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第12話 領都へ

お読みいただきありがとうございます。


ブックマークありがとうございます。


エレーナはドヤ顔で魔道具をこちらに見せるが、そもそも魔道具というのを理解していないので、何も言えない。まあ、雰囲気で察することはできたので、まったく理解できないわけでもないけどね。


エレーナの言いたいことは分かった。おそらく、その首輪型の魔道具をつければ僕が通りを歩いても従魔であることが証明されるということだろう。でもそれは、従魔が一般的な場所だけで通じる手だと思うけど、そこはどうなのかな?


「まぁ、ゴリ松の言いたいことは分かるぞ。これは確かに従魔であることを証明する魔道具だが、機能はそれだけじゃないんだ。」


「ウホ(うん。)」


「私は学園に通う一学園生だ。学園に通うなら従魔も同様だろう?」


そうだね。でもそれがその機能とどう関係が?


「これをつけた魔物はサイズが小さくなるのだ!」


エレーナは再びドヤ顔とともに胸を張ってこちらをちらりと見る。まあ、予想はできる内容なので驚きは少ないけど、ミーシャや隊長さんは驚いているので、珍しい魔道具なのだろう。

僕も一緒に驚いておこう。


「すごーい」

「それは珍しい機能ですな。」

「ホゥ(すごいね。)」


これだけおだてれば満足するだろうさ。僕の体に悪影響が無いのなら特に避けることでもないし、受け入れようじゃないの。


「じゃあ、つけるぞ?」


「ウホ(うん)」


このまま入れないのも残念だし、僕は体を屈めて首を差し出す。実はここまでの間に兵士さんたちの武器を観察してたんだけど、どうやっても僕の毛皮を貫通することは無いと思う。だから無防備に首を出せたんだけどね。


エレーナが少し背伸びするようにして僕の首に首輪の魔道具をつける。魔道具自体は犬の首輪みたいではなくデザインもバンダナ風でそんなに悪くない赤色でシンプルだ。


「これでよし。どうだ、ゴリ松?」


僕は首輪の調子を確かめながらもちょっと待ってみる。これで何かあれば速攻で引きちぎるつもりだ。

でも、1分ほどしても何も起こらず、いうなれば極微量の魔力を吸われているくらいかな。その代わりに魔素を吸わないから、さっきまでは機能の維持に魔素を摂っていたが今は僕から吸い上げているってことなのだろう。

まあ、実害はない。


「ウホ、ウホゥ(うん、大丈夫。)」


「そうか、良かった。ほら、変化が始まるぞ。」


エレーナがそういうと、僕の体が変化し始め、だんだんと小さくなっていく。視線がどんどん小さくなるのはどこかジェットコースターみたいな感覚だ。


「わぁ!」

「これは...。」


「さすがは学園で購入した魔道具だな。お小遣いを叩いただけはある。金貨5枚もしたのだから当然だ。」


隊長やミーシャが簡単の声をあげるが、僕は自分の姿が見えず、分からない。しかし、金貨5枚ってどれくらいの価値か分からないね。こういう常識が無いから、会話も難しいよ。

僕はエレーナに貨幣価値について聞く。


「ゥㇹ?ゥㇹゥㇹ(ねえ、エレーナ?僕にお金の価値を教えてくれないかい?)」


「ああ。まあ、貨幣は主に4種類。鉄貨銅貨銀貨金貨。あと一つ白金貨があるが、国家間の取引くらいでしか使われない。各硬貨100枚で次のと等価だな。」


「ウホ(ありがとう。)」


「いや、それより、自分の姿を見て見るか?」


エレーナは僕の姿を見せてくれるという。僕は小さくなっているだけで、見た目は変わっていないと思っていたけど、そうじゃないみたいだ。


「ほら。」


「ウホ(ありがとう)」


僕は渡された手鏡で僕の姿を確認する。ずいぶん視線が低くなったから、手鏡ひとつ持つのに一苦労...しない。どうやら筋力は元のままみたいだ。と言うより見た目以外は元のままだな。レベル4ゴリラ...じゃなくて熊戦を経てレベル5ゴリラのままだね。


鏡で見た僕は、自分で言うのもアレだが、ずいぶん可愛らしい。デフォルメゴリラというか、人形感のあるゴリラだ。

隊長さんが言葉を亡くしたのも理解できるな。これはかわいすぎる。男がこうなってると考えたら、言葉も出ないわ。まあ、僕は別に気にしないけど。結局ゴリラだし。


「ウホ、ウホウホ(うん、いいじゃない。)」


「だろ?よっと。」


エレーナが僕に賛同すると、今度は僕を抱える。うーん本当に人形みたいだね。しかし、見た目以外ってさっきは言ったけど、見た目と重さ以外だったみたいだ。

言わずもがなだけど、首輪を外した僕は相当重い。それこそトラック以上だと思う。自分で言ってて引いているけど、筋肉量とかから推測すれば分かるね。


まあ、そんなことは置いておこうか。今は僕が抱えられて人形みたいってことが大事。


「お姉ちゃん次は私ね!わぁ、すっごいモフモフ」


ミーシャはエレーナから俺を受け取ると、背中を撫でまわす。小さくなって毛並みが良くなったのかな。自分で水浴びした時は、結構ごわごわだったと思うんだけど。


エレーナもさっき触ったのにまた触りだしているから、気持ちいいのだろう。何よりだけどね。


「ゴリ松ちゃんったら、こうしていると普通のゴリラさんだね!」


「本当だな。ゴールドバックとは思えんよ。背中の金色の毛も黒くなっているし。」


「ウホ?(まじで?)」


僕は鏡で背中の毛を確認する。そしたら本当に黒かった。僕はただのゴリラになったのか。あの金色の毛もただ黒いだけよりはいいと思ってたんだけどな。

エレーナが再び項垂れる僕を抱きかかえて、慰めるように撫でてくれる。


「まあ、気にするな。どちらのゴリ松もかっこいいぞ?イケメンゴリラだ。」


「ウホ?ウホ(そう?ならいいや。)」


「うむ。」


前世でもイケメンゴリラとか聞いたことがあるけど、自分もゴリラだったらイケメンだったのかなぁ。もしかして最初から生まれる動物を間違えた!?


......まぁ、今となってはどうでもいいことだね。



さて、そろそろ移動した方がいいな。隊長さんたちはどうやらこのまま住民への説明に行くらしい

まあ、ゴリラが突然町に向かって来たら驚くよね。それに僕って〔森の賢者〕なんて呼ばれてたみたいだし。僕自身は森の王者だと思ってたんだけどね。


エレーナと一緒にそんな隊長さんたちを見送って、僕達はエレーナとミーシャの家に帰るみたいだ。

彼女たちが領主の娘であることは聞いているし、領主館にでも向かうんだろうと思うんだけど、どんなところか楽しみだね。

今世では僕は森の中や洞窟暮らしをしていたから、文明的な建物は楽しみだ。今も見えている外壁でも十分に感動するけど、やっぱり家は楽しみだよ。

僕の今の身長は8歳のミーシャよりも小さいし乗せて走れないから、今度は僕が抱えてもらう番みたい。


「さあ、入るぞ。」


「お姉ちゃん!今度はあたしがゴリ松ちゃんを抱っこする!」


「はいはい。」


エレーナがしょうがないなぁという風に僕をミーシャに渡して町の中へと入る門へと向かう。門ではさすがに領主の娘だからか顔パスだ。


そうして、僕の前に広がった光景は――――


――――何もかもが大きかった。

まぁ、そりゃそうだよね。僕は身長で言ったら50cm、目線は5分の1だから。


でも、これだけしっかりと家が並び立っているし、人の顔色も明るいから、良い都市だってことはわかるね。


たぶんだけど、これから合うだろうグラディスバルト辺境伯、エレーナ達の父親ってどんな人だろう。


「ゴリ松。ようこそ領都グランディスへ。」






拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」


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