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第22話 到着、王都

何とか給湯器は直りましたが、古い型のようで買い替えをお勧めされました。


ガタゴトと馬車に揺られて、ペニー侯爵領を抜けた先の道を進む。ペニー侯爵領に入る際も袖の下を払うことになったが、出るときもそれは同様だった。

本当にペニー侯爵の下にいる人たちは腐った貴族の様だ。出るときに会った貴族は男爵だったけど、グラディスバルトの役所で会ったトリル男爵とは違って、こちらもしっかりお金を受け取っていた。


そういう物だと思ってお金を用意していたのだろうけど、こういうのを余計な出費って言うんだろうね。それにしても爵位が上の相手に楯突くっていいのかな?

僕がそう思って聞くと、エレーナは笑って答えてくれた。でも、どこかその笑顔は残念そうだったよ。


「ハハハ、ゴリ松は爵位について詳しいな。そりゃ上の者に逆らうのっていうのは本来ならあり得ない。だがな、ああいうのは侯爵を後ろに着けているからこその暴挙だ。

辺境伯っていうのは、パールベルナでは侯爵と同等に扱うという慣習がある。しかし、法律では伯爵と同等なんだ。だからこそ、ああいう輩がいるんだろう。分かったか?」


「ウホ。(うん。)」


なるほどね。僕はこの国の法律までは知らないから、前世で知り得たことを基準に考えていたけど、そう言うこともあるよね。てっきり侯爵と同等って言うのがデフォルトだと考えていたし、こういうことは他にもあるかもしれないから気をつけよう。


そうして、ペニー侯爵領を抜けた先はいよいよ王家の直轄領、といってもそう広いことは無く、王都とその周辺都市くらいだ。

僕達も一つの都市を抜けたら次は王都らしいからね。その都市もこんな話をしている間に


ほら、通り抜けていくよ。王家の直轄領は道がしっかりと整備されていて、舗装されているので馬車での旅も一気にグンと良くなる。先ほどまでガタガタとお尻にダメージが来ていたのが嘘みたいだ。


王家直轄領に入ったあたりで、エレーナが作業を辞めて窓の外を見る。どうも学校の宿題が、従魔を得るのとは別に出ているみたいで、そちらを仕上げていたらしい。


僕もつられて窓の外をみると、そこに広がるのは大きな農耕地と牧草地だ。牧草地には牛や羊のような動物がいるし、農耕地には野菜を収穫している農夫の人たちがいる。

グラディスバルトでは主に麦などの穀物を育てていたわけだけど、ここらでは野菜が主流のようだね。きっとこれもさっき通った都市の産業なんだろうね。


「ゴリ松、ここらはあの都市の代官の施策で農耕に力を入れているんだ。我が国ではこれまで、一か所で食糧を作っていた。しかし、その中でも野菜を作っていたところでスタンピードが起きてだめになってしまってな。こうして他の都市でも農耕を始めたのさ。」


「うほぅ、ウホウホ?(ふぅん、グラディスバルトは大丈夫なの?)」


「ああ、大丈夫だ。我らは最初から危険な場所には農地を作らない。ほら、ゴリ松のいた賢者の森の近くにはそう言ったところは無かっただろう?」


エレーナにそう言われて領都までの道のりを思い出す。確かにそう言われれば、草原が広がるだけでそれ以外に農耕をしているような雰囲気の土地は無かったし、領都の周囲にきてやっとそう言う場所が見えたって感じだ。


「ウホ。ウホゥ。(うん、そうだったね。)」


「だろう?我らは辺境を守る一族だからな。それなりに気を配っているのさ。」


エレーナはもう一度、窓の外を眺めてから、手元の宿題に戻る。どうやら馬車にいる内に終わらせてしまうつもりの様だ。

見た感じ面白くはなさそうなので、きっと魔法学以外の宿題何だろうと予想する。まあ、なんにしても、僕に手伝うことはできないので頑張ってとしか言えないや。


そこからは僕は邪魔をしないように静かに過ごすことにした。馬車の中には僕とエレーナ、そしてエレーナの荷物だけなのでそこまで圧迫はされていないが、狭いことは狭い。できるだけ動かない方が邪魔にならないだろう。


(王都って言うくらいだし、豪華なのかなぁ?楽しみだ。)


僕は一人心の中でまだ見ぬ王都への理想を思い浮かべて座る。どうせ暇なら、僕も勉強しようかな。御父上にもらったあの文字の勉強の本を使ってみるとしよう。


***


「...い、おい!起きろ、ゴリ松!」


「うほ?」


僕は肩をゆすられていることに気が付いて、目を開ける。始めは状況が分からなかったけど、数秒で自分の状況を掴む。


ああ、寝ちゃったんだね。文字の勉強は...途中で寝ちゃったから半分くらいしか覚えてないや。

僕をゆすっていたのはエレーナで、結構力を入れて揺らしてくれたみたいだ。汗をかいているんだもの。


「ウホウホゥ?(着いたのかい?)」


「ああ、到着したぞ。」


おお、ついに王都に入るのか。どんなところなのかなぁ?きっと王様がいる訳だから豪華なところで、でっかい家とかが立ち並んでいるんだろうな。


僕がそう思っていると、エレーナから衝撃の一言が告げられた。


「着いたぞ。ここがグラディスバルト、王都邸だ!」


「ウ、ウホー!?(な、なんだってぇー!?)」


どうやら僕は寝ているうちに王都の中に入って、目的地である王都の屋敷に到着してしまったみたいだ。


まあ、エレーナは学校の寮に行くわけだから、もう少し移動しなければいけないけどね。


とりあえず、馬車の荷物を下ろさなきゃ。あれだけの量の荷物は寮から運び込んだわけじゃなくて、ここで調達したものらしいからね。

使わなかったら返すのが大事だよねぇ。



僕は意識が覚醒してから怒涛の如く働き出す。主に荷物運びとしてだけど。

従魔ってこういう役立ち方もありかなぁ。









拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」


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