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10/44

10.6対13

 僕は起き上がったゴブリンを斬り伏せると、弓を構える個体に向けては投げナイフで応戦した。

 そのすぐ横では、シャムシールが向かってくるゴブリンに蹴りを見舞い、蹴飛ばされたゴブリンは背後のゴブリンも巻き込んで木に叩きつけられていた。

 別の場所からゴブリンが向かってくるも、レイナが複数発の火炎魔法を放ち、ゴブリンを次々と撃破していく。


「があ!」

「ジャマぁ!」

 猫族の戦士マーチルも俊足を生かして、次々とゴブリンたちを斬り刻んでいく。まさに電光石火の動きである。

 そして隊長のスグヤールは、身長190センチはあろうかというホブゴブリンと1対1で戦っていた。


「スキル発動……トマホーク!」

 スグヤールのサーベルが光ると、刃先がホブゴブリンに触れた瞬間に斧がぶつかったような衝撃となった。ホブゴブリンの身に着けていた粗末な鎧は瞬く間に砕け、一撃で打ち倒していた。


 スキルトマホークとは、剣を一瞬だけ斧のような威力と重量に変え、敵に大ダメージを与えるスキルだ。戦士なら誰しもが羨む能力を持っているなんて、さすがはBランクチームのリーダーだと思う。


 息をつく間もなく、ゴブリンの巣穴からは一般ゴブリン10とホブゴブリン3体が出て来た。表のゴブリンはあらかた片付いたので、6対13である。

 いくらスグヤール隊長でも、1人でホブゴブリン3体に囲まれると押し負けてしまう。僕は1体を引き受けることにした。

 すると、隊長は声を上げた。

「敵の攻撃を交わすだけでいい。なるべく時間を稼いでくれ」

「了解」


 そう、相手はホブゴブリンだ。Cランクチームなら全員で一丸とならなければ勝てない相手。Dランクの僕だと、20秒止めただけでも十分な働きをしたということになる。

 ホブゴブリンも、こいつは弱そうだなと言いたそうに笑うと、一気に剣を振り下ろしてきた。


 僕は避けながら次に攻撃を読む。

 基本的にホブゴブリンの知能は高くない。だから、攻撃は基本的に力押しだ。だけどゴブリンとは違ってパワーもタフネスも経験もある。油断はできない。

『どこかで砂を掴んで』

 シャムシールの声を聞いて、なるほどと思った。

 僕は素早く砂を掬い取ると、再びホブゴブリンの攻撃を避けてから砂を顔に投げつけた。


 予想だにしていない攻撃だったのだろう。ホブゴブリンは眼球に入った砂を取ろうと目をこすっている。僕はその隙に側面に回り込むと、鎧の継ぎ目をめがけてブロードソードを力いっぱい突き刺した。

 すると、赤々とした血が飛び散り、ホブゴブリンにとって致命傷となったようだ。


 そしてスグヤール隊長を見ると、ホブゴブリン2体に攻撃を受けていた。

 急いでブロードソードを抜き取ると援護へと向かった。しかし、同じ手は二度は通じないだろう。どうやって次のホブゴブリンを倒せばいい?

『そのまま向かって!』

 了解と思いながら向かうと、ホブゴブリンは僕の攻撃を盾で受けた。

 そして、うっとうしい小僧めと言いたそうに睨み、棍棒を振り下ろそうとしてくる。このままでは……と思ったときに、後ろから肉を切り裂く音が響いた。


 なんとシャムシールは、一瞬だけ角を現わして背後からホブゴブリンを貫いていた。

 残っていたホブゴブリンも、スグヤール隊長のトマホーク強化されたサーベルと、レイナの魔法やグレイスの矢を受けて倒れ、一般ゴブリンも全滅していた。


「苦戦はしたけど、これであとはボスだけだね」

 そう言いながら猫族の戦士マーチルが、そっとゴブリンの巣穴を見たが、彼女は「あれ……?」と言いながら中を見回していた。

「どうした?」

「誰もいないんだけど……」

「どこかに隠れているのか!?」


 スグヤール隊は、ゴブリンナイトが岩陰に潜んでいることを警戒したが、シャムシールが周囲を渡り鳥で偵察してみると、メスゴブリンと一緒に逃走していたことがわかった。

 まあとにかく任務は達成したのだから、僕たちは一旦村へと戻って村長や自警団員に討伐完了の報告をした。

【作者からのお願い】

 10話まで読んで下さりありがとうございます。


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