さくらの初期ステータス
さくらは寒い格好のまま待たされて、体の芯まで冷えてしまった。
(絶対、今は冬だよね……裸足に床が石って……拷問? 前世の行いが悪かったせい?)
いよいよ、さくらは、ゼフ国王の居る王の間に通された。
国王が座る数段下の階に片膝をつき、頭を下げ、世話役の神官からちょっと前に教わった挨拶をする。
「私の名は、さくらと言います。地球という異世界から来ました。一年後の大戦に向けてゼフ王国のためにすべてを捧げます」
(かまずに言えたよ! いかにも召還された勇者です! って感じのセリフだよね)
満足そうに国王はうなずくと、神官に目配せをした。
早速、国王直々にスキルの確認をするらしい。
さくらも、早く自分のスキルを知りたくて、ワクテカが止まらない。
進行役の神官が、「これより異世界人さくらのステータス、スキル確認を行う。さくらは目の前の水晶に利き腕の手の平を乗せなさい」と淡々と促す。
「はい!」
さくらは元気に答え、右手の平を水晶に乗せた。すると水晶が光り、さくらのステータスがプロジェクターのように、壁に投影される。この世界には、個人のプライバシーなんか無いようである。
名前:さくら Lv:-256
状態:病弱
HP:E
MP:E
力:E
素早さ:E
賢さ:E
運:なし
スキル:【おばあちゃん子】【おいなりさん大好き】【草むらのお友達】【金運アップ?】【引きこもり】
王の間の空気が一瞬で氷つくのをさくらは感じた。これでも空気は読めるほうだと思う。
さくらは近くの神官に聞いてみた
「この世界ってLvにマイナスってあるのですか?」
「あかちゃんでもLv1はあります。レベルドレインを受けてもLv1以下になる人は見たことが無いです……」
(フォロー無しですか……)
「HPの隣のアルファベットは何ですか?」
「EからSまであり、Eが最低、Aが通常の最高、Sは神話級の能力です。」
世界を救う救世主の状態が【病弱】って……
ステータスが全部Eって……
赤ちゃんより弱い救世主って、大戦の切り札になれるものなの?