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平凡な人生を歩んできたはずなのに、違う記憶が浮かんで来るから混乱する  作者: よぎそーと


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こんな時代だから、こういう手当も必要になっている

「おかしいのかな」

 仲の良い者達に自分の頭に浮かんできたことを伝える。

 話を聞いた者達も親身になって応えてくる。

「夢なんだろうけどな」

「けど、酷いようなら医者に診てもらった方がいいんじゃないか」

 そう言って心配してくれる。



 精神的に不安定なら、相応の医者に相談した方が良い。

 たしかにその通りだ。

 幸い、この町には医者も避難してきている。

 精神科医もだ。

「そうだなあ……」

 たしかにそれも選択肢のひとつだった。

 厄介になるのも良いかもしれない。

「行ってみるよ、せっかくだし」



 そして、予約をとって診察をしてもらうことになった。

 改善されるとまでは思わないが、少しでも軽減されればと思って。

 それと、記憶の謎が少しでも分かればと。

 不可解な記憶があるのは気持ちが悪い。

 ただ、予約が一週間先なのがつらい。

 出来れば、今すぐにでもどうにかしたいのだが。

「無理はできないか」



 不安定な時代である。

 戦争は終わっても、世情は不安定だ。

 町の中は安全だが、外の事を気にして気に病む者もいる。

 そうした者は結構多い。

 医者も忙しい。

 待つのはやむをえないというところだ。



 ただ、「本当に大変なら遠慮無く言ってください」とも言われた。

 気に病みすぎて本当におかしくなって凶行に走る者もいる。

 そうなるくらいなら、時間をあけて診療するという。

 ありがたい事だった。

 そうなる前に予約の日が来てくれれば一番良いが。



 幸い、状況はそれほど悪くはならなかった。

 不可解な記憶はまだ浮かび上がってくるが、障害になるほどではない。

 気になりはするが、無視できる程度だ。

 一週間後の予約の日までは保ちそうに思えた。



 そして、予約を入れた日から三日目。

 いつものように仕事を終えて家に戻る。

 寝床に入るまでゆっくりとしながら過ごす。

 さすがに起きてる間はおかしな記憶が浮かんでくる事は無い。

 出来ればこのままずっと起きていたかった。

 寝ればまたおかしなものを見る事になる。



 それでも寝ないわけにはいかない。

 また訳の分からない事が頭に浮かんでくるかと思うと憂鬱だった。

 危険で物騒な出来事に身を投じてる恐怖。

 それを味わうのがイヤだった。



 それでも寝ないといけない。

 睡眠を取らないと仕事に影響する。

 こんなご時世なので、物資を作るのは重要だ。

 それがこの町の生活を支える。

 疎かには出来なかった。



 就寝まではゆっくりくつろごうと思った。

 作業の疲れを忘れるために。

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