第20話 準備
昨日、休みと言いましたが、短くても切り良く書けたので更新します。
特に余計なものも無く、かといって殺風景すぎないエレーナの部屋で僕達は現在、急いで荷造りをしている。
というのも、僕達は今日中に領都を出発して、エレーナが所属しているという王都にある学校に向かわなくてはならないからだ。
エレーナが所属する学校、ベルナ王立学園はこの国の貴族の大半と優秀な平民が10歳になる年から18歳までの間、所属することになる由緒正しき学び舎らしい。その格式の高さゆえに平民は余ほど優秀でないと通うことはできず、貴族であっても卒業できるとは限らないほどに厳しいらしい。
僕には学校に通うことに資格を求められるというのがよくわからないけれど、エレーナはそんな学校が楽しくてしょうがないって言っていた。
どうやら、その学園とやらでは、この世界特有だと思う学問、魔法学というのがあって、エレーナはその学問に非常にハマっているらしい。
エレーナは15歳なので、すでに6年をそこで過ごしている訳だが、現在が最も楽しく学べているんだとか。
学園は3年ごとに初等部、中等部、高等部と分けられるので、エレーナは最後の中等部の年なんだとか。
今がおよそ秋口で、年が切り替わるのも正月らしいから、およそ3ヵ月で高等部へと進学する。
この世界の時間は、前世とそう変わらないみたいだ。少しだけ違うのはご愛敬ってところだと思う。
一年は365日で、30日が12カ月あり、年末年始が5日間だけ別に取られている。その5日間でいろいろと切り替えるらしい。
うるう年の様な変則的な帳尻合わせは無く、規則正しく星は回ってるんだなぁと理解したよ。まあ、この世界では公転や自転なんかは理解されない概念だと思うけどね。
ちょっと話は反れたけれど、初等部から中等部、中等部から高等部とグレードが上がるためには試験があるんだって。
エレーナたちの学年が高等部に上がるための試験として、学校から出された課題が従魔の獲得なんだそうだ。
初等部から中等部に上がるときは、魔法を一定レベルまで扱えることが条件で、新年が明けてそこで試験が行われたんだってさ。
入学した時と比べて、今は同学年が30人は減ったというからどれだけ厳しい試験なのか分かるよね。ちなみにエレーナの入学した年の学生は全部で140人程だっていうから、大変だ。
パールベルナ王国の地方では従魔というのは知られていないわけだけど、王都では結構メジャーな存在らしい。ただ、だから簡単に手に入るという訳でもないみたいだけど。
まあ、僕みたいなのはともかく、普通の魔物は人間とは敵対している訳だからね。
エレーナは僕と契約したことで、試験に合格するのは間違いないらしいけど、試験はまだまだ先の話で、今は明日の学校の授業に遅れないようにしないといけない。
だから、こうして僕も手伝いながら馬車にエレーナの荷物を積み込んでいるんだけどさ。
うん、だけどね。エレーナは一応、グラディスバルト辺境伯というパールベルナ王国の国境を防衛する重要な立ち位置の貴族のお姫様だ。
この国では長子継承の決まりがあるので、現段階でもエレーナは嫡子となる。ミーシャがいるから最悪継がなくてもいいのだけれど、彼女自身がその役目を全うしようと日々努力をしているみたいなので、僕はそれを応援したい。
まあ、何が言いたいかっていうと、要はエレーナは荷物が多いってこと。
たった2日の休みに実家へと帰るだけで、これだけ荷物を持ってくる必要はないだろうと思うのだ。毛布や歯ブラシなど、持ってかずともあるだろってものまであるんだ。それも予備まで含めて複数個。
エレーナの性格だと思うけど、まあ、仕方がないのかね。今後は僕がそういった荷物の取捨選択は手伝っていこうと心に決めたよ。じゃないと僕が疲れるからね。
「ウホウホ?(これは持っていかなくても良くない?)」
「ん?そうだな。ではそれは、こちらへ置いて行こう。じゃあ、こっちは持っていくぞ。」
「ウホ?ウホウホ?ウホ(それ?何に使うの?いらない。)」
僕はエレーナが不要そうなものを入れようとする度にそれを却下していく。ただでさえ多い荷物を増やしてたまるものか。馬車も帰りには3台を予定していたみたいだけど、絶対に1台に収めてやる。
「もう!お姉ちゃんは少しはいらないものは用意しないようにしなきゃ!」
「それは分かっているんだが...。」
何やら自分の言っている意味が分かっていない15歳が、しっかりした8歳児に注意を受けているが、それを横目に僕はすでに詰め込まれている馬車から不要なものを撤去して部屋へ運んだり、部屋から必要なものだけを運んだりする。
そうしていると、御父上がこちらまでやってきたみたいで、作業を見学しながら何やら言いだした。
「そう言えばエレーナは今は何を学校で学んでいるんだい?」
御父上の質問は正直、どうでもいいことなのだけど、いらない物を馬車へと持っていこうとするエレーナを足止めしようとしてくれているみたいだ。ぐっじょぶ、御父上。
エレーナが魔法学について語り始めたところで、僕はミーシャと物の仕分けを急ピッチで進めていく。こうでもしなきゃ、出発は暗くなってからになってしまう。
「ゴリ松ちゃんは、力持ちだから、荷物の整理もスイスイね!」
「ウホ(そうだね。)」
ミーシャが嬉しそうに言ってくれるので、僕はそれに相づちを打つように頷いて、作業を続ける。
そうしているうちに馬車の荷物はどんどんと減り、ついには1台で収まる程度まで量を減らした。
「ふぅ、これで、大丈夫。お姉ちゃんとパパを呼んでくるね!」
ミーシャがそう言って屋敷の中に入っていく。僕は特にやることはなくなったわけだから、馬車にでも乗ってゆっくりしよう。どうせならこの馬車を運ぶウマたちと世間話でもしてようかな。
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