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第31話 自己紹介

深夜の灯油補充が寒すぎますね。


四天王(といっても3名)は各々が自己紹介を始める。

まず最初に話出したのは、右端にいたゴブリンだった。そのゴブリンはエリックに促されて自己紹介を開始したが、何を話したらいいか分からず、エリックに確認しながら話している。


「グギャギャ(オデ、ナマエ、バイト。シュゾク、ゴブリンエリート。ゴスジン、プラティ、クルート。シシャク?だ。)」

「キーキー(うむ)」


エリックがバイトにさせた自己紹介は僕がしたものと同じ項目で、十分に要点を抑えたものだった。


言っていた内容は少々難解だったが、頭の中で反芻すれば何を言っていた彼の予想はつくよ。

きっと

「俺の名前はバイト。種族はゴブリンエリートで、ご主人はプラティ=クルート子爵令嬢である。」

だね。これで大きくは間違えていないはず。


言葉に少々癖があるので、固有名詞などが若干修正の必要はあるかもしれないがエリックが訂正しないので、大丈夫だろうと思う。


そうか。ゴブリンはゴブリンでもエリートだったか。僕がいた「賢者の森」では、ゴブリンはいたけれど、ゴブリンエリートはいなかったと思う。

ゴブリンエリートは雰囲気からゴブリンであると分かるもののその見た目は普通のゴブリンとはかなり違う。

まず、違うのは清潔さだろう。森にいたというのを差し引いてもゴブリンは汚くて臭かった。水浴びをしていてあれなんだからどうしようもない。

それにこちらに通じるような言葉を使うことも無いほどには知能レベルも低かった。階位もきっと1とかだろうさ。

服装もきっちりして、髪型も七三、眼鏡まで掛けているから、主人の趣味を別にしても賢そうだ。エリートってそう意味なの?って思わず聞きたくなるね。


「キーキー(バイトはこの学び舎で学ぶ学生の中でも最上級生の従魔である。我が下僕と同級である。)」

「ウホゥ(ふぅん)」


僕は興味無いので軽く流す。どうせ聞いても意味ない情報だしね。


そんな僕の反応が掴めたのかエリックは次の自己紹介に移らせる。次紹介されるのは4足歩行の犬?の魔物のようだ。黒い色の犬で、少し狼にも似ている気がするので、狼犬とかそんな種類だろうか。

毛並みが良くてつい触りたい衝動に駆られるが、失礼に当たるかもしれないので手を出せないのがサラリーマンであった自分の性か。


「キーキー(次はボルフだ。貴様も喋るのは得意ではないだろう。バイト同様の自己紹介で良い。簡単な補足は我がしてやる。)」

「ウォン(ワカッタ。)」


どうやらエリックはやはりずいぶん優しい性格のようだ。尊大な口調から誤解はされそうだが、ずいぶん下の者を気にかける性格をしている。

ボルフと呼ばれた犬は嬉しそうに尻尾を振りながら自己紹介を始めた。


「ウォン!(ボルフ。ブラックドッグ。マスター、マードック。)」


ボルフの自己紹介はバイト以上に単語で、ひとつひとつが答えでしかないね。エリックはさすがにこれでは不十分だと感じたのか、すべてを話してくれる。僕も内容は理解しけど、行為は素直に受け取ることにした。


「キーキー(すまんな。我以外だと流暢に言語化できる者は少なくてな。慣れてくれると嬉しい。)」


「ウホウホ(うん、大丈夫。少しでも理解できれば内容は推測するよ。)」


「キーキー(そう言ってくれるとありがたい。我も言葉や文字を教えているのだが、うまく行ってなくてな。今のは『名はボルフ。種族はブラックドッグ。主人はマードック』と言っているのだ。)」


俺も内容は理解していたので答え合わせのつもりで話を聞いていると、少しだけ疑問に思ったことを質問する。


「うほ?(マードックという主人は家名が無いの?)」


それは僕がこれまで出会ってきた人物がみんなか名を持っているということから来た質問だったけど、その答えをエリックは知っていた。


「キーキー(ボルフの主人は平民である。このパールベルナ王国で家名を持つのを許されているのは貴族のみだ。下らん風習よ。)」


吐き捨てるように言うと、ボルフの自己紹介の捕捉をする。


「キーキー(マードックは貴様の主人であるグラディスバルト嬢の一つ上の学年である。直接主人同士で交流があるわけではないだろうが、知っていて損はないだろう。)」


「ウホウホ(そうだね。)」


僕としてはエレーナに害が無ければどうでもいいけど、いざと言う時に役立つかもしれない。エリックは文字も書けるみたいだし、それらの書き方も教わっておこうかな。


「キーキー(さて、それでは最後にムザシ、貴様が自己紹介するがいい。貴様は我の捕捉は必要ないだろうが、足りなければ遠慮なく補足するでな。)」


最後に自己紹介するのはムサシと呼ばれた大男のようだ。その男はこの場にいる誰よりも大きく、強そうだ。筋肉も相当に盛り上がっていて筋力だけなら熊ともいい勝負ができるかもしれないね。


「グルルル(拙者はムサシと申します。種族はオーガで、主はこの学園の6回生でゴリ松殿のご主人と同学年でござる。名をブラスト=ザイムと申す。以後良しなに。)」


その男はなんとオーガだった。よく見ると頭に二本小さな角があるのが分かる。それにしてもずいぶんと礼儀正しいやつだ。

オーガという魔物の印象はもっと粗暴で腹が減ったら暴れるくらいに思っていたんだけど、認識を変えざるを得ないな。

オークと似たような物ではないことは確かだし、知能レベルが相当に高い。


「キーキー(補足することは無いが、彼について少しだけ。我も初めて会ったのは数日前だが、彼のように礼儀正しく賢いオーガは普通ではあり得んぞ。その生い立ちが彼をこのように成長させたと言って良い。我でも驚いたのだ。貴様はもっとだろう。)」


「ウホウホ(うん。驚いたよ。生い立ちって?)」


僕はエリックが気になることを言ったのでそれを聞くことにした。






拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」

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