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第65話 魔物学の課外授業⑤


ボクが学生たちから離れてすぐに周囲を探る。ボクから離れていく学生たちの気配とは別にだんだんと近づいてくる気配を察知する。

その数は7つで、強さはゴブリンよりも大したことはないと思う。ボクが片手間で対処できると思えるくらいには。

最初はそれが弱ったゴブリンかと思ったけれど、さすがに全員が弱っているというのも考えにくいし、そうだとしても歩行スピードが速すぎる。


とりあえず近くの茂みに隠れて待っているとその魔物たちの気配が近づいてくる。ボクは近づいてきたそれを見て、予想が正しかったことを確信した。


(うん、やっぱりゴブリンじゃなかったね。あれは初めて見るけど、犬?それとも狼?どちらにしても人型だ。)


ボクとしては初めて見る魔物だから興味深く観察する。その魔物たちはボクから20mほど離れたところで止まり、周囲を警戒してきょろきょろとしだした。

もしかしてバレたのかな?と思いつつもじっとして様子を見守る。犬にしろ狼にしろ嗅覚に優れているはずなのでバレたのかもしれない。さすがに匂い消しはしていないからね。


ギャウギャウ

クゥン

ワフワフ


それぞれが何かを相談するように話しているが、知能がそこまで高くないのかボクには意味が分からない。

とりあえず、詳細な場所がばれたわけではないようなので物音は立てないようにしてどうするか考える。


(まぁ、倒すんだけどね。)


彼らが無害な魔物ではないだろうし、ここで駆除するのは決定している。ボクにとってはゴブリンもこいつらもおんなじ魔物だし。

うーん、それにしてもこういう魔物をなんていうんだっけ?この前の授業で聞いた気がするけどな。


犬系の頭の人型の魔物か。コバルト?コベルト?あっ!コボルトだ!そうだそうだ。あーすっきりした。

コボルトってライトノベルでもよく見るし、弱い魔物としてはメジャーなのかもね。数も多いし、学生に戦わせるのは難しかったかもしれない。数の上では勝っているから何とかなるかもしれないけどね。


ウォ~ン!


そんなことを考えているうちにどうやらボクの場所がバレてしまったようだ。一体が遠吠えをして他の六体を呼んでいるらしい。その一体とは今、目が合っている。


(それじゃあ、やろうか。大きくならなくていいよね。)


ボクは隠れていた茂みから出て、コボルトたちを見る。集まってくるときは4足で駆けてきた。そうしているとただの犬みたいで可愛らしいが、涎がだらだらと垂れているのを見て現実に引き戻される。


ガウガウ

ウォンウォン

グルルルルル


俺を半円状に広がって威嚇するコボルトたちは武器もなくこちらに牙をむいている。どうやらゴブリンよりも原始的な生活をしているらしい。


ボクは近くにあった木の棒を拾い上げて軽く振り回す。ボクの身長と同じくらいの棒は長すぎるので、両手で振り回す。

ブオンブオンと風を切る音にコボルトたちは少し気圧されたのか、じりじりと後ずさる。どうやら、武器を扱う知能はなくても、武器の危険性は理解しているらしい。


ガウッ!ギャンッ


ボクが待ちの姿勢でいると、しびれを切らしたコボルトが一体、とびかかってくる。その動きは大したことはなかったので、棒で叩き落した。悲鳴を上げるコボルトはそれ以降動かなくなった。

ただの拾った木の棒でも、ボクの力で振り回せばこの結果も想定内だ。あまり強くない魔物だしね。


グルルル


一体があっけなく殺されてしまったことに慄く6体はそれでも退くことはできないと考えたのか、牙をむき出しにして今度は全員で掛かってくる。


ガウ!

ギャウー!

グラゥ!

ガウガウ!

クゥン

ギャー!


(まあ、一体でああなったなら、みんなで来るよね。でも、甘いよ!)


ボクは木の棒を体の前で回転させてコボルトたちを弾いて行く。ドカドカと木の棒に当たり吹っ飛ばされるコボルトたち、当たり所が悪かったのか3体が動かなくなる。


(うん、あと3体。)


何とか生き残ったコボルト3体はすでに虫の息だ。つくづくボクって反則だよね。木の棒を振っただけでこれだけのことをできるんだから。

さて、あまり苦しませるのも悪いし、介錯してあげようかな。


「ウホ(じゃあね。)」


木の棒を三体のコボルトに向けて振り下ろす。断末魔の声すら聞こえずに死んでいった。ボクは申し訳程度に手を合わせてからコボルトたちの死骸を魔法鞄に入れる。

ゴブリンはほとんどお金にはならなかったけど、コボルトはそうじゃないかもしれないからね。ゴブリンは売れる部分が何もないけどコボルトは毛皮がある分、お金になりそうだ。


ルンルンで回収すると鞄をポンと叩いて伸びをする。これで終わったから、今度は急いでエレーナたちに合流しなくてはならない。ちょっと時間が経っているし、結構離れたかもしれない。


あれ?そうでもないぞ?なんか割と近くにいるみたい。というか、立ち止まっているけど、何かあったのかな?


ボクは気配を頼りに学生たちの元に戻る。魔物に襲われたとかではないみたいだし、どうしたんだろ。













拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」


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