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第43話 魔法学講義④

2,3日少ないだけなのに、2月って短く感じます。


霧散する時間が短くなってきた要因を考える。


一般的に何かが減る要因をあたまのなかで整理するか。例えば水が減る原因は数個ある。例えば、水は熱せられたら沸騰して気体に変化する。また、飲んでも減る。掬って捨てるというのも減ったといえるか。

これらのことから、減るには、その物に何かが起こったと考えるのがいいということだろう。

つまりは魔力が霧散する前にないかが起こっているということだ。


僕が魔力を放出する際にしているのは、魔力を巡らすこと。よく考えれば、連続で試行するために、体内で巡らす時間が減っているね。

つまりは体の中で巡らす時間が、魔力を放出した後に動かせる時間に関係しているのかな。


僕は体内で魔力をぐるぐると回す。時間は一番長く霧散せずに残った時のおよそ倍。極端に言えば、放出した後も倍は霧散しないということだ。


いざ、と魔力を放出して魔素を捉える。一生懸命動かして魔素を捕まえる。何となくその魔素は土属性のような気がする。


魔素の属性、魔力を巡らせる時間、この二つをクリアしたはずの今回は、どれだけ動かせるか、と考えたところで、魔力が霧散する。


時間としては倍とは言わずとも延びているので、考え方は正しい方を向いているはず。うーん、掴むところまではあと少しだと思うけどな。


僕が悩んでいると、エレーナがこちらへとやってくる。どうやら休憩をとるようだ。魔法を撃ち続けるのは大変だろうし、適度な休憩は必要だね。


エレーナは僕の練習を見て、ぽつりとつぶやいた。


「魔力を練り切れていないんじゃないか?」


そのつぶやきは僕に衝撃を与える。魔力を練るってどういうことなんだろう?しかし、何となくそれっぽくないか?グルグル回しているのって練っているってことなのかな?


いろいろと疑問がある中でエレーナにどういうことなのかを尋ねる。


「ウホウホ(それはどういうことだい?僕は魔法学は初めてだし、魔力についてもよくわかってない。教えてくれないか?)」


「もちろんいいとも。魔法は放つ前に魔力を練り上げて形作り放出する。その練り上げが甘いと放出した時に形を保てない。ゴリ松のやっているのも似ている気がしてな。」


エレーナに言われて、魔法を放っているほかの学生を見ると、確かに体内で魔力を練り上げてから的に向けて放出している。

騎士志望のようにそれが甘いと放出してもヘロヘロだったり消えたりしているが、うまく練れているときちんと的まで到達する。どうやらエレーナが言うように僕は騎士志望並みかそれ以下にしか練れていないようだ。

体内を大雑把にグルグル回していただけなのだからしょうがないかもね。


「ウホウホ(エレーナ。ありがとう。何となくわかった気がするよ。)」


僕はエレーナにお礼を言って、体内で魔力を練り上げる。巡らせるのは同じで、その密度を変えてより濃く練り上げる。

そうすると、なんというか勢いが増したような気がする。今度はそれを放出してチャレンジだ。


「ウホゥ(それ!)」


気合を入れて放出されたその魔力は先ほど同様に土属性の魔素を掴み取る。これで魔力が保てれば、成功だ!


グッと気合を入れた僕の魔力は魔素を捕まえたまま離さずに操る。そのまま数分しても魔力は霧散せずに魔素をつかみ、今度は僕の意思で霧散させる。


魔力が霧散すると僕は思わずガッツポーズで喜びを表現してしまった。それだけうれしいのだ。


「ウホ!(ヤッター!)」


僕は魔力で魔素を操ることに成功して、これでベルーガ先生に出された宿題を達成できた。

今度会ったら、魔法を教えてもらおう。どうも、魔法学は人間用って感じで、僕ら魔物用ではないみたいだからね。


僕が喜んでいると、それに気が付いたエレーナがまた来てくれる。


「ゴリ松、どうした?そんなによろこんで。もしかして、成功したのか?」


「ウホウホ(うん!エレーナのおかげだよ!練りこみが足りなかったみたい!)」


「そうか。それは良かったな。次は魔法だな。」


「ウホウホ(うん。それはベルーガ先生に教えてもらうんだ。)」


エレーナにそう言ったら、どこか表情が固まってしまった。何かまずいことを言ったかな。


「そうか。学園長先生の従魔に。さすがはゴリ松だな!よし、それじゃ、今度は私の番だ!合成魔法を成功させるぞ!」


エレーナはそう言って的の方へと戻る。僕は自分の練習は一度切り上げてエレーナの応援をすることにした。


「ウホウホ(エレーナ頑張って!)」


「よし!〈ファイアーボール〉〈ライトボール〉!そして《合成》〈燃える光球(バーンスフィア)〉!」


エレーナの魔法は的へと飛んでいく。それはファイアボールのような火の玉ではなく、ライトボールのような光の玉でもなく、光が異常なほどの熱を発して周囲を熱によりボカシて進む。

これだけで、景色が歪んでいるほどの熱だと分かる。成功だ!


魔法が的に着弾すると、的があまりの熱量に溶け、どろりと落ちる。魔法に耐性がある的のはずだから、それ以上の威力というのはとんでもない。

普通の魔法使いが、二人以上でやるのを一人でできる魔導士はやっぱりすごいんだね。


エレーナが的を破壊したことで先生が驚いてこちらへと駆け寄ってくる!


「グラディスバルト嬢!すごいね!あの的を破壊するなんて!魔導士を何度見てきたけれど、君ほどの魔法を行使した者は少ないよ!」


「ありがとうございます。これも先生の教えのおかげです。」


エレーナは興奮する先生に対して、礼儀をわきまえた返答をする。エレーナは魔法学が楽しくて仕方がないみたいだし、心からの言葉だろうね。


「そういってくれてうれしいよ。僕もこの的は壊したことがあるけど、それは魔導士になってからだし、君の才能は素晴らしい。今後もしっかりが励んでね!」


「わかりました!」


「じゃあ、今日はあとは自由でいいよ。僕は他の学生を見ているからね」


先生はそう言って去っていく。なんだか、魔法学の講義は20分ほどの時間を残して終了したみたいだ。

僕はエレーナにこれからどうするかを尋ねる。


「よし、もう少しだけ練習したら、次の教室に行こうか。次は魔物学だぞ。」


「ウホウホ(そうだね。)」


僕たちが話していると、なぜかそれにジャックが入ってきた。もちろん僕の声は聞こえないと思うけれどね。


「僕はこれで失礼する。ではな。」


そういって教室を退出して行った。その足取りはどこか軽やかで、突然空いた時間がうれしいのかな。

唖然としながらも僕らは僕らで行動を開始する。


魔法学は意外と学びが多かった。これで魔法を使う前提条件が整ったと思うので、今度ベルーガに会うのが楽しみだ。


僕たちは少し練習した後に魔法学の教室を退出して、次の教室に移動する。次は魔物学だ。
























拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」


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