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第42話 魔法学講義③

パソコンってどれくらいが寿命なんでしょうかね。


休憩時間は、特に何もなく過ごすことができた。僕は魔素を操る練習をやめて、体内で魔力を巡らすことだけを重点的に行っていた。


「ゴリ松は身体強化の技能を持っているだろ?それと今の状態だと何が違うんだ?」


エレーナは僕が今やっていることと戦闘時の身体強化の違いを聞いてきた。僕も最初は違いなんてないと思っていたけど、確かな違いがあることに気が付いたのでそれを説明する。


「ウホウホ(うーん、明確な違うところはね。身体強化は結構ムラがあって、今は全体を均一にしてるってことかな。)」


「ムラ?どういうことだ?」


「ウホウホ(身体強化をするときは戦闘中でしょ?つまり戦うときに使う場所に魔力が集中するんだ。もちろん全身に巡らせてもいるんだけど、そこはうっすらで、腕とか足、意外なところでは喉とかが厚くなっているの。)」


殴ったり蹴ったりするために腕や足が強化されるのはわかりやすいが、喉が強化されるのはきっと咆哮のためや気道の確保のためだと思う。

咆哮は大きな声を出すのに喉を震わせるとき、どうしても力を必要とするし、ドラミングをすると、衝撃が外に伝わるほどなのだから当然内部にも響く。それで困るのは呼吸で、強化しなくても平気だけど、喉の強化をしていると、楽なんだよね。


つまり、戦闘に特化した魔力の流し方っていうのが技能として現れたのが、身体強化ってことなんだね。

それで、今やっているのは戦闘中とは違って強化する必要はなく、魔力の勢いをつけているっていうのが正しいのだと思う。勢いをつけて外に放出、その力のまま魔素をキャッチする、みたいな感じ。


それをエレーナに説明すると、エレーナはなるほど、とうなづく。説明はこれ以上はないので、僕は自分の練習に戻る。


魔力をぐるぐると体内で循環させて、最終的に体外に放出する手前で止める。早く、授業が始まらないかな。


***


そこから、エレーナに観察されながらも魔力を循環させたり、止めたりして時間が過ぎるのを待つ。すると、またキーンコーンと鐘がなった。授業の開始の合図だ。


「さて、それじゃ、先ほどは座学だったので、今度は実技をやっていこうと思う。先ほどの授業を復習する意味でも、みんなで魔法の合体をやってみよう。本格的なことは出来なくて当たり前なのだから、緊張せずにやってみよう。」


先生はそう言ってから、各自でペアを組んで的に向かって魔法を撃つように指示を出す。エレーナも誰かと組もうとしたところで、マトル先生から声がかかる。


「グラディスバルト嬢、クラウド君。君たちはこちらへ来てくれるか?」


呼ばれたのはエレーナだけではなくて、クラウド公爵子息もだった。この二人で組ませるということかな?


僕は不思議に思っていたけれど、ご主人様が呼ばれたのだから一緒になって先生の方へと行く。


「先生、僕に何か用ですか?」


「私もとのことでしたが、何用でしょう?」


二人とも自分が何で呼ばれたかわからないようで、各々が先生に質問する。マトル先生はなんだか苦笑しているけれど、エレーナとクラウド公爵子息ジャックは仲が良くないのかな?


「ハハ、君たちには別のメニューをやってもらうよ。これは国からの要請だから。君たちには各自で合成魔法をやってもらう。二人とも2属性に適性があるだろう?」


なるほど、ほかの学生は1つの属性にしか適性がないから誰かと協力しないといけないけれど、二人はそうじゃない。一人で魔法を合体させることができるんだ。


「なるほど。そういうことですか。わかりました。」

「私も異存ありません。」


二人が納得したら、今度はマトル先生が言わなくてもいいことを言う。


「よかった。クラウド君はこの間のことがあってペアを組む人がいないだろうし、グラディスバルト嬢は人気すぎるからね。じゃ、よろしく。行っていいよ。

ほら、そういうことだから、みんなはみんなでペアを組んで!」


先生が言うと実は集まってきていた学生たちがしぶしぶペアを組んで的の方へと行く。エレーナは人気者だからね。さっき睨んでいた騎士志望もいたから、男女ともに大人気だ。

ジャックも人気でそうなんだけど、従魔騒ぎのこともあって大変なんだね。先生がそんなことを言うもんだから、ちょっと機嫌が悪そうだ。

だけど、学校の先生があんなことを公爵家の子息に言っていいのかな?


僕がそう思っていると、顔に出ていたのかエレーナが的に向かう道すがら教えてくれた。


「魔導士は国に認められた称号だ。公爵家の子息でも立場は対等以上なんだよ。本人はまだ魔導士じゃないしな。公爵本人だと話は違うけどね。ゴリ松も先生に接するときは気を付けるんだぞ。」


「ウホウホ(はーい。それじゃ、的についたし、僕は魔素を捕まえる訓練をしているよ。)」


「わかった。気を付けるんだぞ。」


僕とエレーナは近い場所で別のことを始める。エレーナはまずは火魔法と光魔法を一つずつ試しながら、合体させるつもりみたいだ。

そもそも二つ同時に魔法を使うのはできるのかな?


僕がそう思ってみていると、エレーナは火魔法を二つ、光魔法を二つと同時に行使する。どうやら同時発動自体は以前の講義でやったのかもね。

あちらはエレーナの努力次第だということで自分のことをやる。と、その前にジャックの様子が気になった。


「ふぅ、これくらいなら簡単ですね。〈ウォーターウォール〉、そして〈ウィンド〉、最後に...《合成》〈サイクロン〉!!」


ジャックが魔法を両手で発動させると、それらを合わせる等に手を組む。そして即座に合体させた。


それを見ていたマトル先生はすぐにジャックのもとへと向かって手放しでほめる。


「さすがですね!合成魔法までできるんですね!いやぁ、稀に見る優秀な生徒ですよ。」


「フフッ、僕は合成魔法が技能として出るほどに得意ですからね。これくらいは余裕ですよ。」


どうやら技能があるらしい。ちょっと反則じゃね?と思ったけれど、そこは技能というものがある世界だから受け入れられているようだ。


エレーナは焦ったりしていないかと思って様子を見ると、全然そんなことはなかった。もしかしたら知っていたのかな?一応、高位貴族同士だし、情報くらいはあったかもね。


僕はもう見ることはないかな、と思って、自分の練習に入る。身体強化と魔力を巡らせることの違いは話したと思うが、今度は放出までやっていく。


体をめぐる魔力を掌に集めて、勢いよく放出させる。その際に魔素をつかむイメージで放出する。どうも何か工程が足りない気がするので、少しずつ手ごたえを感じていきたい。


グルグル回して、ボンっと放出して、ファーっと霧散するのを繰り返しつつ、だんだんと霧散までの時間が短くなっていくことに気が付く。


うーん、これが何を意味するのかを考えようかな?













拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」


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