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第66話 魔物学の課外授業⑥


「ウホ?(あれぇ、なんだありゃ?)」

 

ボクはエレーナたちに近づいて行くと見えてきたそれに意味が分からなくなって疑問符が浮かぶ。

あそこに見えるのはおそらく山だろうか。いや、そうじゃないね。大きな岩が街道を塞いで、モンストル先生も合わせて学生たちは立ち往生することになっているみたいだ。


学生たちの中にいるエレーナのもとへと向かう。彼女もどうしたらいいかを考えているようだったが、いい案は出ていないらしく眉間にしわが寄っている。


「ウホ(エレーナ。どうしたんだい?)」


「ん?ゴリ松か。おかえり。ご苦労だったな。それでな、どうやら大きな岩があちらのがけから落ちてきたようで、街道を塞いでしまっていてな。森側を行くという案も出たのだが、モンストル先生が却下されてな。」


「ウホウホ(なんで?そちらの方が早いじゃん。)」


ボクはその却下されたという森の方を見る。そちらが特に危険そうには思えない。


「ああ、私もそう思ったんだが、先生が言うにはあちらはグランウルフの縄張りに入ってしまうらしいんだ。危険な魔物らしい。先生やその従魔であれば問題ないそうだが、私たちを連れては無理だと言われた。」


「ウホウホ(なるほど。エリックでも無理なのかぁ。それほどならしょうがないね。)」


「キーキー(そうなのだ。下僕程度なら問題ないのだが、さすがの我でもこの数の人間を連れて守り抜くのは難しい。そこで貴様が来るのを待っていたわけだ。)」


「主の言う通り。君を待っていたんだよ。でもね、別に森を通るために待っていたわけじゃないよ?

今のところあの縄張りで戦力になるのは、主と僕、グラディスバルト嬢とクラウド君とフレイちゃんだけだからね。正直、餌になりに行くみたいなものさ。そこにゴリ松君が来ても変わらないさ。

君にお願いしたいのはあの大岩を壊してもらいたくてね。」


「ウホ?!(え?!)」


ボクらが話していると、それを見つけたモンストル先生とエリックが近寄ってきて話した。どうやらボクにあの岩を壊してもらうつもりらしい。

でも、それをするには問題があるのは分かっているのだろうか。さすがにあの大きさの岩を壊すにはこの姿のままでは無理だろうからね。


エレーナもそのことに気が付いたのか、ボクを見た後に先生の方を見て言った。


「しかし、先生。さすがにあれを壊すとなるとこのままでは難しいと思うんですが。」


「そうだねぇ。ゴリ松君のことは学園でも極秘だし、ここで公開するわけにはいかないのは分かっているさ。そこでね。岩を壊している間は僕ら以外の目を塞いでしまおうと思ったのさ!」


先生はそれはもういい笑顔で意味が分からないことを言う。どうやら、ボクを見えないようにした状態にするつもりみたいであることは分かるのだが、それが実際にどうするのかはわからない。


「そ、それはどういうことでしょう?目隠しでもするのですか?」


「いや、そこは主にお願いするんだよ。お願いできますよね?」


「キーキー〔うむ、その通りだ。我の魔法で学生には目隠しをする。ゴリ松の正体がバレることはない。安心しろ。〕」


エリックが先生から引き継いで説明する。普通に文字を書くところがエリックのすごいところだね。なんてことない様に文字を操ることにエレーナは驚いているが、まぁ、今はいっか。


「も、文字が。いや、それよりも、そんな魔法があるのか?!私は聞いたことがないぞ!教えてくれ!教えてほしい!」


エリックの予想外だったのはエレーナが魔法を大好き過ぎるということだろうか。そんな未知の魔法を使えるとすれば気にならないはずもない。

エレーナの勢いに押されて後ずさるエリック。さすがに不憫なのでボクがエレーナを止める。少し正気に戻してやれば大丈夫だ。


「ウホ(エレーナ、今は止そうか。)」


「あっ、ソウダナ。すまない。」


「キーキー(う〔うむ、わかればよい。とにかく、そういうことだ。やってくれるな?〕)」


「ウホ(分かったよ。)」


ボクは了承する。隠すっていうんだから、何とかなりそうだ。それにさっきはこのまま戦ったし、少しだけ大きくなりたいなぁと思っていたんだ。


ボクが了承したことで先生も安心したのか、ホッと息を吐いて学生たちの方に向かう。エレーナの意外な一面に面食らいながら。


「いや、良かった。じゃ、学生たちに説明してくるよ。・・・それにしてもグラディスバルト嬢にあんな一面がったとはね。クククッ、面白いじゃないか。」


エレーナは少し恥ずかしそうだけど、自業自得だ。こういう場面で自重できないと貴族令嬢としてもダメだと思うし、矯正するいいきっかけになるだろうね。


さ、ボクは岩を壊す準備を始めようかな。


「みんな!これから、あのゴリ松君が岩を壊してくれる。ただ、彼は恥ずかしがり屋らしくてね。姿を見られたくないんだそうだ!ということで、君たちには僕の従魔が目隠しをする。これも先を急ぐためだと思って我慢してくれ!」


先生が説明をするけど、ボクの後ろでは学生たちがブーイングをする。まぁ、仕方がないと思うけど、ボクらにも事情があるんだから仕方がない。


「キーキー(ウルサイ子供よな。では、少しの間、闇の中にいろ。<闇のトバリ>・・・うむ、これでいいだろう。)」


「なっ!?私も見えない!魔法を体験できるのは良いが、外から見たかった!」


エリックが有無を言わせず魔法を発動させる。学生たちの周りに黒い靄のようなものがまとわりついて離れなくなった。

エレーナも一緒になって闇に包まれたけど、エリックが判断したんだろうね。きっとさっきの勢いにビビったのかな?


「キーキー(効果時間は長くない。急げ。)」


「ウホ(いきなりだなぁ。ま、いいよ。それじゃ、失礼して。)」


ボクは首輪を外して元のサイズに戻る。体がむずむずして徐々に大きくなると、体毛の色が変わる。背中が完全に変色したところで、ボクの大きさが元に戻った。


このサイズになると視線がずいぶんと高くなるから、岩を打つにしても真ん中に近い場所をたたける。さ、この大岩を粉々にしてやろうかな。













拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」


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