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第97話 賢者の森15


まず最初にゴブリンジェネラルに質問するのはエレーナだ。彼女はこの場にいる誰よりも身分が上だし、この領地を治める辺境伯の命を受けてこの森へとやってきている形なので、当然といえば当然だ。


「さて、貴様が人間の言葉を解するということはマツやエリック殿によって判明している。言葉が分からないふりをするのも良いが、あまり猶予はないぞ?」


「グルル、ニンゲン!卑怯ダゾ!非常食ノ分際デ・・・!」


「貴様ッ・・・!」


「ウホ。」


憤るゴブリンジェネラルにエレーナはムッと表情をしかめる。どうやら人間がゴブリンの非常食扱いということに不快感を覚えたようだ。口を挟みそうになるエレーナをボクが止める。

ゴブリンジェネラルのその言葉だけで、これまで攫われたであろう人間がどういう扱いを受けていたかを理解したのだろう。

まぁ、その攫われた人間は、いずれも犯罪者かそれに類する存在であるようなので、気にする必要はないとボクは思う。


「ウホ(駄目だよ。口が軽そうだし余計な口は挟まない方が良い。暴れてもボクが制圧するからさ。)」


「そう、だな。」


エレーナは納得してくれた。


「ゴリ松サマ、スゴイナ。軍団長ヲ制圧スルッテ、軽ク言ッテルゾ。」


「ウン、流石ハ森ノ賢者サマダネ。」


どうやらエレーナを落ち着かせるためだけの行為が、バイスとシュバルツ(長いし『白』と『黒』で良いか。)には別の捉え方をされたみたいだ。良いけど。

ボクらのやり取りなど知らないゴブリンジェネラルは憤りを隠さない様子で縄を外そうと藻掻きだす。


「クソッ!コノ縄ハナンダ!細イノニ外レナイゾ!フンヌゥ!ナゼダ!コレサエ外セバ貴様ラナド八ツ裂キニシテヤルノニ!」


何やらほざいているが、そもそもボクに気絶させられてここまで連れてこられたことを忘れているのだろうか。その事実を考えると実に滑稽である。


「フンっ、マツに負けてここまで来たのに、その様な夢を見るか。貴様はすでに敗残兵に過ぎない。大人しく捕虜として我らの質問に答えるのだな。」


「グヌゥ。」


ゴブリンジェネラルは流石に完全に忘れてしまったわけではなく、ボクの方をちらりと見てから唸る。そして頭を垂れると不機嫌に、そして尊大な態度で言った。


「グルゥ、何モ喋ルコトハナイ!我ヲ誰ト心得ル!ゴブリンガ王ノ側近、軍団ノ長、ゴブリンジェネラルデアル!≪スパァン≫グヌォ!?」


「ウホ(調子に乗るな。)」


まぁ、あまりに酷い態度だったから、制裁はするけどね。これは指導だよ、指導。だって捕虜のくせにいつまで上から目線でいるって話でしょ?


「マツ、やり過ぎるなよ?死なれては困るからな。」


「ウホ(分かってるさ。)」


「ナニヲスルカ!」


ボクに後頭部を叩かれて激怒するゴブリンジェネラルにエレーナが注意する。彼女もムカついていたみたいだからね。


「調子に乗るなよ?貴様の命はこちらが握っていることを忘れるな?少しでも長く生きて居たいのなら自分の発言や態度には気を付けることだ。こちらにはマツがいるということを理解しろ。」


「グヌゥ。サレド、屈スルワケニハ「ウホゥ?」ヌゥ。」


まだ何か言おうとしたゴブリンジェネラルの肩に手を置いて軽く力を入れるとこちらの意図を察したのかゴブリンジェネラルは唸って黙る。

さ、これで、尋問を開始できるね。


「ありがとう、マツ。さて、それじゃ、質問をしようか。まずはゴブリンの総数を教えてもらおうか。そうだなぁ・・・進化個体の内訳も教えてくれるとありがたいな。」


「ソ、ソンナコト!話セル訳ガナイ!ヌァア“ア”!!ワカッタ!話ス!話スカラ!」


この期に及んで抵抗しようとしたので先ほどよりも力を入れて肩を掴む。このまま肩を握り潰してやってもいいんだけど、ね?

ボクの意思が伝わったのか、ゴブリンジェネラルは情報を話し出した。


「今、ゴブリンノ総数ハオヨソ3万。王ガ即位シテカラ爆発的ニ増加シテイル。中ニハ集落ヲ吸収シテ増エタ分モアルガ微々タルモノデアロウ。戦闘可能ナゴブリンハ3万ノ中デ約80%、2万4千ダ。ソノ内、進化個体ハ4千程ダ。」


ゴブリンジェネラルが語ったゴブリンの総数及び戦闘可能な個体数、さらに進化個体の数は驚くべき数だった。正直、想像していたよりも多い。


「そんなにいるのか・・・。この広大な賢者の森だから収容できている状態だが、どうしてここまで増えたんだ?」


「グラディスバルト嬢、この話が本当だとするとさすがに賢者の森で抱えきれなくなってくるよ。どれだけ前から増え始めていたのか分からないけど、近い将来、森の外へと進行が始まるのは確実だ。・・・でもねぇ。」


エレーナに危険性を伝えるモンストル先生は腕を組んで何かを考え始めた。


「どうしてこんなに数が増えたんだろ?ゴブリンだけの繁殖ではここまでの増加は不可能なはずだ。」


「男爵もそう思うか。私もそれが引っ掛かっているのだ。おい、ゴブリンジェネラル。貴様は知っているだろ?どうしてそこまで数が増えたんだ。」


モンストル先生もエレーナも同じことを疑問に思ったみたい。それに対してゴブリンジェネラルは抵抗することなく答える。しかし、その表情は先ほどまでと違ってニヤリと不敵だ。


「ワレラガ増エタ理由?教エテヤロウ!ソレハキサマラニンゲンヨ!」


どや顔で言うゴブリンジェネラルにイラっとしながらも僕らは驚く。一体どういうことなんだろう?


















拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」


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