ同盟の側もそれなりの数がいなければ返り討ちに遭うだろう。

「一体、どれだけの戦力を?」

『悪魔をおおよそ20……多分だけど、同盟側のほぼ全勢力じゃないかな?』

 その言葉を聞いて、僕はピンときた。


「もしかして、そのレッドオリーブ側の盟主は、白馬がスパイ網を壊したと思っているのかい?」

『恐らくね。スパイ網の基点はマイルなのだから、そう思っても不自然ではないと思うよ』

「つまり……決戦か」


 つまり、敵対勢力と第3勢力の戦いか。

 自分の立場を盤石にしたうえで、こういう展開に持ち込むのだからシャムシールらしいと思う。

「やったのは僕たちなんだけどねぇ……」

『まあ、小生たちを呼び込んだのは白馬だから、あながち間違ってはいないんだよね』


 僕は念を押すつもりで言った。

「近くに村もあるから、軍隊の1部隊くらい派遣しといてよ」

『さっき急いで手配したけど、到着はしばらく先になりそう』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ