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雪の降った日 前編

今回の主要人物


【宗教都市ゼロ】

さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。宗教都市ゼロ代表兼さくら神社神主。もふもふ同盟。

タマ(九尾の狐)さくら神社に祀られている、アーティファクト「お稲荷様」の化身。武術に長け、料理上手。

くー(コロボックル)兄妹の兄。森の中を瞬時に移動が出来る。

シゲ(ぬらりひょん)さくら神社の参謀。

エスター(人間)孤児院出身の宗教都市ゼロ大将。もふもふ同盟。

メルツ(人間)孤児院の生き残り。エスターの親友。もふもふ同盟。

ちー(マインドラゴン)元ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。普段は人代、犬化をしている。リス獣人達に崇められている存在。ユニコーン隊のリーダー。

ラーレン(人間)孤児出身者。ゼフ王国からの亡命者。

 「ちーちゃん、あったかくてよかった」

 さくらは、お布団の中で、ちーちゃんを背後かから抱え込むように抱っこして布団にくるまっていた。この世界に来てからもうすぐ一年経過しようとしている。去年より、今年は格段に寒い。


「さくら! 朝ごはん出来たぞえ!」タマさんの催促する声が聞こえた。

(まだお布団から出たくない……)


 さくらは、渋々お布団から出てカーテンを開けると、外は真っ白な雪化粧になっていた。急いでちーちゃんを起こして、


「ちーちゃん! 雪が積もってるよ!」

「ご主人様……アタイはまだ眠いのだ……うおぉぉ!! ご主人様! 外が真っ白なのだ!」


 ちーちゃんも寝ぼけた頭が一瞬でクリアになったようだ。




 居間に行くと、これぞ和食というおかずが並んでいた。

・鮭の塩焼き

・味のり

・納豆

・卵焼き

・ほうれん草のおひたし、削りたての鰹節がけ

・豆腐とかぼちゃの味噌汁


 他の人達は、遅く来たさくらとちーちゃんを待たずに、先に食べ始めていた。

(この一年で、みんな和食になれたもんだね。ラーレンさんは、色々と珍しそうに目を輝かせているよ)


 味噌汁を一口飲んで、お腹にあったかい感触が広がった。次は玉子焼きに箸をのばそうとしたとき、タマさんから、「明日も積もったら、さくらも早起きぞえ!」と言われ……さくらは、しまったと思った。


 病弱だった前世では全てタマさんがやってくれていたが、本当はさくらもやらなければいけない事があった。

 朝の参拝に来る人より前に起きて、参道の雪かきである。


「タマさん! ごめんなさい! 雪かき私もやらなきゃだった…」

「今日は、シゲさんとリス獣人さん達が手伝ってくれたぞえ」


「シゲさん、ありがとう!」

「やっぱり雪かきは、腰にくるなぁ」


 うっすらと積もったらだけなら、竹ぼうきではいて終わるけど、しっかり積もったらシャベルで雪を脇に積んでいかなければいけない。


「エスターさん、去年の今頃って雪降っていなかったよね?」

「降っていなかった。きっとピーナッツ火山の噴火が収まって、寒くなったのだろう」

「噴火の影響はありそうだね。大戦も雪を想定してゼフ王国とバジ王国準備してるのかな……私達も防寒対策しないとだよね」


 さくらは、雪のことなど何も考えていなかった。


「俺は、朝飯終わったら、ゼフ王国とバジ王国見て来るとするかぁ。そろそろ奴さん達も最終準備に入ってるだろ」

「シゲさんありがとう! シゲさんの情報だけが、この街が先手打てて、有利になれているもんね」




 シゲは、先に王都ゼフに偵察に来た。移動は、いつものくーに頼んでいる。

以前は閉まっていた雨戸は開かれて、住人達は、モンスターからの被害の復興作業をやっていた。どうやら、モンスターの被害は収まったらしい。


 雪がちらつく中、その辺で作業している、体から湯気を出ている男性にシゲは話しかけた。

「最近はモンスターが減ったのかい?」

「あぁ、幻のユニコーンがモンスターを蹴散らしてくれて徐々に減っていった。これも女神として女性騎士アーテル様がお救いしてくれたんだ」

(女性騎士アーテル様? あぁ、ちーさんを使って宗教を起こしたってやつか……知らぬが仏だな)


「大戦に向けて、上から招集とかかかってるのかい?」

「そういや、無いな。食糧難の国が相手だから大戦と言っても、防衛都市カサスまで辿り着けないだろ。タス村は飲み込まれるかもしれないがな」


「タス村は、今どうなっているんだい?」

「元大将のエスターが行ってるらしいと聞いたぞ」

(宗教都市ゼロもさくらちゃんの事も知らなさそうだな)


「他に上の方で不思議な動きの噂を聞いたりしてないかい?」

「なんでも、貴族達が囲っていた獣人が国に取り上げられてるって噂だ。大戦前に金持ちの道楽を締め上げてどうするもんかね。取り上げるなら金の方がいいと思うけどな」

(獣人を集めてる……きな臭い話だな)


 シゲは草むらに入り、くーに頼んで王都バジに移動した。




 王国バジは、配給の食料に人が並んでいた。

(ノストラが入り込んで、食料難は回避してたんじゃなかったかぁ?)


 シゲは、配給に並んでいる痩せ細った男に話しかけた。

「食料難は解決したんじゃなかったのかい?」

「一時期、ゼフ王国から亡命してきたオスロ商会ってのが食料分配してくれていたが、殿下を狙ったゼフ王国からの刺客だったらしく、殿下が切り捨てた。殿下が見抜いてくれていなければ、俺達はゼフ王国の言いなりにされているところだったんだぞ」

(ノストラは失敗したのか……)


「上から招集はかかっているのかい?」

「もちろんだ。この大戦で豊かな土地をずる賢いゼフ王から奪い取ってやらないとだろ。ヒク村を壊滅させたエスター大将の居るタス村は、殿下の国宝魔法で壊滅してくれた。深闇の森を一気に抜けて暴れるまで。それまで我慢すれば、腹一杯飯が食える生活ができる。憎きゼフ王国を倒す日までもう少しだ」

(完全に洗脳されているじゃねぇか……うちらの街に被害が無ければいいけど……)


「宗教都市ゼロって聞いたことあるかい?」

「聞いたこと無いな」

(宗教都市ゼロをゼフ王国の一部として説明されて攻撃されるかもな)


 シゲは草むらに入りくーに頼んでさくら神社に戻った。

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