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第17話 階位

自宅のイルミネーションをど派手に飾り付けました。大変でした。ストックがなくなるほどに。頑張ります。


先程の部屋に戻ってきてまず最初に行ったのは、血液の採取であった。部屋について階位とやらを調べると男爵に言われて、説明も何もなく大きな注射器を取り出されたときは、さすがに焦ったよ。


エレーナが止めてくれなけりゃ、僕はきっと暴れていたと思う。背の小さくなった僕からすれば、その針は非常に太く感じたし、痛そうに感じた。

そう思ってエレーナに嫌だというと、彼女が男爵に説明をしてくれと指示を出してくれたんだ。


男爵は僕に説明をしても意味がないと思っていたようで、驚かれたが、失礼しちゃうよね。僕はなぜか森の賢者と呼ばれるゴールドバックだよ?実際はそれは関係ないかもしれないけれど、それを理解する頭はあるさ。


そうして、男爵が説明してくれたけど、僕が質問しても男爵には伝わらない。なのでエレーナに質問をお願いして不明なところを尋ねていったんだ。


それによると、これから調べる『階位|(ランクともいうらしい。)』というのは、生き物の格を示す値の様で、例えば僕だったら、ゴールドバックのランク5とかランク6っていうらしい。そしてエレーナだったら普人族のランク3っていうんだって。


ランクが同じでも種族が違えば基準も変わるけど、大体は数字が大きい方が強いんだって。あまりに大きさに差があったりすると単純に比べることはできないみたいだけどね。

あと、ドラゴンとかゴールドバックも物差しの大きさが違うんだってさ。よくわからないや。


そして、この階位を測定するために血液が必要なんだって。説明も無しに血を取ろうとしたことは謝られたけど、まだあきらめていないみたいでエレーナの方をみると、無言でにこってされて、もはや抵抗は無意味だと悟ったよ。

僕の皮膚はずいぶん硬いので、もしかしたら針は刺さらないと一縷の望みを掛けたけれど、結果から言って、しっかり刺さったよ。どうも、僕が刺さってもいいかと思ったことが原因かもしれない。

だって、なんだか二回目を刺そうとしたときにはもう刺さらなくなっていたからね。


そんで今は測定結果がここへと運ばれるのを待っているって感じなんだけど、暇を潰す目的で、エレーナに彼女の階位を聞いて見たところ、何かの札を見せてくれたんだ。そこには文字が書かれているんだけど、僕には数字とエレーナの名前くらいしか分からなかった。

だからエレーナに教えてもらいながら見たんだけど、ちょっと想像とは違くて驚いたね。


もっと、ステータスが数字で表せるとか、自分の命がHP、魔力がMPみたいな感じかと思ってたけど、実際はそんなことはないみたい。

まあ、そりゃそうか。HPなんて、真面目に考えたらあり得ないよね。そんなの首をはねられたら即死だし。


僕が見たエレーナの札はこんな感じ。


『エレーナ=グラディスバルト〔15〕女

普人族Rank:3 【辺境伯令嬢・魔導士(火・光)】』


どうやらこれをギルドカードって言うらしい。冒険者ギルドでは冒険者証、商人ギルドでは商人証、貴族や平民が登録する役所で発行されるのは貴族証や平民証、総じて国民証というらしい。

ただそれらのどれも例外があって、それは僕みたいな魔物の場合だ。魔物は従魔証って言うらしいよ?僕も今はそれを待っているみたいだ。


このギルドカードで分かるのは名前と性別、年齢、種族、そして階位と補足情報らしい。


エレーナの場合は階位が3ということと魔導士だってことが分かるみたいだね。ランクが高いほど強いと言えるみたいだけど、ランク3だと学生のレベルではなくて騎士や宮廷魔導士の新人レベルなんだって。

平民の間では階位が一つも上がらずに生涯を終える人も少なくないとか。男爵はエレーナの階位を聞いて、驚いていたくらいだから、1か2なのだろうね。


最高位とか気になって質問してみたのだけれど、冒険者ギルドとは情報の共有が完全ではないため分からないって言われてしまったよ。

ただ、貴族の中にはランク8が最高位と言われているみたい。これも交信がされていないだけかもしれないらしいけどさ。


さて、そろそろ僕の従魔証が届いても良い頃合いらしく、男爵が少し遅れているみたいだと教えてくれる。また何かあったのかなぁ。


そう思っていたら、部屋の扉がノックされて、一番最初に僕達の受付をしてくれた職員が入ってくる。その手にはお盆があって、何かを載せている様だ。まあ、見るからに僕の従魔証なのだけどね。


「失礼します。課長こちらお持ちしました。」

「うむ、ありがとう。下がっていいぞ。」

「はい、エレーナ様失礼いたします。」

「ああ。ありがとう。」


職員は目的だけを粛々と達成し、とっとと部屋から出る。その表情は複雑で、もう少しいたい様ないたくない様な感じだ。ただ、下がっていいと言われたときはホッとしていたみたいだから、いないほうが良いんだろうね。

そりゃ、エレーナは娘とはいえ辺境伯家の長子だし、下手なことをしたら手痛い仕打ちを食らうことになるのは目に見えているから、しょうがないことだよね。そのことをわかっているから男爵もエレーナもすぐに退出を許可したんだろうし。


「それではエレーナ様。こちらがえぇ~ゴリ松?様のギルドカードとなっております。今後、また更新されるときは、役所であればどこでも対応できますので、お越しください。」


「ああ、分かった。更新なんてそうあることではないがな。」


「うほ?うほうほ?(あれ?ここで確認はしないの?)」


僕はもう帰ろうとしているエレーナに不思議に思って聞いた。エレーナはそう言えばって顔になって小声で僕に説明してくれた。


「一応、ゴリ松は私の戦力でもあるわけだからな。手札とは隠しておきたいものだろう?彼が広めるとは考えてはいないが、万が一ということもある。」


でもそうなるともう一つ気になるな。

「うほうほ?(でもエレーナは見られちゃったよ?)」


「ああ、自惚れるわけではないが、私は王都でもそれなりに有名だ。魔導士だからな。今更広まってもどうということは無い。それにすべてが見えている訳じゃ無い。」


そう言い切ったエレーナは自信に満ち溢れていたが、これ以上はここで話すべきではないと思ったのか話を切り上げて、男爵に向かって言った。


「それじゃ、失礼する。何かあれば領主館か王都の学園まで問い合わせてくれ。」


「うほ~(じゃあね~)」


僕達は一度、御父上がいる家へと戻って、僕のギルドカードの確認をするようだ。


この世界にきていろいろと不思議なことや大変なこともあったけど、僕のことが分かるのかぁ。楽しみだね。


エレーナと二人で役所を出ると馬車に乗りこみ、家へと移動を開始する。






拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」


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