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第99話 宝探し

「では次の階層を目指して発進です!」


「おー」


 操縦席に座るトロンが操作する運搬ゴーレムが空を飛ぶ。

 ライブラさんが補佐へと回り、安定した軌道に乗っている。


 こうなると僕たちはやる事がない。空は基本的に安全だから。


「う~ん。見つからないです。ごちゃごちゃしています」


 エルが上半身を消失させて、倒れている宝箱の中を物色している。

 ご飯を与えたばかりなので満足して寝ている状態だ。触りたい放題。


「エル、何をしているの?」


 気になって後ろから尋ねてみる。


「あっ、あるじさま。エルはみみっくさんに盗られた魔石を探しているんです」


「ロストワイバーンの?」


「はい!」


 強い魔力に引き寄せられて吸い込んだらしいけど。今も残っているのかな。

 どうやらミミックの中には様々なモノが散乱しているようで、エルが唸る。


「えーい!」


 転がり出てくるのはよくわからないガラクタばかりだ。


「おやおや、宝探しですか。もしかしたら副産物があるかもしれませんね」


 運転をトロンに任せて、ガラクタ一つ一つを鑑定していくライブラさん。

 レアリティがあるアイテムは流石に見つからない。殆どが盗まれた食材だ。


「う~ん、しょ」


 するとエルが両腕を広げて大きな球体を取り出した。

 

「あらあら、これは生物の卵ですね~有精卵です」

 

 ユグが近くで眺めてそう断言する。


「なんと。ロストワイバーンの卵ですよ!」


 珍しいものを見つけたと、ライブラさんは鼻息を荒くする。


「参謀、フロアボスは卵を産むのです?」


「フロアボスは魔塔によって造られた存在ですが、その大本は生物を模しますから。実は出産もします。とはいえ子育てに勤しむとは聞きませんので、殆どが孵化せずに消失してしまうのですが」


「もしかしたら過去につがいが居たのかもしれません~」


「ん、飯の時間か?」

「たまご……ぐぅ」


 卵という言葉に反応して、ティアマトさんとトロンが寄ってくる。

 

「トロちゃんは操縦に集中してください! ティアマトも意地汚いですよ!!」


 しっしっと追い払って、貴重な卵を死守するライブラさん。

 油断したら腹ペコ組に食べられてしまいそうだ。戻した方がいいかも。


「あれ、もしかしてミミックが食料を集めていたのは……!」


 主食は魔力なのに人の食べ物を集めるのは妙だなと思っていた。


「卵が孵化した際に、雛に与えるつもりだったのでしょう。ミミックもフロアボス同様に魔導生物。微かにでも仲間意識があったのか。行動を共にしていても襲われなかったくらいです」


「子育てを放棄した親の代わりに育てるだなんて、盗人様も母だったのですね~」


 ユグが頬に手を当てて微笑んでいた。

 僕にはわからないけど母性というものなのかな。


「もう一個、光ってるモノを見つけました!」


 エルがまたも宝物を見つけたらしい。輝きを放つ光の結晶を握っていた。


「そ、それは、コアチップではありませんか!? しかも最上級の品質ですよ!」


 ライブラさんが卵を発見した時以上の驚きを見せる。


「コアチップ?」


「魔導兵器の核となるパーツ。言わば心臓部です。ロロアさんもご存じのはずですが。現状出回っている魔導銃などは魔塔で産出される、元から完成された品ばかりです。何故、一から作りだせないのか。それはコアチップが現在の技術では生み出せない超常技術の塊だからですよ」


「なるほど。それだけ貴重なパーツなんだ」


「魔塔探索の黎明期に少ない数ながら発掘はされていたのですが。研究材料として手荒く扱われて、その貴重性に気付く頃には、ほぼ失われました。一度使用されたコアは取り外すと効力が消えてしまうので。コア単体で見つかるなんてここ数十年報告がなかったくらいなんです」


 エルから受け取ったコアをじっくりと眺める。

 七色の輝きを放つそれは、アイギスの持つ力に似ている。


「これは……トロちゃんに移植すれば。まず間違いなく神話級クラスになれます」


「そ、そこまでの品なんだ」


「ええ、ミミちゃんが大事に保管していたおかげで状態もかなり良いです。数千年以上前の技術ですから。どこか破損していてもおかしくなかったのですが」


「……トロンさんも神話級に」


 コクエンがぎゅっと、悔しそうに自分の腕を強く握っていた。

 

「コアが見つかったところで、移植に相応の技術が必要となるので。そう簡単に事は進みませんが」


「地上のコーレリアで、イーグルさんに頼めないかな?」


「無理でしょう。まず人間の中でコアに触れた経験がある者は存在しません。リンドウ王国最長老クラスのドワーフの技術力と、エルフ族の上層部。ハイエルフの助けがあって初めて挑戦ができるといったところです。かなり困難な道ですが……」


「ライブラさんの知識でもわからないんだ」


「私様の蓄える知識は冒険者のものばかりですので。各種族独自の秘術などは閉ざされたままなのです」


 トロンは他のアイテムとは成長の手順が違う。

 取っ掛かりは掴めたけど。まだまだ先は長そうだ。

次の更新は12/9です

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