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大戦⑥

今回の主要人物


【宗教都市ゼロ】

さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。宗教都市ゼロ代表兼さくら神社神主。もふもふ同盟。

タマ(九尾の狐)さくら神社に祀られている、アーティファクト「お稲荷様」の化身。武術に長け、料理上手。

くー(コロボックル)兄妹の兄。

さー(コロボックル)兄妹の妹。最近はエスターに懐いている。

ナビ(AI)3D化に成功した神社システムのヘルプ担当。

カメア(人間)回復士。


【ゼフ王国】

オーサム(人間)大将。ノストラのボス、カークを裏の顔に持つ。

マノン(人間)少将。元エスターの部下。

スキアー(人間)少将。ノストラの一員。

 久しぶりに親子の再会に涙を流しているリス獣人達。そこにタマさんが入ってきて。

「救出されたリス獣人達はさくら神社の本殿に連れてくるぞえ!」と感動よりも、生贄に出されてから救出されるまでの間の記憶を隠すことを優先させた。辛い思い出は一刻も早く消してあげたかったのだ。狐憑きは、記憶操作もできるのである。




 入り口の鳥居前には、距離を取ったゼフ王国軍とさくら達は均衡状態になっていた。さくらはSNS【緑】アプリでちーちゃんに「ユニコーン隊を鳥居外に整列させて!」と送ると、「わかったのだ!アタイも行くのだ!」と直ぐに返事が返って来た。


 鳥居の外にずらりとユニコーン隊が並ぶ。モンスターにゼフ王国が壊滅状態になる寸前で颯爽と現れて、助けてくれた幻のユニコーンが、鳥居前に並んだのだ。


「あれは、幻のユニコーン!! あんなにも数が居たのか!」

「幻のユニコーンに助けられたのは、宗教都市ゼロのおかげだったのか!」

ゼフ王国軍に衝撃が走る。シューマの報告を聞いているカークをはじめとするノストラの一員は知っていたが、ゼフ王国軍の兵は知らない事実だった。


「我々を、我々の家族や王国を助けてくれた宗教都市ゼロに、俺は剣を向けているのか……」

「俺がワイバーンに咥えられたときに、角で体当たりして助けてくれた幻のユニコーンに剣など向けれない……」

「モンスターに連れ去られた娘を、背に乗せて助け出して来てくれた幻のユニコーンと戦うのか……」

動揺するノストラ以外のゼフ王国軍兵。


「全軍、偽ユニコーンに攻撃開始!」とオーサムが号令を出すが、ゼフ王国軍兵はお互いを見合わせて、足が動かないでいた。

「何をしている、お前達早く偽ユニコーンに行け!」と叫びながら、足を出さないでいるゼフ王国軍兵にスキアーが殴りながら急かす。それでもゼフ王国軍兵は動けないでいた。自分達を守ってくれた幻のユニコーンにどうして剣を向けることが出来るだろう。


「そこまで言うなら、スキアー。お主からユニコーン向かって行ったらいいではないか。先ずは自ら行動で兵に士気を上げて見せたらどうなんだ?」とマノンが突き放すように言う。「私は、殿下からどんな罰を受けようが、幻のユニコーンには危害を与える行動は出来ない」とマノンは続ける。


 さくらは【マップ】アプリを見ると所属がゼフ王国になっている者は白い点になっていた。

「ナビさん、残りのゼフ王国軍兵も氏子申請しちゃって!」

「わかりました。……ノストラ以外は氏子になりました」

(ナビさん、仕事早いよ!)


 続けて、さくらは、SNS【緑】アプリで、「くーちゃん、さーちゃん、氏子になったゼフ王国軍兵は、初日ちーちゃんがドラゴンで待ち構えていた広場に移動させちゃって!」と送った。「「さくら!任せて!」」兄妹から帰って来た。


 一人、また一人と目の前からゼフ王国軍兵が消えて行く。残ったのは、ノストラだけになった。

 さくらは鳥居から出て、カークに向かって言う。

「きっとこれが本当の大戦でしょう。【軍師のペンダント】から良い策でももらえました?】


 カークには撤退しか無いとわかっているが、撤退も成功出来ないことも知っていた。【軍師のペンダント】は、今知り得ている情報を元に最善の策を教えてくれる。もう生き残る道は無い。せめて、異世界の転生者だけでも道連れに……


 カークが無駄に考えている間に、さくらは、ちーちゃんに合図を送った。「アタイのユニコーン隊!鬼畜どもをやっつけるのだ!」とちーちゃんは号令を出と一斉にユニコーン隊はノストラの集団目掛けて駆けて行く。逃げようとしても、人の足で馬に勝てるはずは無い。剣を振り下ろしてもオリハルコンをまとった体に傷など付かない。魔術師の詠唱など言い切る前に角で鳩尾を突き飛ばされる。ノストラ達は何度もユニコーン隊の角で吹き飛ばされ、オリハルコンの馬鉄で手足を踏まれて、動くことすら出来なくなる。


 さくらは、エスターさんに目で向けた。エスターさんはゆっくりカークに近寄って行く。

 カークは情けない声で「助けてくれ! 同じ大将だった仲間では無いか!」と命乞いをする。

 エスターは、「お前など殺してもタケルは喜んでくれなどしない。タケルの奥さんも娘さんもそうだろう。私はタケルの分まで、タケルの家族の分まで色々体験する事にした。その形見だけはもらうぞ」と言って【軍師のペンダント】だけ剥ぎ取って戻ってくる。カークに背を向けてから、エスターは涙を拭うこと無く流している。

(エスターさん、強くなったね)


 仕事を終えたユニコーン隊は、ちーちゃんの号令で鳥居の中に戻って行く。


 マジックアイテムで隠れていたノストラの回復士が、エリアヒールをかけ一気に全員復活し……気がついていないエスターさんに向かって攻撃や魔法詠唱を始めた。


 さくらが号令する前に、一斉に【狛犬(加護付きオリハルコン矢)】が放たれる。

孤児院出身組が操作して隙無くノストラの動きを見ていたのだ。エスターさんに助けられた者として、今度は守る番だと強くいしきしている。


 脇をかすめて行く矢に驚いたエスターさんが振り返ると、血だらけでノストラの一団が倒れていた。矢は体の中で止まると衝撃で内臓を破壊し、抜くときの矢尻の返しで傷が深くなる。オリハルコンの矢はレーザービームで撃ち抜かれたように貫通している。


 瀕死の重症だが、まだ息絶えては居ない。


 さくら達はノストラの一団をさくら神社の本殿に運んだ。そしてタマさんが狐憑きの儀式を始めた。生まれてから今までの記憶を一切消すのだ。これで何も出来なくなるだろう。記憶を消し終わったら、カメアさんにヒールを依頼する。記憶が消えたと同時に【マップ】アプリに赤い点ではなく白い点に変わっていることを確認した。





 エスターは、ゼフ王国兵のいる広場へ、さーちゃんに送ってもらった。

「マノン、大丈夫か?」

「エスター大将! 戦はどうなりました!」

「全て終わった。ケジメもつけれた」と言って、【軍師のペンダント】を見せた。

「全て終わったのですね……」マノンも涙を流していた。

「これからは、マノンがゼフ王国兵をきちんとまとめるんだぞ」

「エスター大将……戻って来てはもらえないのですか?」

「あぁ、私は宗教都市ゼロの大将としてさくら殿を補佐しないといけないからな」

「そうですね……でも、これまで以上に会えるように変えていきます。ゼフ王国を正していきます」

「あぁ、そうしてくれるとありがたい」


 そこにさくらとノストラの一団が移動して来た。

「大将のオーサムは、記憶を無くさせてもらいました。もう何も出来ないでしょう。今のゼフ王国兵の責任者は、少将のマノンになりますか?」

「はい、全軍の責任者になります」と姿勢を正して答えた。


「取り急ぎ氏子になってもらいましたが、皆さんは一度解除させていただきます。これ以上宗教都市ゼロと戦を交えますか?バジ王国に進軍されますか?ゼフ王国に戻りますか?」

「宗教都市ゼロとは戦う意思などありません。今の状況で進軍は難しい。ゼフ王国に戻らせていただきたい。」

「わかりました。お送りしましょう」


 くーちゃんとさーちゃんは、王都ゼフの近くまで全ての兵を移動させた。




 さくらは、誰一人死者を出すこと無く大戦を乗り越える事に成功した。

初めての作品「さくら神社の防衛戦争」を読んでいただき、ありがとうございます。

タイムリミットある中、異世界でのさくらの活躍を応援してください!


ついに大戦が始まりました!


さくらの活躍を応援していただける方は、ぜひブックマーク、評価(下部の☆☆☆☆☆)にて、後押しお願いします。

その応援がはげみになります。


次話は宴の続きです。

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