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カークと戻って来たレヒ

今回の主要人物


【宗教都市ゼロ】

さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。宗教都市ゼロ代表兼さくら神社神主。もふもふ同盟。

くー(コロボックル)兄妹の兄。森の中を瞬時に移動が出来る。スキル【鍛冶の極意】を持っている。

イスト(リス獣人)代表。

バージル(人間)ジョザ村出身の鍛治職人。シナとクボの父。くーを師匠としている。



【ゼフ王国】

ゼフ(人間)国王

オーサム(人間)大将


【ノストラ】

レヒ(人間)シューマの名を使って宗教都市ゼロに亡命を計画した人物。失敗しゼフ王国に戻る。

 王都ゼフのオーサム大将の私室。レヒは命からがら戻ってきた。宗教都市ゼロに潜入する任務は失敗したが、それ以上に仕入れる事ができた情報を報告するために。


 カークは、戻ってきたレヒに追及した。

「潜入して宗教都市ゼロの内部情報の定期報告と内部からの崩壊を指示したはずだが、なぜここに居る」

「カーク様、無理でした。宗教都市ゼロは想像の上をいっております。我々では太刀打ちなど難しいかと思われます。」

「黙れ!たかが異世界からの転生者と大将崩れのエスターが居るだけの都市だろ!何を恐れる!」オーサム大将はゼフ王からの叱責もあり、心に余裕などなかった。


「ゼフ王国内のモンスターを排除しているユニコーンがおりますよね。私たち亡命道中も何度か助けられましたが……」

「それがどうした、ユニコーンなど我もみた事がある」

「そのユニコーンは、宗教都市ゼロの管理下でした」

「なんだと!! まさか自分達が宗教都市ゼロに助けられていただと……こんな屈辱があるか!」

「この目で見てきました。事実です」

 カークは、モヤモヤした心のぶつけ先が無く、机を思いっきり叩いた。




「もっと恐ろしいのは、宗教都市ゼロには、敵対しているかどうか、偽っていても正体を瞬時に解析できる術を持っておりました。欺くことなど不可能です。敵対する者を呪うの術も操っておりました」

「……」カークは言葉を失った。それでは何も手が打てないではないか……


「さらに、宗教都市ゼロには、魔人も暮らしており、リス獣人も居ました」

「ん?リス獣人……それは使えそうじゃないか!レヒ、いい話を持ち帰ってきた!それはまことか?」

「はい」

「唯一、良い情報じゃないか!リス獣人……これは使える……レヒもう下がってよい。ゆっくり休むがいい」

「カーク様、ありがとうございます」

 カークはリス獣人に反応したが、魔人には特に反応しなかったミスをした。


 オリハルコンを操る者達が宗教都市ゼロには居る事を疑う事をしなかった。

 ユニコーンではなく、軍馬がオリハルコンを応用した鎧を身にまとっている事に気がついていないのである。




 ゼフ王の私室にオーサム大将は居た。

「殿下、王都周辺のモンスターもほとんど減らす事が出来ました」

「さすがオーサムじゃ、最近はモンスターの鳴き声に目を覚ますこともなくなったわ!」

「お褒めの言葉、ありがたき幸せであります。大戦前の用意として殿下にお願いがあります」

「なんだ、言ってみろ」

「リス獣人を所有しているものは、殿下の名の下に、無条件に軍へ引き渡すよう御布令を出して頂きたく存じます」

「それが、大戦で役立つと言うのだな?」

「はい」

「許可しよう!大戦に向けて思う存分手腕を発揮するが良い!」

「かしこましました」


 オーサム大将は宗教都市ゼロをねじ伏せる策を完成させていた。

 ノストラの敵は、ゼフ王国でもバジ王国でもなく、宗教都市ゼロとターゲットを変えていた。あの異世界からの転生者さえ排除すれば、この島は思いのままに出来ると思っていた。

(非常になれない者は戦場で散ることを、死ぬことで思い知るがいい、異世界からの転生者め)


 カークの頭の中には、宗教都市ゼロを鎮圧し、ゼフ王国とバジ王国が痛み分けで終戦し、ノストラがこの島を好きに操る成功する道筋しか見えていなかった。

 スキル【軍師】が導き出したのだろう。



 その頃、宗教都市ゼロでは……さくらが鍛治工房に来ていた。寒くなって来た季節だが、鍛治工房は常に火を扱っているので熱いくらいだ。


「バージルさん、くーちゃん、矢尻を大量に作って欲しいの!」

「この都市は中立を守るんじゃなかったのですか?」

「そうだよ! でも、万が一のことを考えておかないと、住人の安全が一番大切だからね!」

「さくら! 普通の矢尻? 白く光る矢尻?」

「氏子に当たってもダメージの無いタイプの白く光る矢尻で、くーちゃんお願い!」

「さくら任せて! いっぱい作る!」

「師匠がやると言えば、俺も頑張るさ!」

「バージルさん、くーちゃん、ありがとう!」

(氏子に当たってもダメージが無い矢尻なら相手に奪われても心配ないもんね!)




 さくらは、その足でイストさんに会いに行った。

「イストさん、これから大戦に向けて矢をいっぱい作るんだけど、真っ直ぐな硬い枝を沢山集めてもらえるかな?」

「はい、戦う前線を免除してもらっているので、枝だけじゃなく、羽も集めますね。弓の作成も出来ます。必要であれば言って下さい」

「弓も作れるなら、お願いする!弓と矢の材料の集めるのお願いするね」

「わかりました。矢尻はどうするのです?」

「氏子にはダメージが無いように、バージルさん達に作ってもらう事にしたよ!」

「それなら、矢尻を用意してもらえれば、リス獣人達で矢と弓を完成させます。いいえ、その手伝いをさせて下さい」イストは今までのリス獣人のわがままを全て受け入れてくれたさくらに少しでも力になりたいのである。

「イストさん、それなら……お願いしますね!」




 さくらは、虫の知らせか、嫌な感じをしていた。


【さくらが大戦に巻き込まれるまで、まで残り40日】

初めての作品「さくら神社の防衛戦争」を読んでいただき、ありがとうございます。

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次話は冬対策のお話です。

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