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第71話 魔物学の課外授業⑪

いつもありがとうございます。

課外授業もそろそろ終わりますが、その後の展開が固まっていないので考えなくちゃ。


***

 

やらかしたのを反省して置物になって大人しくしている間にもエレーナたちが牧場で活動する時間も終わりに近づいてきた。

職員はそのことにも気が付いているが、エレーナたちはそれには気づかずに懸命に働き続けていた。


エレーナとシルヴィアは最後の一頭の魔牛を丁寧に洗ってやっている。魔牛はボクが上下関係を教えてやったことで大人しくなったけれど、それでも触られると身じろぎする。それが彼女たちにとってはなかなかに妨害になっているようで、大変そうだ。


「エレーナ!わたくしが抑えますわ!その隙に洗って!」


「了解した!気を付けてくれ。」


二人は協力して魔牛に対峙する。その会話や行動は、まるで狩りをする冒険者のようだったが、実際はただの洗体なので迫力が嘘のように泡だらけだ。


「土よ!魔力を糧に敵を拘束せよ!《ロックバインド》!エレーナ!」


「ああ!はぁああああ!!」


シルヴィアが魔法を発動させると地面が隆起して魔牛を拘束する。さすがに傷つけるような威力ではなく、優しく拘束するだけのようだ。そして、それに呼応して、手に持った長ブラシを振り回すエレーナが突撃する。


動けなくなったところでエレーナがごしごしと洗い、それに追いついたシルヴィアもブラシを振るう。

最後の一頭だからか、後先を考えていない気もするが、この後、学校に帰るというのまで忘れているのかもしれない。魔力切れしたらどうするんだろうかね。


ま、ボクがいるし、一人二人くらいだったら問題ないけどさ。できるだけそんな事態にならないといいね。


ブモォ


そんな感じで洗われている魔牛が満足したような声を出したことで職員がオッケーサインを出す。これで終了だね。


「いいよ。魔牛たちも満足したみたいだ。いやぁ、時間内に終わらせるのは難しいかと思ったけど、君たちは手際もいいし協力できるのが何より素晴らしい。去年の学生は俺が俺がと協調性なんて皆無だったからね。」


笑ってそんなことを言った職員だが、去年の学生はなかなかに酷かったみたいで、そのおかげというわけではないが、エレーナたちが良い評価を貰えるようだ。

もちろん彼女たちの作業も素晴らしかったからいい評価がもらえるというのは言い添えておこう。


ボクは彼女たちの作業が終わったことを確認してから近づく。すると話はちょうどボクの話に移ったようだ。どうやら先ほどのドラミングの話みたいだ。


「いやぁ、ゴリ松君が魔牛たちを大人しくさせてしまった時はどう評価すればいいかと思ったけどさ。何とかなってよかったよ。

従魔ってあんな風に主人の益になる行動を率先して取るんだねぇ。去年とは大違いだよ。」


従魔に関しての評価も去年よりも良いらしい。去年の学生は何をやらかしたんだか逆に興味が出てきたよ。


ボクの興味が逸れかけたところで、牛舎の方から別の職員が声をかけてきた。どうやら掃除の方は時間がかかっているようで、終わったなら手伝ってくれという話だった。このままでは授業時間を超過する、と。


「分かったぁ~!こちらは終わったから大丈夫~!手伝うよぉ~!・・・ということで、僕らも牛舎の掃除の手伝いに行こうか。これも班行動だよ!必死だろう班員を助けなきゃね!」


「「はい」」


安請け合いした職員に二人は返事を返してから牛舎に向かって走り出す。職員の言動から終わりの時間が迫っていることに気が付いたのか、急いでいる。ボクも彼女たちについて行く。


まだ魔牛は外で放牧されているので広々とした牛舎で安全に掃除ができる。ミラとメラも何とか4分の3は完了させたみたいだけど、残り時間から考えて最後まで終わらすのは難しそうだということが分かった。故に手伝いに声をかけられたのだろうね。


「さて、お疲れ様。君たちに加えて彼女たちがいれば間に合いそうだね。二人でこれだけできるなら十分だよ。ほら、僕らも手伝うから頑張ろう。」


「「「「ハイッ」」」」

「え?!」


エレーナやシルヴィアたちの声は元気よく響いたけれど、それと同時に牛舎担当の職員の驚いた声が聞こえた。でも、洗体担当の職員の顔を見てすぐに切り替えたみたいだ。そんなに怖いのかな?


ボクも手伝えそうなので手伝うことにした。エレーナとシルヴィアは先ほどの長ブラシを床掃除用のブラシに変えて掃除を開始する。先にマキノー姉妹が寝藁を退かしたところから水洗いをするようだ。


水はどうするのかと思ったら、ここでも魔法が活躍するらしい。ミラが魔法を詠唱すると空中に水の玉が出現する。その様から推測すると魔力が水へと変質したというわけではなくて、空気中の水を操作して集めたって感じかな。


「ありがとう、ミラ。さ、シルヴィア。頑張ろうか。」


「ええ。」


四人は必死にブラシを動かす。時間を気にしながら。



あ、ボクや職員も一緒になってブラシを動かしているよ?そうしないと洗体担当の顔が怖いからね。



















拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」


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