さくらの死
生活品を届けてくれるシゲさんの定期便が島についたが、その日、港にはさくらの姿は無かった。
ゲーム大好きなさくらが寝坊することは度々ある。
しかし、変な胸騒ぎがしたシゲさんは、稲荷神社までさくらを呼びにいくと……居間で息絶えている……さくらを発見してしまう……
さくらは眠っているような、やすらかな顔をしていた。まだぬくもりも残っている。
シゲさんは急いでドクターヘリの要請をした。懸命の救命措置をしてもらうが、残念なことに、さくらはもうなすすべがない状況であった。
近藤さくら17歳。天命をまっとうした。
身寄りの無いさくらは、元島民により葬儀をおこなってもらった。
葬儀の席では…
「さくらちゃんは、生まれながら重い病をわずらっていたんだよな」
「療養とはいえ、島で【一人暮らし】なんて無謀だったんだよ」
さくらは、稲荷神社で一人暮らしをしていたのである。
おばあちゃんのことも、タマさんのことも、元島民は誰もしらないのであった。
(さくら、天命までよくがんばったね)
(さくら、みごとな生涯だったぞえ)
(さくら、また紙風船したいよぉ~)
(さくら、わしが最後まで見守っているからな)