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メルツとラーレンの夜

今回の主要人物


【宗教都市ゼロ】

さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。宗教都市ゼロ代表兼さくら神社神主。もふもふ同盟。

ナビ(AI)3D化に成功した神社システムのヘルプ担当。新しい住人への世話係り。

メルツ(人間)孤児院の生き残り。エスターの親友。もふもふ同盟。

ちー(マインドラゴン)元ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。普段は人代、犬化をしている。リス獣人達に崇められている存在。ユニコーン隊のリーダー。

アレル(人間)戦士。ゼフ王国からの亡命者

ラーレン(人間)孤児出身者。ゼフ王国からの亡命者。


【ノストラ】

レヒ(人間)シューマの名を使って宗教都市ゼロに亡命を計画した人物。失敗しゼフ王国に戻る。

 ゼフ王国に暮らす孤児院出身者の身を心配していたメルツ。ラーレンは、その一人である。


 ラーレンは、メルツより年下だが孤児院を出て生活をしていた。しかし、孤児院出身者で学も無いラーレンは安い賃金で日雇いの仕事をこなしてその日暮らしの綱渡り状態だったところに、シューマが声をかけてきた。「最近はモンスターの出没が多く物価も高騰している。生活しにくいゼフ王国を出て、ラーレンと同じ孤児院の出身のエスターが居る宗教都市ゼロに亡命しないか」と……


 ラーレンは、日々の生活に未来が見えない状況、出身の孤児院で生活していた仲間が餓死したという絶望、もう一人ぼっちで誰にもすがれない寂しさに耐えらず、エスターに会いたい一心でシューマの誘いに乗った。


 今思うと、不思議な話である。なぜ私をエスターと同じ孤児院出身だと知っていたのか。その日暮らしの私なんかを誘って、シューマに何の得が有ったのか。エスターのいる場所にシューマが潜り込むためだけに利用されていたと知った時に、初めて不審な点に気がついた。


 しかし、そのおかげで今はメルツと同じ天井を見ながらお布団に入っている。ラーレンも個室を用意してもらったが、メルツに誘われて今晩は一緒の部屋で寝る事にした。


「メルツだけじゃなく、ケルンやフィルも生きていたなんてびっくりしたよ」ラーレンから話しかけた。

「だよね……突然消えちゃって心配させちゃったよね……」


「心配というより、孤児院の皆んな……餓死したって聞いてたから、メルツを見た時は信じられなかったよ」

「孤児院で餓死寸前のところを、エスターとこの都市の人達に助けてもらったんだ……小さい子は助からなかったけど、その分私が幸せになって、おばあちゃんになって死んだら、あの世で楽しいお話聞かせてあげないとねって思うようにしたの」


「孤児院にいた時は自信無さそうに、日々生きて、子供の面倒を見て、本当にその日を生きるだけって生活をしていたメルツと今のメルツ別人のように生き生きしてるように見えたよ。ケルンやフィルもね。私もこの都市で強く生きられるかな……」

「大丈夫だよ! 美味しいご飯食べたでしょ」

「うん、おでん美味しかったなぁ」

「あのレベルの美味しいご飯が三食食べれるんだよ!」

「嘘でしょ!」

「本当だよ! もふもふ尻尾のタマさん居たでしょ」

「うん」

「タマさんのお料理教室で教えてもらえるんだよ!」

「いいなぁ……私、そんな教室に通えるお金無いから……」

「そういえば、タス村だった時から、お金って使った事ないや……ナビさんが説明していたと思うけど、衣食住本当に提供されてるし、お料理教室、読み書き、計算などの教室も無料で参加できるの!」

「天国みたいな都市なんだ……メルツ達だけ先に来てるなんてずるいよ!」

「えへへ♪ここでの生活幸せだもん♪今日から一緒に幸せになろうね」

「うん」


「王都バジは、今どんな感じだったの?」メルツは孤児院のあった場所の現状を聞く。

「王都の外壁は一部崩されちゃってて、街中までモンスター入り込んで、昼間でも各家は雨戸まで閉めてる状態だったんだけど……」

「そんなに酷い状況だったの……」

「でも、最近幻のユニコーンが王都の外に出没するようになって、モンスターを退治してくれていたみたいで、少しは落ち着いたかな……ここに来る道中も、何回かモンスターに襲われたけど、護衛の戦士のアレルさんが倒す前に、ユニコーンが駆けてきてモンスター吹き飛ばして退治してくれたんだよ。そのユニコーンがこの街にいっぱい居て、それもびっくりしたんだよ!」

「あれ……元は王都ゼフの軍馬なんだよ……」

「嘘でしょ?王国ゼフの軍馬が一晩で消えたって騒いでたけど……」

「さくらさん達がタス村独立を認めてもらいに王都ゼフに行った時、馬車の馬を没収されちゃったんだって」

「何それ、酷いいやがらせ……」

「数日後、没収された馬が軍馬連れて戻ってきちゃったの。それをちーちゃんさんが訓練したのが、ユニコーンなんだよ」

「馬…青白い光を帯びて神秘的だったんだけど……」

「それは、オリハルコンって素材使った鎧を馬に装備させているんだって」

「よくわからないけど、そうなんだね……」ラーレンは理解出来なかったので、そういうものなのだと強引に納得する事にした。


「それと、ちーさんって可愛い女の子も一緒に住んでいるんだけど……」

「可愛いほっぺがぷにぷにしてた女の子でしょ。」

「うん、その子は、ピーナッツ火山の主のドラゴンだから!」

「……」ラーレンの頭はパニックになってしまった。


「宗教都市ゼロって、なんなの?」直球でラーレンはメルツに聞いた。

「うーん……皆んな楽しく生活して、幸せな調和がある賑やかな都市かな」メルツもまとまらない答えになってしまった。


 メルツは、それからも、春と秋の祭り、リス獣人との混浴などを自慢し、その都度ラーレンは驚き……


 ラーレンは、今まで辛い生活をしてきた分、私も楽しんで幸せな生活を手に入れるんだと心に決めた。


 その後も、メルツとラーレンは、離れていた時間を埋めるように朝まで話が尽きなかった。

初めての作品「さくら神社の防衛戦争」を読んでいただき、ありがとうございます。

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次話はカークとレヒのお話です。

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