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渋谷の家で

作者: ななみ

「うわぁ」きれいな家を見て私はつぶやいた。私は中2の石井美穂。今日から八王子から渋谷にお父さんの仕事の事情で新しい家に引っ越すことになった。家族はお母さん、お父さん、弟の4人家族。弟の翔は自分の部屋ができて喜んでいる。

「ここの家はなぁ元々女性と男性が急にいなくなったみたいで、安く手に入ったんだよ。渋谷駅から徒歩5分だし、結構いいよなぁここ。」

 引っ越しの片づけをしていると、とっくに22:00。お母さんが

「明日は学校なんだから美穂、翔、早く寝なさい」

(明日から新しい学校か)

私は布団にもぐった。なんだか「ぐうぅ」というおなかが鳴ったような音や、目線を感じたが気にせず私は寝た。

 次の日目が覚めるとお父さんがいなかった。お母さんや弟も探している。学校の時間もあり、私 翔は家を出た。

 学校が終わり渋谷駅から出て翔と家へ帰った。

「ただいまー」

そこにはお母さんの姿が見えなかった。私は電話をかけたがつながらない。翔と心配しながらもお母さんを探した。

(お母さん、どこへ行ったの…?)

私は震えが止まらなかった。

 夜になってもお母さんとお父さんは帰ってこなかった。2人大きな家で夜ご飯を食べる。

「このままお母さんとお父さんが帰ってこなくなったらどうしよう…。」

翔が半泣き状態で話してくる。

「大丈夫だよ。」

私はそう言うしかできなかった。

 夜になり私は布団にもぐりこんだ。とても怖い。震えが止まらない。どうしよう。そんな気持ちが止まらない。そんなことを考えていると、昨日聞こえた「ぐうぅ」という音が聞こえた。

「お姉ちゃん!助けて!」

急に翔の声が聞こえた。

(えっ?)

私は何が起こったのか何もわからなかった。翔の部屋に行くと翔の姿がない。私はあまりの恐怖に汗が止まらなかった。廊下を見るとある違和感を覚えた。廊下のはじの方がほかの床と比べて柔らかくて、古くて、シミなどがついていて汚れていた。叩いてみると空間があるような音がした。私の部屋からハサミを持ち出し、床を切りつけた。切ってみると、その下にははしごが続いていた。その空間から冷たい空気が広がっていく。恐る恐るはしごを下りると、薄暗い4畳ぐらいの空間があった。暗くて何も見えない。

(そうだ。ポケットにあるスマホで明るくしよう!)

そうしてポケットに入っていたスマホを取り出しライトをつけた。

「えっ…。」

私は今見ているのは現実なのか、夢なのかが分からなかった。お母さん、お父さん、弟と知らない女性、男性が倒れていた。

「美穂!こっちへ来ちゃだめよ!」

「お姉ちゃん逃げて!」

知らない女性、男性も声を上げてそう言った。

「どうしたの?何かあったの? 教えてよ!」

そういってもみんな声をそろえて逃げて!と、来ちゃだめだ!と言っている。

(なんなの?)

すると皆の顔がこわばった。それと同時に後ろから気配がした。さっき聞こえた「ぐうぅ」という音がはっきり聞こえた。振り返るとはしごに続く壁が閉じられ影のようなものがゆっくりと近づいてきた。顔は耳まで口が裂けていて笑った顔で近づいてきている。

逃げようと思っても体が動かない。

(どうしよう…。)

そしてお父さんが言っていたのを思い出した。

【ここの家はなぁ元々住んでいた女性と男性が急にいなくなったみたいで、安く手に入ったんだよ。渋谷駅から徒歩5分だし、結構いいよなぁここ。】

(あっ。あの女性と男性ってこの人なの?じゃあいなくなったんじゃなくてこの影みたいなやつにさらわれたの?)

急に影がバットを振り上げ、私は頭に強い痛みを持った。そしてもう目を覚めることはなかった。


ある天気がいい日のこと、

「おぉ。ここが今日からの俺たちの家かぁ駅近で見た目もきれいだし築2年だって。ほんといいよなぁ優香。」

「そうね。うちの子、3歳で部屋もいっぱいあるし、将来のことを考えても1人1つ部屋持てそうだからほんとにいい家よねぇ。」

「よしっ!引っ越しの片づけしようか。」

「そうね。 早くのんびりしたいわ。」


 そうしてとてもいい条件を満たしている家にどんどん引き寄せられる人たち。あの「ぐうぅ」という音はあの影のおなかの音だったみたいです。そのあとあの子たちは食べられてしまいました。あなたの家はそんな食いしん坊な家じゃなかったらいいですね。もしおなかの鳴る音が聞こえたり、目線を感じたら、廊下をよく見てみてくださいね。もしかしたら古くなっているところがあるかもしれません。もし見つけたら逃げたほうがいいかも…。


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