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第71話 移動手段

 まずは一ヵ月ほど掛けて無事に九十階層に辿り着く。

 ゲートを抜けると他の冒険者たちの姿が。恒例の休息所だ。


 荷物を抱えたドワーフたちが店を開いている。

 ここで足りなくなった物資を手に入れたい。

 あとは情報収集も忘れずにしておこう。


 カンテラの燃料である魔欠片は、

 魔塔の異世界で採れる鉱石を製錬したもので。

 地上では需要があり過ぎて手に入り辛くなっている。


 クランバルでは鉱山を多く抱えていて他国よりも安価。

 ギルドからの支援物資も潤沢にあるので交換用にしよう。

 

 魔塔の奥地では金貨よりも食料品の方が価値が高くなる。

 だから余剰分も大切に保管しておくとあとで役立ってくれる。


「コクエン、ここにある材料を集めて欲しいんだ。あと予備カンテラを幾つか」


「はい! お任せください!」


 メモに足りない物資をまとめてコクエンにお使いを頼む。

 エルにはトロンとアイギスが迷子にならないよう見てもらって。


 僕とライブラさんで情報収集だ。各地の天幕をめぐっていく。

 ドワーフを中心に構成されたパーティに声を掛けてみる。


「この辺りで見つかる面白い何かだと?」


「はい。地上で教えてもらったのですが。心当たりはないでしょうか」


「ふむ……アレの事かな」


 曖昧な質問だったけど、心当たりがあるのかすぐに反応があった。


「休息所を出てすぐ左手の方に旧鉱山があるのだが、多分それだろう」


「鉱山? それが何か探索に役立つのでしょうか!」


 ライブラさんが前のめりになって話を聞いている。

 ずっと気になっていたし。知りたくて仕方がないみたい。


「内部には破棄された道具がたくさん転がっている。自由に持っていくといい。まぁ採掘用の道具ばかりだから魔塔探索に使える保証はないがな」


「えっ、それだけ? もっとこう心躍らせる太古の遺跡とか――」


「ない。ただの採掘場跡だ」


「期待させてこれですか……はぁ」


 ガッカリした表情になっちゃった。とりあえず見にいってみよう。


「情報、ありがとうございます」


「――少し待ってくれ」


 お礼を伝え立ち去ろうとすると、呼び止められた。


「君にこの情報を与えたのは誰だ?」


「えっと……」


 そういえば名前を聞いていなかった。


「名前はわかりませんが、ドワーフのお爺さんです。秘密の階層なども教えてもらいました」


「ほう、アイツめ。ついに見つけたという事だな。面白い」


「……?」


「こちらの話だ。この先も気を付けてくれ」 


 名前を聞かずに察していたけど、実はあのお爺さん有名人なのかな。


「ご主人様、物資をかき集めてまいりました!」


 そこに複数の鞄を抱えて、コクエンが戻ってくる。


「ありがとう。これから旧鉱山を見に行くよ」


 荷物を半分預かってみんなで移動を開始する。


 旧鉱山は破棄されて数年経っているのか汚れていた。

 途中看板があるので迷わずに奥に進めるようになっている。


 壊れたつるはしやトロッコ、よくわからない残骸まで。

 そして最深部だろう、大きく開かれた空間の中央の窪みに。


 ――大きなゴーレムが鎮座していた。 


「これは、採掘した鉱石を運搬するゴーレムですね! かなりの大型です! 何ですか、期待を下げるだけ下げて、本当に面白いものを提供するなんて。酷いではありませんか!」


 ライブラさんが元気を取り戻して調べ回っている。


「レイリアが開発したフォルスと比べると、旧式のようだね」


「おっきー!」


「カッコいいです!」


「……おお」


「ひぃ、突然襲ってこないですかね……?」


 かなり頑丈な胴体をしていて重量もありそうだ。

 馬のような形状で四つの足元に車輪が付いている。

 

 後ろには人が余裕で複数人乗れる頑丈な籠が繋がっていた。


「どうも燃費が悪すぎて放置されたようです。動力源に使う魔力が膨大で、採掘した鉱石では採算が取れない頭の悪い設計をしています! こういうの私様は大好物ですよ!」


「とにかく性能にこだわり過ぎたんだね。ライブラさん、これって動かせそう?」


「通常の人の魔力では五分ももたないでしょう。ですが私様たちにはエルエルが――」


「龍の魔力水です!」


「ええ、少し整備すれば利用できそうですよ!」


 何かと便利なアクアドラゴンの魔力。ゴーレムにも使えるんだ。

 

「パーツに不備がないかを確認します。落ちている道具も使いましょう」


「参謀、お手伝いします!」


 それぞれ使えそうなパーツを鉱山から集めてくる。

 専門知識はライブラさんが原板から引き出してくれた。


 修理は任せて、僕はゴーレムの身体を綺麗にしていく。

 近くには水も用意されていて、汚れを落としてピカピカに。


 そして、修復作業は三日間で終了した。

 僕たちは新たな移動手段を手に入れたんだ。


 ◇


「はやーいはやーい!」


 窓から顔を出してアイギスがはしゃいでいる。


 運搬ゴーレムを起動させてから一気に二階層を突破した。

 徒歩で二~三日掛けていたのが、僅か半日で攻略できるように。

 

 ガタガタと揺れるのが難点だけど、風が気持ちいい。

 ユグで記録した天幕を創造して移動式の家に改造している。

 

 動力はエルの龍の魔力水で簡単に補充ができる。

 大量の鉱石を運んでいただけあって僕たち程度は楽々だ。


「トロちゃん、周辺に魔物の反応があればすぐに教えてください。避けますので」


「うん」


「ライブラ参謀、直進できます!」


「運転は私様にお任せを! 最短ルートを構築しますよ!」


 夜間の索敵はトロンに任せて、ライブラさんが操縦する。

 コクエンはカンテラをかざし前方に障害物がないか確認している。

 

「エルもやりたいです! 運転してみたいです!」


「わたしもー!」


 楽しそうな操縦席にエルとアイギスが集まってくる。


「夜は危ないから、昼間にちょっとだけ交代してもらおうね」


 実は僕もゴーレムの運転に興味があった。

 休憩時にライブラさんに操作方法を教えてもらおう。

 

「よし、このまま一気に駆け下りていこう!」

次の更新は10/14です

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