雪の降った日 後編
今回の主要人物
【宗教都市ゼロ】
さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。宗教都市ゼロ代表兼さくら神社神主。もふもふ同盟。
タマ(九尾の狐)さくら神社に祀られている、アーティファクト「お稲荷様」の化身。武術に長け、料理上手。
くー(コロボックル)兄妹の兄。森の中を瞬時に移動が出来る。
シゲ(ぬらりひょん)さくら神社の参謀。
エスター(人間)孤児院出身の宗教都市ゼロ大将。もふもふ同盟。
ちー(マインドラゴン)元ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。普段は人代、犬化をしている。リス獣人達に崇められている存在。ユニコーン隊のリーダー
「シゲさん、くーちゃんお帰り! 寒かったでしょ、今あったかいお茶入れるね。こたつに入ってあったまってて!」
「さくらちゃん、ありがとう」
「さくら! こたつ入る! 寒かった!」
さくらは、お茶を二人に出すと、エスターさんとタマさんとナビさんを呼んだ。早速シゲさんの話を聞いて準備を始めないといけない。
居間には、さくら、タマさん、エスターさん、くーちゃん、ナビさん……楽しそうなことやってると思ったのか、ちーちゃんも参加した。
「早速、シゲさんどうだった?」と心配そうな表情でさくらが切り出した。
「先ずバジ王国だが、ちーさんのユニコーン隊のおかげでモンスターは激少したそうだ」
「アタイ、馬っころ達に後で褒めてやるのだ!」ちーちゃんは喜んでいた。
「今は、モンスターにやられた街の復興作業に追われていて、民兵の招集は無く、住民も防衛都市カサスまではバジ王国軍は辿り着かないだろうって思っているみてぇだった」
「変わらずに大戦は他人事って感じなんだね」
「タス村はバジ王国に飲み込まれるんじゃねぇかって言ってたな」
「なんでよ! 私達は中立だもん!」
「ゼフ王国だけじゃ無く、バジ王国もだが、宗教都市ゼロは公表されちゃいねぇ。そもそも、異世界からの転生者は、召喚失敗したってゼフ王国内は公表してたじゃねぇか。今更、タス村にエスターと一緒に送り込んで独立されちゃいましたなんて言えねぇだろ」
「そっか……そうだよね……」
「多分ノストラ絡みだと思うが、獣人を連行して集めてるみたいだぜ」
「それは、嫌な予感しかしないね……」
さくらはエスターさんに聞いた。
「今の状況だと、ゼフ王国は大戦の方針どうすると思う?」
「当初の考え通りに、攻めて出ずに守りに入るだろうな。この街でバジ王国軍を減らしてくれたらと思ってるはずだ。ただ……オーサム大将は、別に動くだろう……この街を潰そうと……」
「潜入に失敗したノストラの人が見たものを伝えてるだろうからね」
「あぁ、それで獣人集めているんだろう」
「シゲさん、バジ王国はどうだった?」
「ゼフ王国に対する妬みが最高潮だな。食料を大量に持ち込んだノストラの商人達は、全て殺されて食料はバジ王国が没収したんだとよ。それで市民は食料難に逆戻りしてた。大戦を乗り切れば腹一杯食う事が出来るってことだけを信じて生き延びてるって感じだったなぁ。バジ王国は民兵集めて攻め込んで来るんじゃねぇか」
「うちの街を素通りしてくれたらいいんだけどな……」
「タス村は、隕石で壊滅したと思っているらしいぞ」
「またそれも面倒だね」
「さくらはどうしたいんだえ?」タマさんがお茶を飲みながら、考えを聞いてきた。
「リス獣人は、私達への交渉材料にするはずだよね。リス獣人達は助けて保護してあげたいな。バジ王国は、どうぞゼフ王国まで行って下さいと言いたいけど、ちょっかい出してきそうだよね」
「この街からは、先制攻撃はしないのかえ?」
「しないよ! でも、命が狙われたら反撃を禁止にはしないよ!」
「さくらは優しい子だえ。ワシの教育が良かったおかげだえ」
「万が一、バジ王国から攻撃されてもいいように、住人の家はリス獣人エリアの後ろに移動させるよ」
「その方が安全だなぁ」シゲさんは腕組みをして難しそうな顔をしていた。
「当日、マップで見てバジ王国軍が赤い点だったら、旧ヒク村からこの街まで細い一本道にして、両脇を3mほどの堀にしちゃう。堀の中に【狛犬(水)】を等間隔で配置して、堀の中は滑り台のように坂にしてヌルヌルローションで一箇所に集めちゃう。堀も高さが見えるより、見えない方が怖いから、ドライアイスでもくもくにさせとくの!」
「さくらちゃん……えげつねぇ……」
「細い道を歩いている人には、竹林の中に【狛犬(空気砲)】を配置して、足を狙うの!】
「さくらちゃん……そのために空気砲だったのか……音もしないし、目にも見えない……足をすくわれて、高さのわからないドライアイスの谷に落ちていくと……」
「一人が歩けるくらいの道なら、ゆっくりとしか進めないでしょ! 【狛犬(空気砲)】の的にはいいでしょ」
「逃げ場もないし、足元をすくわれて落ちていく仲間の理由もわからない、戻るに戻れない一本道」
「ちーちゃんをいじめたお返しは、しっかりとやらないとね!」
「ご主人様!!」ちーちゃんが泣きそうな顔して見ている。
「落ちて滑った先は、広い広場にして、ドラゴン姿のちーちゃんに居てもらうの。ちーちゃんの頭の後ろには、ナビさんも居てもらうよ!」
「私もですか」突然名前が出たナビさんがキョトンとしている。
「滑り落ちてきたバジ王国軍の兵は足を挫いたり、骨折したりしてるでしょ。そんな体でたどり着いた先にドラゴンが待っているの。お前の王国の王がアタイに隕石落としてきた。それを喜んでいた◯◯一族を末代まで呪ってやる。◯◯はナビさんがマップで名前を見てちーちゃんに伝えてもらうの」
「そりゃ、生きた心地しねぇわな……」
「最後の追い込みとして…アタイに剣を向けるか、隕石を落とした王に剣を向けるか選べ。王に剣を向けるならその洞窟を通って失せろ!って言うの。ちょっと神秘的にするため、ユニコーン隊も半数配置しとこうか」
「アタイだけじゃなく、馬っころも一緒なのか! アタイのカッコいい姿見せられるのだ!」ちーちゃんは涙を浮かべて喜んでいた。
(隕石から私達を守ってくれたんだもん、カッコいい役してもらって、気持ちよく仕返しさせてあげないとね)
「負傷して帰還した兵によって、バジ王国が滅んでも知りません! 当日のマップの色次第です。【狛犬】は子供には操作させないで大人だけに限定にするよ! まだ見せるべきじゃないと思うんだ」
「それでいいぞえ」タマさんも納得してくれた。
「バジ王国側の鳥居には、バジ王国の恨みをかってるエスターさんが出迎えて、素通りを選択するか、攻撃してくるか確認する係りお願いね」
「さくら殿、引き受けた」エスターさんは真面目な顔で頷いたが、
「さくらちゃんも交戦的だねぇ。エスターを立たせれば戦意上がるだろ」とシゲさんがつっこむ。
さくらは知らんぷりをした。
(だって隕石落としてきたのはバジ王国だもん。私だって生きた心地しなかったんだからね)
「ゼフ王国側の鳥居脇にも【狛犬(空気砲)】と弓を練習した人を念のため配置しておくよ。オーサム大将が何かしら仕掛けてくるでしょ」
「ありえるなぁ」
「これで私の考えている両国への基本対策は終わりだけど、あとはその場で臨機応変でいいかな?」
みんなが首を縦に振った。
【さくらが大戦に巻き込まれるまで、まで残り40日】
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次話は弓の訓練のお話です。




